まさかのV逸 スコット、初の世界一はお預け
2014年 アーノルド・パーマーインビテーショナル
期間:03/20〜03/23 場所:ベイヒルC&ロッジ(フロリダ州)
躍進のエブリー、スコットを下してPGAツアー初勝利!
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
米フロリダ州デイトナビーチ近郊で育ったマット・エブリーがジュニア時代に初めて参加したのが、「アーノルド・パーマーインビテーショナル」だった。
彼は自分がそんな大会で勝つなどとは思ってもいなかったようだが、今大会の最終日、それは実現した。
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「とにかく大変だった」と、最終ラウンドを終えて2アンダー、「70」をマークしたエブリーは感情を交えながら振り返る。彼は今大会で2位のキーガン・ブラッドリーに1打差で優勝し、PGAツアー初勝利を飾った。「本当にキツかったんだ。勝てるかどうかなんて、誰にもわからない。勝利に手が届きそうな時は何度もあった。やり遂げることができてよかったよ」
エブリーの勝利には、「マスターズ」王者アダム・スコットからの“援護射撃”もあった。スコットは2位以下に7打差をつけて決勝ラウンドに進出。エブリーが最終ラウンドに臨む時点では、スコットとの差は4打に縮まっていた。
だがオーストラリア出身のスコットは「76」と大崩れし、エブリーに2打差をつけられてまさかの3位に。そのスコットから3打差で最終日を迎えたブラッドリーは、プレーオフに持ち込むには18番ホールで約9メートルのパットを決める必要があったが、「72」でホールアウトし2位に終わった。
「自分が勝ったなんで信じられない」と、現在30歳のエブリーは言う。彼は今大会での勝利でフェデックスカップの500ポイントを獲得し、初めて「マスターズ」への切符を手にした。「ここで勝利に近づくなんて…がっかりすることもありえるわけだよね。勝利を逃せば、こんなことは再びあるのかと思うわけだから」。
「自分の故郷のすぐ近くで、ファンの皆が応援してくれるほど最高のことってないよね。とにかく素晴らしかった」。
時にはこういうこともあるものだ。
エブリーはラウンド中盤の5ホールで4バーディを奪取し、伸び悩むスコットを猛追。彼は13番(パー4)でバーディを奪取すると首位に躍り出て、そのまま勝利した。
とはいうものの、最後の1時間は忍耐強さが求められた。
16番(パー5)で右ラフに打ち込むと、エブリーの2打目は木に当たり、さらに短いレイアップをする羽目に。次のショットはピン奥7メートル半に着地し、(4オン)2パットでボギーを叩いてスコットにチャンスを与えてしまった。
エブリーの後の組でプレーしていたスコットは16番で2オンに成功したものの、約6メートルから3パットを要した。
エブリーもまた18番でボギーを叩いたが、ブラッドリーがバーディパットを外し、勝利を手にした。
「『すごいことになるかも』って、自分に言い聞かせていた」と、PGAツアー初勝利に向かう様子を語ったエブリー。「最高の気分だよ」。
<パットにつまずいたスコット>
世界ランク1位に王手をかけた状態で、決勝ラウンドに進んだスコット。彼は最終ラウンドで「76」に終わり、エブリーに2打差をつけられたことに落胆した。
「時々は自分を責める必要もある。だけど、そうしないこともあるんだ」と、スコット。「自分が好位置につけていて、そこで大会を棄権する機会もあった。そしてかなりの自信をつけるチャンスもね。今日はより良いプレーができなくて、参ったよ」。
そんなスコットの一番の問題は、自身のパッティングだった。彼は大会後半の2ラウンドで最終日の32を含む63パットを記録。16番(パー5)で首位のエブリーに並ぶチャンスがあった後、約2メートル以内のパットは全体で1つのみで、約6メートルからのパットは3つだった。
スコットはそれどころか、1メートル強からのパットに失敗し、何があったのかと思うだけだった。
スコットが勝てば、自身のキャリア初のゴルフ世界ランキング1位になるはずだった。
「今日のプレーはいささか不安定だった」と、スコットは振り返る。「何らかの理由で、少しかみ合ってなかった部分があった。ショートゲームにも自分らしさが出ていなかったしね。そこはしっかりと引き締め、重圧の中でもやり遂げられるようにするという課題が見えてきた」。
もしかしたら、「マスターズ」の会場であるオーガスタ・ナショナルへGCへの旅が功を奏すかもしれない。
3週間後の「マスターズ」で連覇を狙うスコットは、自宅のあるバハマに戻る前の2、3日そこで過ごす予定だ。
「少なくとも、マスターズ対策として自分に必要なパッティングの練習量やその重要性を知るヒントにはなる」と、スコット。「昨年のマスターズを振り返ると、最終ラウンドで決めるべきパットは成功させていた。結局のところ、それが僕に勝つチャンスを与えてくれたのかもね」。
<ブラッドリーの最後のチャンス>
キーガン・ブラッドリーの最終ホールでのバーディパットは、タイガー・ウッズが2008年の大会で勝利した際に彼が打ったものとよく似ていた。まあ、タイガーの方が約1.5メートル近かったが。ブラッドリーはプレーオフに持ち込もうとパットを打つ準備の中で、ウッズのパットを思い出した。
「ウッズが何とかしてパットを決めようとするのを見ていた記憶がある」と、下りのパットに失敗したブラッドリーは言う。「同じ高さに見えたんだ。僕は間違いないなく完璧なパットを、これまた完璧なスピードで決めた。ただそれが決まらなかっただけさ」。
<その他の「初めて」>
エリック・コンプトンは最終日の優勝争いにはあと一歩というところだったが、当日は「69」でホールアウトし、通算9アンダーの5位タイの好成績で終えた。
PGAツアーではこれまで92試合に出場し、2度の心臓移植経験者でもあるコンプトン。彼がトップ10内に入ったのは昨年の「ザ・ホンダクラシック」での4位タイだけだった。
そんな彼が最終日にスコアボードをチェックした唯一の時は?
「アーノルド・パーマーが16番ホールにいて、僕を激励してくれたんだ」と、コンプトン。「自分が戦っていて、パーマーが見ている時にボールを打つのは大変だよ」。
一方、昨季のフェデックスカップポイントランク覇者ヘンリック・ステンソンは5位タイ、今季初のトップ10入りを果たした。昨シーズンの「ツアー選手権byコカ・コーラ」で勝利を収めて以来、PGAツアーでは初のトップ10入りでもある。
また、ブラント・スネデカーは8位タイで今季初のトップ10入りとなった。
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