日本勢4人が同組で最後の練習ラウンド
2012年 全米オープン
期間:06/14〜06/17 場所:オリンピッククラブ(カリフォルニア州)
【WORLD】メジャーにドライバーは必要ないのか
Golf World (2012年6月11日号) texted by Goeff Shackelford
バッバ・ワトソンが今年のマスターズプレーオフで見せたリカバリーショット、そしてピンクのドライバーは、大会が終わったいまも印象に強く残っている。プレーオフ2ホール目、ウェッジでのフックショットに最上級の賛辞が送られた中、ワトソンはバックナインで誰よりも距離を稼ぎ、ティショットの大半を真っ直ぐ飛ばした選手だった。
ロリー・マキロイは、飛距離とショットの正確性というコンビネーションを駆使し、特にパー5でアドバンテージを奪い、昨年の全米オープンで記録的な優勝を飾った。ソフトなフェアウェイ、程よいランディングエリアという恩恵にも恵まれ、マキロイはドライバーで攻め、周りの選手が到達しないフィールドにボールを運んだ。それもこれも、ショットの正確性、そしてリスクを負ってまで攻める姿勢を見せたからで、優勝のチャンスを自らつかみに行ったのだ。
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ゴルフの長い歴史を振り返ると、ジョーンズ、スニード、パーマー、ニクラス、ノーマン、そしてウッズと、伝説的な選手たちはみなドライバーによる飛距離と、ショットの正確性という武器を持っていた。だがそれが最近は、事情が少し変わってきた。「全米オープン」は今年オリンピッククラブで、そして来年はメリオンGCで開催されるが、ドライバーを常に使うという傾向はより一層減少していくだろう。
来月開催される「全英オープン」は、最近の規模の小さいコースとしてはスタンダードなロイヤルリザム&セントアンズGC(およそ7000ヤード)で行われる。周囲が驚嘆するような飛距離と正確なショット技術を併せ持つプレーヤーの長所は活かされにくい。そして、仮に今後もメジャー大会が7500ヤード以下のコースで開催されることが続けば、ドライバーのヘッドカバーが外される機会は減るはずだ。「マスターズ」の会場オーガスタナショナルGCはドライバーの使用が減少している現代のトレンドに反抗し、今年の「全米プロゴルフ選手権」が開催されるキアワアイランド(7676ヤード)はメジャー開催地の原型のようだといえる。プレーヤー達がドライバーを頻繁に使用するためには、こういったトーナメントをどんどんツアーに組み込むべきだろう。
1920年代以降、「グランドスラム(4大メジャー)は歴史と伝統に溢れるコースで開催されるべき」と信じる人達にとっても、そういったコースを舞台にすることは、現代の風潮に適応するには限界点に達しているのだ。
「メジャー大会になると、(ドライバー問題は)常々、論点になっているし、全米ゴルフ協会(USGA)にとっても問題だと思うが、ベストプレーヤー達も、全てのクラブでどのくらいの技量があるかを試されるべきだとも思う」と語るのは、全米オープン3度優勝のヘイル・アーウィン。「もしドライバーを使わなくて済むコース、そしてハイブリッドやフェアウェイウッド、もしくはロングアイアンで済むコースで行うなら、プレーヤー達のドライバー技量は測れない」。
プレッシャーのかかる大会という環境の下、ドライバーで真っ直ぐ飛ばせるかどうかというのは、プレーヤーにとっては名誉ある試練だ。人類史上、初めて”ドライバー”という概念が定義されたのは1962年のことで、ドクター・アーサー・ジョーンズが”Epigram’o Montrose”で記した。印刷物に初めて掲載されたのは1857年のことで、当時はヒッコリー製のドライバー2本を多くの選手が持っていたとしか書かれていなかった。
ストレートフェースの“プレークラブ”は正確なショットを打つのは難しいが、その分飛距離は出る。スプーンのようなフェースのドライバーはショットの正確性に重点を置いた。それらが変革を遂げるには1世紀以上の時が必要だったが、2006年のマスターズを制したフィル・ミケルソンは、2本のドライバーを使うプランを実行し、優勝した。