2012 HOTLIST 日本版 by GDO 受賞クラブ フェアウェイウッド編
【WORLD】フルチタンのスプーンがツアーから消えたワケ
Golf World(2012年8月27日号)GW bunker texted by E.Michael Johnson
8年前、ツアーでのフルチタンのスプーン使用率は10%だった。しかし今日、プロにとっての3番ウッドの用途は、特定距離を飛ばすことであり、スチールヘッドのウッドが主流となっている。
ドライバーの技術がフェアウェイウッドにも活用されるようになったのは事実だ。ミスヒットしてもボール初速をキープするフェースと高慣性モーメントも取り入れられ、シンプルさと実用性の最後のよりどころとなった。しかし、サイズ以外にドライバーとフェアウェイウッドが今でも完全に異なるところがある。それが素材だ。
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今世紀初頭、各メーカーがフェアウェイウッドでチタンを採用したが、今でも存在しているものは数少ない。2004年ごろまで、PGAツアーのフェアウェイウッド使用率で、約10%はチタンウッドだった。また当時はチタンウッドに勢いもあった。ところが長くは続かない。現在、PGAツアーでフルチタンのフェアウェイウッドを見つけることは殆ど不可能に近く、ピンのTiSI Tecを使用するミゲル・アンヘル・ヒメネスくらい。ブラント・スネデカーとケビン・ストリールマンがツアーエッジのエキゾチックスCB4を使うこともあったが、これはフェースだけがチタンでボディはスチールだ。
チタン製のフェアウェイウッドが消えている理由はいくつかある。10年前、多くの選手がティショットで3番ウッドを使っていたことから、“フェアウェイウッド”という言葉自体がなんとなく違った名称のように聞こえていた。大型ヘッドのチタン製フェアウェイウッドが主流になっていたのだ。スチール製のフェアウェイウッドのそれよりも約30%も大きいヘッドは、トランポリン効果が高く、やさしさも向上するためティショットで使いやすかった。ところが、ドライバーが大変やさしくなり、プレーヤーたちもフェアウェイウッドに、最大飛距離よりも的確な距離を打つことを求めるようになったのだ。実際のところ、3番ウッドで大きな飛距離を出すことに不満を言うツアープレーヤーも稀ではないが、4番ウッドを使っている選手もいる。
「ここ何年か、設計者はフェースを大きくすることを考えてきました。フェアウェイウッドのフェースの何らかの柔軟性を得るためにです」と語るのはアダムスゴルフの商品開発部長のスコット・バーネット氏。「しかし、そうするとある一定の条件で、フェアウェイウッドを打つことが難しくなることを発見しました。フェアウェイウッドは地面から打てなくてはなりません。チタンはボールスピードを上げることができますが、フェアウェイウッドが最も効果的に使えるヘッドサイズが問題となっていたのです。そしてデザイナーがチタンのフェアウェイウッドを小さくしたところ、チタンでは明確なパフォーマンスの向上を見つけることができませんでした」。
アベレージゴルファーがチタン製フェアウェイウッドへの興味が少なかったのも、このウッドが廃れたもう一つの理由だ。チタン製はスチールヘッドよりも100ドルも高いコスト、大型ヘッドでは地面からボールを上げにくいということが重なり、売上は冷え込んだ。結果として、各メーカーがフェアウェイウッドに有意義な進化をもたらすために、別の方法を考え、より伝統的なシェープと素材を研究するようになったのだ。最終的に、進化した製造工程によりステンレス製のフェアウェイウッドは肉薄となり、重量を最適に配分することが可能に。ムーバブルウェイトやアジャスタブルホーゼル、ボールスピードを上げるスロットなどの技術も注入され、フェアウェイウッドはチタンに頼らずとも大きな盛り上がりを見せているというわけだ。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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