短尺パターを試したペターソンとシンプソン
2013年 ウィンダム選手権
期間:08/15〜08/18 場所:セッジフィールドCC(ノースカロライナ州)
PGA Tour Rookie / Ryo Ishikawa(10) シード奪取危機「覚悟はできている」
15日(木)に開幕する「ウィンダム選手権」は米国男子ツアーの今季レギュラーツアー最終戦。今大会を終えた時点でのフェデックスカップポイントランキング、または賞金ランキングで125位に入れなかったプレーヤー(ポイントランキングで200位まで)は、2週後に始まる下部ツアー選手との4試合にわたる入れ替え戦「ウェブドットコムツアーファイナル」への出場を強いられることになる。
ツアーに本格参戦した今季、石川遼の現在のランキングはともに151位。今週は4位前後の成績を収めれば、逆転シード確定の可能性が出てくる。しかし、崖っぷちに立たされた今、「ほぼ入れ替え戦に出ることを、もう覚悟している」というのが本人の心境だ。
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もちろんこの最終戦での活躍を諦めたわけではない。客観的に自分を見つめて思うことだ。「今シーズン、優勝も、2位になったこともない。もちろん目標は常に高いところにある。でも一度もその成績が出ていない」。11年には「WGCブリヂストンインビテーショナル」で4位、12年は「プエルトリコオープン」で2位に入った。ところが今季は5月の「HPバイロンネルソン選手権」での10位が最高位。来月に22歳となるルーキーの胸の内は、いつも怖いもの知らずのポジティブマインド、といった過去のそれとは違う。
苦戦は覚悟の上だったが、壁は高かった。ただボールを打つという、ひとつひとつの技術でいえば、他選手に大きく引けを取るとは思わない。だが「良い状態が4日間続いたことが、ほとんどなかった」と振り返る。
今季は開幕直後からウェブドットコムツアー出身選手の活躍が目立った。そのため、これまでの勢力図に少なからず変動が生じている。パドレイグ・ハリントン、トレバー・イメルマンらY.E.ヤン・・・らメジャー覇者たちも現在のランキングは126位以下。この世界一の選手層を誇るツアーを石川は「ちょっとつまずいただけで、一気に落ちてしまう。自信を失いやすいフィールドだと思う」と表現した。
目下シード確保危機にある選手たちの中には、石川と同様、将来を嘱望された若いプレーヤーもいる。地元アメリカのバド・コーリーは一昨年に、わずか8試合でシード権を獲得し、リッキー・ファウラーのライバル候補に位置付けられた選手だ。しかし現在のランキングは130位。「今年はずっとドライバーが不調で・・・。今週はいいプレーをしなくちゃいけない。でも、(シードのことを)考えるのは決して良いことじゃない」と悲壮感が漂う。
韓国のノ・スンヨルは石川、そして松山英樹とも同学年の逸材と言われ、2010年にアジア、欧州の共催試合で1勝、アジアンツアーの最年少賞金王になった。翌11年末の予選会を通過し、昨年にツアーメンバー入り。練習量が選手を測るひとつの要素であれば、ノはツアーでも屈指のそれを誇る。姉と小所帯で大陸を飛び回り、昨年はプレーオフ3戦目まで進出。しかし今年のランキングは158位。石川も「スンヨルはスイングも良いし、安定感もある。もう勝っていておかしくない選手だと思う」と言うのだが。
数年前、まだ日本からの遠征を繰り返していた時期から、石川が米ツアーで成功するために強調してきたことがある。一年の長いツアーを戦う上で、毎試合安定して賞金を積み重ねていくのは、当面の間は難しい。調子とコースとの相性がマッチした時に、爆発的な成績を残せるかどうかを、重要視してきた。
だが今季、石川に訪れたその瞬間はわずかだった。腰の故障に泣かされた序盤戦の悪いリズムは、初めてオーガスタで60台をマークした「マスターズ」の最終日を境に好転した。それでもその後トーナメントを引っ張るような、爆発的な活躍はできなかった。「調子がいい時、グリーンとの相性がいい時、そこにハマることが大変だった」と悔やむ。
石川も、コーリーも、ノも、毎年開催コースの変わるメジャーで常に活躍できる世界トップクラスの選手たちとは依然として力の差があり、“ハマらなければ、成績が出ない”部類に入るのだろう。しかしツアーメンバーの大半は、まさにそのレベルのプレーヤーが占めている。そして彼らは、“ハマっても、成績が出ない”レベルよりは上なはずだ。
入れ替え戦は、29日(木)開幕の「ホテルフィットネスチャンピオンシップ」からスタート。視線は既にその最後のサバイバルレースにも置かれている。「2週間後に良い感じでつなげられるようしたい」。だからこそ、石川は今週のトーナメントも無駄にするわけにはいかないのだ。(ノースカロライナ州グリーンズボロ/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw