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【WORLD】タイガー・ウッズが辿る道

Golf World(2013年1月14日号)texted by Jim Moriarty

ひょっとすると2009年にヘーゼルタイン・ナショナルGCで開催された「全米プロゴルフ選手権」でY.E.ヤンに敗れたことこそ、ウッズのキャリアが下降線を辿り始めたという証明だったのかもしれない。かつて絶対的な強さを見せつけたパットも、どこかにいってしまった。そんなウッズの親友でもあるマーク・オメーラは、「年を取ると難しくなるもの。それを選手は皆理解している」と語る。若かった頃のウッズとプレーすることで自身のプレーも若返ったと語るオメーラは、自著”My Story”(ケン・ボーデンと共著)でこう綴った。「ニクラスが自身の才能だけで勝てたのも、1978年(現在のウッズより1歳上当時)が最後となった。そして1980年のシーズンは、周囲が彼を目標とした最後のシーズンとなった」。

この一節に対しニクラスは、「私のキャリアを振り返ってみても、ファーストティから大会最終日までの間、一度だって自分が周りの目標になっているなんて思ったことはない。常に自分のベストを尽くすことしか考えていなかった。仮に私に少しばかりの才能があったとして、その才能を誤った方向に使っていたとしたら、何の結果も得られなかっただろう。39歳だった1979年は最悪のシーズンだった。自分のやりたいようなプレーを実行する能力を失っていた。1979年から80年にかけて、およそ半年近くの休養を取った。復帰後ジャック・グラウトとトレーニングを開始した時は、自分の身についていた悪癖を全て取り除く必要があった。それから始動して、いくつか変更を加えた。バルタスロールで殻を破れたと思い、オークヒルでの全米プロゴルフ選手権まで取り組みを続けた。それからというもの、何故かはわからないが、プレーする意欲を失ってしまった。何故かはわからない。ゴルフ自体は好きだったし、競技にも参加したいと思っていた。それでも時間を割くべきこととは思わなかったんだ」と語っている。

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他を圧倒する才能を軽視しているという意見もあるだろうが、ウッズもニクラスの意見に賛同する。「僕が駐車場に到着した時点で勝負が決しているわけではない。それに出場したから優勝トロフィーを与えられるなんてとんでもない。僕は常に優勝を勝ち取ろうと思っている。他の出場者達を上回る成績を残さなくてはならないんだ」。しかしながら、30代後半のウッズは勝利への欲求を未だに持っているのだろうか?晩年のニクラスは、大会最終日に目標スコアに到達することをターゲットとしてプレーするのを好んだという。周囲から目標にされるか、されないかは別として、ウッズは自らの目標の為にプレーしている。それは大きなモチベーションであると同時に、負担でもあるのだ。

「今年は彼にとって大きな一年になるだろう」とオメーラ。「年々チャンスも減っていく。同時に若い選手の実力も伸びてくる。彼にとっては大きなプレッシャーとなるだろうが、これまで何度だって極限のプレッシャー下でプレーし、彼は自分の実力を証明し続けてきた。彼は目の前の試練が好きな男。それが彼の住む世界なのさ」と続けた。

フォーリーとウッズが目標に掲げるティショットの精度を安定させ、集中的に取り組んでいるショートゲームで結果が出ればという条件付きにはなってしまうが、ロングゲームの安定感が出てきた今、オーガスタナショナルでのチャンスも増える。

今年の全米オープンは、ラフがきつくコース幅が狭いメリオンで開催される。昨年ロイヤルリザムでロングアイアンを上手く多用したウッズよりも多くフェアウェイをキープ出来る選手は現れるだろうか?2002年にミュアフィールドで開催された全英オープンで、スコットランドの強風を体験したウッズにとっては、その時の経験が今回の全米オープン攻略の鍵となるかもしれない。

ニクラスがキャリア終盤にオークヒル(2013年全米プロ会場)で優勝したことは桁外れの偉業で、10年前のウッズにとっても答えの出ない謎だったに違いない。果たして2013年のメジャー大会優勝は彼に課された使命なのだろうか?ハーバード大を卒業し、NFLバッファロー・ビルズを指揮したマーブ・リービーは、4度ともスーパーボウルで敗退を喫したが、その内の1大会で試合前の選手達にこう語って聞かせたという。「これは絶対に勝たないといけない試合ではない。勝たねばならなかったのは第二次世界大戦だ」。

Golf World(2013年1月14日号)texted by Jim Moriarty

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