20歳のワン・ジョンフンが初優勝 武藤俊憲は71位
「アイルランドオープンbyロリーファウンデーション」の展望
今週の大会会場は、アイルランド・キルデア州のザKクラブパーマーコース。2006年の「ライダーカップ」でイアン・ウーズナム率いる欧州代表が米国代表を打ち破り、大会3連勝を決めた地で、トーナメント開催はそれ以来となる。
ヨーロピアンツアーが4週間ぶりに欧州本土に戻ってくる大会で、フィールドはスター揃いになった。大会を展望してみよう。
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■昨年はソレン・ケルドセンが復活
昨年はソレン・ケルドセンが三つ巴のプレーオフを制し、6年ぶりのヨーロピアンツアー優勝を手にした。
最終日を2打差の首位で出たケルドセンは、「76」とスコアを落として、決着はプレーオフにもつれこんだ。すると、彼はプレーオフ1ホール目でバーディを奪ってベルント・ヴィースベルガーとエディ・ペパレルを退け、2009年の「アンダルシアオープン」以来の優勝を果たしたのである。
ケルドセンは直近の6大会で3度トップ入りしており、好調のままザKクラブで開催されるディフェンディング大会を迎える。もし昨年ロイヤルカウンティーダウンで栄冠に輝いた彼が優勝すると、「アイルランドオープン」では、1996年と97年に大会を連覇したコリン・モンゴメリー以来の連覇となる。
■一口サイズの大会史
2009年には、当時アマチュアだったシェーン・ローリーがヨーロピアンツアーのデビュー戦でいきなり優勝を果たした大会だ。これは2003年にベン・カーティスが「全英オープン」を制覇した時以来の快挙だった。
過去にはサー・ニック・ファルド、イアン・ウーズナム、ホセ・マリア・オラサバルなど、14人のメジャー王者がこの大会を制している。ちなみに最後にこの大会を制したメジャー王者はパドレイグ・ハリントンである。
1999年には、当時19歳176日のセルヒオ・ガルシアが大会を制し、「アイルランドオープン」史上最年少優勝記録を樹立している。
■ダニー・ウィレットの凱旋
2016年の「マスターズ」王者ダニー・ウィレットが、あの驚くべき勝利以来、初めてヨーロピアンツアー復帰を果たす大会になる。
ウィレットにとって今年の「マスターズ」は、妻のニコールさんが出産を控えていたため、出場見送りもやむを得ない状況だったが、息子のザッカライア君が大会の8日前に誕生したことにより、大会出場に漕ぎ着け、手にした勝利だった。
「マスターズ」後は1カ月の休養を取っていたが、前週の米ツアー「ザ・プレーヤーズ選手権」出場を経て、今週の「アイルランドオープンbyロリーファウンデーション」で待望のヨーロピアンツアー復帰を果たすことになる。
■豪華なフィールド
メジャー4勝のロリー・マキロイを筆頭に、目下「レース・トゥ・ドバイ」でトップ10圏内につける選手のうち6人が今大会のフィールドに名を連ねている。
地元アイルランドからは、このナショナルオープンを制したシェーン・ローリーとパドレイグ・ハリントンを含め、14人が今大会に出場する。
ザKクラブでティオフする大会優勝経験者は11人。これにはジェイミー・ドナルドソン、トーマス・ビヨーンといった面々が含まれ、その中の一人であるローリーは7年前に大会を制覇し、最後にこの大会を制したアイルランド人選手となっている。
「ハッサンIIトロフィー」、そして「アフラシアバンク・モーリシャスオープン」と、目下2週連続優勝中のワン・ジョンフンが今週も優勝を飾り、ヨーロピアンツアー3週連続優勝を遂げることになれば、1983年のサー・ニック・ファルド、そして1986年のセベ・バレステロスに続く史上3人目の快挙達成となる。
■コース
ザKクラブのアーノルド・パーマー設計の大会コースは、全長約7350ydの魔物であり、多くのホールで絡むリフィー川と渦巻く風が、ゴルフにおけるリスクと報酬の真の試金石となっている。
1991年に開場したこのコースは、欧州代表があの名高い勝利を挙げた開場10年後の「ライダーカップ」へ向け進化を続けた。「このコースは年月と共に熟成した、上質なワインと同じようにね」とはポール・マッギンリーの言である。