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【WORLD】待望の初優勝 R.ファウラーの真価
Golf World(2012年5月14日号) texted by Jaime Diaz
ファウラーのゴルフゲームを構成する技術を語る上で、外せないポイントはいくつかある。特筆すべきこととして、まずはドライバーショットを挙げないわけにはいかないだろう。
彼は小学生当時から父親のクラブを使っていたため、フラットで払うような動きとなっていた癖が幸いし、長いクラブではナチュラルなドローボールを打てるようになった。フレキシブルでスイングスピードも速く、飛距離のある真っ直ぐな球筋も持っている。2010年にはトータルドライブで24位、翌年はエースドライバーが折れたせいで散々なシーズンを送ったが、今年は現時点で5位と好調を維持している。
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またファウラーはドライバーだけでなく、アイアンでもバリエーション豊富なショットを打つ選手として知られている。「彼ならラウンド中に9つの弾道を操ることができる。珍しいことだけどね」と語るのはキャディであり、幼少の頃からの親友でもあるジョー・スコヴロン。「だから全英オープンが好きみたいだよ(昨年は5位タイ)。確かに彼のベストが発揮される場所だと思う」。さらに言えば、フェアウェイからのウェッジショットの精度もファウラーの長所の1つ。優勝した先日の大会でも、プレーオフで見せたショットが最高の例として挙げられる。
しかしながら、ファウラーは上述のように高い能力を持ちながら、これまで優勝とは無縁の選手だった。アマチュア時代でもスンネハンナで2度、そしてウォーカーカップでの2勝がハイライトとして取り上げられるくらい。プロでの優勝は今回の「ウェルズファーゴ選手権」を除くと、昨年ワンアジアツアーの「コロン韓国オープン」でマキロイに6打差を付けて優勝しただけ。シャーロットで優勝するまでの間、優勝争いに絡むことはあっても、安定感に欠け、プロ転向後に出場した通算72大会(PGA)で、トップ10に入ったのは16回だけだった。
では、それはなぜだったか?彼はドライバーで飛距離を稼ぎ、良いポジションにボールを置くことができる。だが(多彩なアイアンショットも持ちながらも)レギュレーションでグリーンに乗せる率(パーオン率)が悪く、2010年は22位だった。また、バンカーからのアプローチもウィークポイントで、ここ3シーズンでサンドセーブで101位以内に入ったことはない。
グリーン上では自信に溢れているように見えるが、実際はパットに安定感は無く、スコアに対するパッティング貢献度を示す数値でも2010年は78位、2011年は31位、そして初優勝を飾る前の週までは154位と不振に喘ぎ、3パット率では、さらに酷い成績となっていた。
ファウラーはこの弱点を解消する為、グリップをクロスハンドに変えて「チューリッヒクラシック」では10位タイでフィニッシュ。クエイルホロークラブでも同じスタイルを続け、マッコードには快適にプレー出来ると話していたという。そして、それが功を奏したようだ。
彼のスイングに対しては、批判も多く聞かれる。変則的なクローズフェースのテイクバックから繰り出されるスイングは、トップでスナップを効かせ、タイミング頼りで飛距離稼ぐ。だがスイング解説のエキスパートであるマッコードは、ファウラーへの批判には否定的で、「リッキーの長所は、クラブヘッドの位置をしっかりと理解していること。だからこそ、悪い時も修正がすぐにできる。それが彼のスイングだし、今後も変えるべきではない」としているのだ。