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まさかのV逸 スコット、初の世界一はお預け

誰もが独走を疑わなかった。フロリダ州のベイヒルクラブ&ロッジで開催された米国男子ツアー「アーノルド・パーマーインビテーショナル」は、まさかの逆転劇で幕を閉じた。初日にコースレコードに並ぶ「62」をマークしたアダム・スコット(オーストラリア)は3日目まで単独首位を走っていたが、最終日に「76」と崩れて失速。マット・エブリーにツアー初優勝を許した。

後続に7打差を付けて迎えた決勝ラウンド2日間で、苦しんだのはグリーン上。土曜日に31パット、そして日曜日は32パットを記録した。エブリーに追いつくチャンスだった16番(パー5)では、2オンに成功したものの、6メートルのイーグルチャンスから3パットパー。

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トータル23パットだった初日は「ホールがバケツのようだった」としていたが、「トーナメントを制する絶好のチャンスだったのに。残念でならない。今日は少し緊張していた。プレッシャーのかかった場面でもっと練習を続けなくてはいけない」と悔やんだ。

今大会を制し、タイガー・ウッズとともに当初のスケジュール通り、次週からの2週間の間に試合に出場しなければ、連覇を狙う「マスターズ」に初めて世界ランキング1位で臨むはずだった。スコットは不振にあえいだ2009年10月には76位まで低迷。70位以下を記録したのは、プロ2年目の2001年8月以来のことだったが、数年をかけてバウンスバックに成功した。

世界ナンバーワンの称号。スコットにとっても「幼いころから夢見ていた。タイガーと初めて一緒にプレーした時は、それがいかに遠いものか実感したけれど」と言うように、それは大きなモチベーションのひとつだ。

ところで、故障とスキャンダルを発端にしたウッズ時代の最初の凋落直後、リー・ウェストウッド、マーティン・カイマー、ルーク・ドナルドロリー・マキロイがその世界ナンバーワンの座に着いた。だが特にウェストウッド、ドナルドがその座に着いていた期間には2人がメジャータイトルを持っていないことから、「世界一」の名は懐疑的な目で見られ、その度に、このポジションは「長い期間において安定して好成績を収めている」という「強さ」とは“別の意味”を持たされてきた。

だがスコットの場合は違う。既にグリーンジャケットを手に入れたメジャー王者である。そして現在、彼が世界ナンバーワンとしても相応しい一面を示す数字として、連続予選通過記録がある。2012年5月「HPバイロンネルソン選手権」を最後に、約2年間1度も予選落ちが無い。連続通過31試合は、現在継続している数字では最多だ。

押しも押されもせぬ、世界一のタイトル奪取はお預けになった。だが「言い訳はできない。マスターズに向けていかに僕がパットの練習をしなくてはならないか、いい知らせになった。それが今回、本当に重要なことだ」と口元にはいつものように笑みを浮かべて言った。至福の時間はオーガスタで迎えてみせる。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

2014年 アーノルド・パーマーインビテーショナル

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