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元賞金女王の古閑美保が考える「育成の場づくり」

女子プロゴルファーの古閑美保がツアーの第一線から退いて約10年。2008年には年間4勝をあげて賞金女王にも輝いた39歳が23日、茨城・サザンヤードCCで中高生を中心とした「ジュニア育成」に励んでいた。

古閑はジュニアを前に「経験」という言葉を何度も繰り返していた。10歳で競技を始め、男子プロゴルファー坂田信弘が主宰する坂田塾に第1期生として入門。「何も疑わず、ほかの選択肢がないのもあったけど『自分はプロゴルファーになる』『これでご飯を食べていく』『一番になるんだ』と思っていた」とクラブを握ってきた。

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アマチュア時代は「世界ジュニア」や「日本ジュニア」で優勝経験を積み重ね、高校ゴルフでもタイトルを総なめにした。「若いときの経験は宝物。海外に行きたいと思う子もいれば、二度と行きたくない子もいると思う。海外に向いてない人間も出てくる。でも経験をしないと分からない。みんな育成していくうえで…とか聞いてくるけど、場所とか、経験を提供したいだけなんだよね」

競技から引退するまで勝つことだけを考え、「友達なんていらない」と思っていた。そんな戦場だったゴルフは、時が経つにつれて社交の場にもなるとマインドが変わってきたという。

「みんな自由にやって欲しいし、自由にやっている。将来的には優勝者にプロの試合への推薦とか作れたらいいなと思うけど。あとは9歳か10歳ぐらいまでが子供のゴールデンタイムで、その時までに何をしたかで将来が左右されると聞いた。だから、その子たち向けに何かやりたい。練習場で初めてクラブを握るような子供たちとのイベントとか」

「育成」となればジュニア向けに講演や技術的なアドバイスと様々なやり方がある。そのなかで経験の場を与えることに重点を置くのは「自分から伝えたいことはない」から。

高校時代から師事した故・清元登子氏からの「レッスンだけはやるな」という言葉を頑なに守る。機会を与えるだけで個々の考え方を尊重させる。そんな環境の整え方で、ゴルフの楽しさを伝えていく。(編集部・石井操)

石井操(いしいみさお) プロフィール

1994年東京都生まれで、三姉妹の末っ子。2018年に大学を卒業し、GDOに入社した。大学でゴルフを本格的に始め、人さまに迷惑をかけないレベル。ただ、ボールではなくティを打つなどセンスは皆無。お酒は好きだが、飲み始めると食が進まないという不器用さがある。

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