2023年 日本女子オープンゴルフ選手権

西郷真央がパラダイムの“X”を使うのはなぜ? 「弾道×スイング×ギア」のマッチング

2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
一年間の苦しみを経て「女子オープン」へ挑む

昨シーズンの後半戦、西郷真央は思うような成績を出せずにいた。メジャーの日本女子オープンで予選落ちを喫すると、最終戦のリコーカップでは4日間で「+35」をたたき、失意のままシーズンを終える。

今季も序盤戦は予選落ちが続き、まさに不調のどん底にいたが、8月の「CATレディス」で2位に入ると、そこから成績も右肩上がり。ここ3試合は3位タイ(日本女子プロ選手権)、3位タイ(住友生命Vitalityレディス)、2位(ミヤギテレビ杯)と優勝まであと一歩のところまで戻ってきた。この一年は想像を絶する自分との戦いがあったはずだが、復調までの背景に何があったのか? 実はその使用クラブの中にヒントがあったのだ。

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2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
アマチュアにも人気の「キャロウェイ パラダイム X」(10.5度)

今週、日本女子オープンに挑む西郷のバッグには、キャロウェイのドライバー「パラダイムX」が入っている。シーズン序盤はほかのプロのように「パラダイム トリプルダイヤ」を使っていたが、シーズン途中からアマチュアが好むようなやさしいモデル「X」に替えていた。

「元々フェードでしたが、今は持ち球をドローにしていて、ドローっぽい球が出てくれるほうがいいなと思って『X』にしました」とモデルチェンジのきっかけを語った西郷。「フェードを打っていた時と比べて、(ドローの)今は狙っているスイングと体の動きとクラブが全部マッチしています」と、体の動きと弾道がようやくリンクしてきた。

「元々ストレートボールだったのを『曲げたくない』という理由からフェードに変えていたんです。本来私は下半身からねじって捻転(ねんてん)差を使って打ちたいたのですが、フェードだと捻転差を作ると振り遅れになって…。自分の体の動きやすい動き(捻転差を使って打つ)とやろうとしている球筋(フェード)が真逆だったので、ずっともどかしかったんです」と昨年からの不振を振り返った。

スイングがもっと良くなれば、再び「トリプルダイヤ」などもう少しハードなモデルに戻すことも検討しているというが、「今のところはこのままでもいいかなと思っています。なんか自分から難しくする必要もないかなって。やさしくて飛ぶならそれが一番いい」と、しばらくは「X」でいく予定だ。

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2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
「JPX 923 FORGED」の7I。鉛を貼ってバランス調整

ドローへの変化はアイアンにもいい影響が出ていて、「端に振られたピン位置でも寄せるイメージが出やすくなりました」と最近の好成績もうなずけるコメント。クラブ契約時代から愛用しているミズノのアイアンの中でも、特に打感のいいモデルとされる「JPX 923FORGED」を入れている。

復調の背景には、もうひとつ抱えていたクラブの悩みを解消できたのも大きい。それがパターだ。西郷がバッグに入れる「オデッセイ ホワイトホット OG ロッシー」を見ると、クランク部までのネックが長く、そしてクランク部分だけ黒いパーツが入っているように見える。キャロウェイのパター担当者に確認すると、西郷のモデルは原英莉花の物などと同様、ヘッドとシャフトの間に二つの部品がかませてあって、三点で溶接したクランクネックに仕上げているという。

2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
オデッセイ ホワイトホット OG ロッシー。ネックは特注品

「海外の試合に行って戻ってくると、ライ角がズレたりというのがあって、ずっとそれで悩んでいたんです。国内の転戦であれば毎回(ライ角を)確認してもらえるのですが、海外だとそういった調整も難しくて…」と西郷はその特注ネックのメリットを解説する。それまで使用していた通常のベントネックだと、移動中の衝撃などでネックが微妙に曲がってしまうことがあり、そうなるとライ角が1度や2度変わることはザラだったという。その悩みをキャロウェイのパター担当に相談をし、今回の特注クランクネックの提案に至ったという。「このネックにしてからほんとライ角の変化がなくなりました」と西郷。

2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前
ヘッドからクランクまでの素材とクランク部の二つのパーツを組み合わせることで強度を出している

悩みを解消しただけでなく、「構えた時の座りの良さも出ました。また私はクロスハンドで少しハンドファーストで構えたいんですが、このネックの方がちょっと手を出して構えやすい」と思わぬ副次効果も生まれた。

苦しい一年間を過ごした西郷が、完全復活の予感。後半戦の台風の目になる可能性は高そうだ。

2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
メジャーに挑む西郷真央の14本

西郷真央のクラブセッティング>
ドライバー:キャロウェイ パラダイム X(10.5度)
シャフト:UST マミヤ The ATTAS V2(重さ50g台、硬さS、長さ45インチ)
グリップ:IOMIC iX SA 2.0

フェアウェイウッド:キャロウェイ パラダイム X(3番14.5度、5番18度)
シャフト:UST マミヤ The ATTAS V2(重さ60g台、硬さS)

ユーティリティ:ピン G425 ハイブリッド(4番22度、5番26度)
シャフト:UST マミヤ LIN-Q HY プロトタイプ(重さ75g、硬さS)

アイアン:ミズノ JPX 923 FORGED(6番~PW)
シャフト:日本シャフト NSプロ 850GH neo (硬さ:S)

ウェッジ:タイトリスト ボーケイ SM9(48度、54度)、ボーケイフォージド(58度)
シャフト:日本シャフト NSプロ 950GH (硬さ:S)

パター:オデッセイ ホワイト・ホット OG ROSSIE

ボール:ブリヂストン ツアーB XS

2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
スプーンとクリークも「パラダイム X」(3番14.5度、5番18度)
2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
ピン G425 ハイブリッド(4番22度、5番26度)
2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
アプローチウェッジは「ボーケイSM9」のSグラインド。細めのソールでショットに活きる
2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
ボーケイフォージド(58度)を使用。日本専用モデルで少しグースが入る
2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
左からSM9(48度、54度)、ボーケイフォージド(58度)。それぞれソールが違い、その意図が透けてみえる
2023年 ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 事前 西郷真央
ブリヂストン ツアーB XS
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