ミズノオープンは全英の日本地区最終予選会。最終日、ロイヤルリザムへの道を切り開くのは？

7月19日（木）に開幕する2012年の海外メジャー第3戦「全英オープン」は、11年ぶりにイングランド北部のロイヤルリザム＆セントアンズを戦いの場とする。開催コースでは最多、大小206個のバンカーが口を開け、選手たちのミスショットを容赦なく呑み込んでいく難コース。その一方で全英会場にしては珍しく、各ホールがセパレートされ、クラブの脇を列車が通過する異色の光景は今年も変わらない。しかし前回、ここで行われた2001年大会とは少々、顔を変えたセッティングとなりそうだ。

岡山県のJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で開催中の「～全英への道～ミズノオープン」に合わせ、来日したR＆Aのデービッド・ワイバー氏とドミニク・ウォール氏は、今年の全英会場の変更に「世界最高の選手を決めるテストになるはず」と自信を見せている。

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最も大きな変更点は前回大会で最も易しかった3ホールの改造。01年に最も平均スコア（対パー）が良かった6番はパー5からパー4となり、フェアウェイの中央に2つバンカーを設置。ティショットをラフに入れた際の対処がより難解になった。「一番易しかったホールが、一番難しくなる可能性がある」とはワイバー氏。そして難易度17番目だった7番パー5はグリーンを改造し、マウンドの位置が変わった。次に易しかった11番はパー5のままだがティグラウンドを新設し、距離を56ヤード伸ばして598ヤードとなった。

かつて青木功らのキャディとして同コースを回り、今年の全英でもレフリーの一員となる日本ゴルフツアー機構の山中博史専務理事は「選手にとってはこの3つが稼ぎどころだった。前回出た選手であっても、攻め方が変わってくる」。クラブのあるランカシャー地方は5月の長雨により、芝も元気いっぱい。ラフもより密集するコンディションが整っているという。

そしてロープの外では、今大会は時代の流れに合わせた“ルール変更”もある。全英オープンは昨年までの5年間、ギャラリーに携帯電話のコースへの持ち込みを禁止していたが、これを解禁。昨シーズンからのPGAツアーなどと同様に、通話可能な制限エリアを設け、スマートフォン向けアプリなどで情報を提供し、ロンドン五輪直前に開催される最高峰の戦いをコース内だけでなく世界に発信していく。

ところで、同コースでの全英を2度制したのはセベ・バレステロスだった（全英自体は通算3勝）。メジャー初勝利となった79年大会最終日に見せた16番での駐車場からのショットは、いまも語り草となっている。同氏が死去してから初めて行われるリザムでの一戦。「彼の優勝を一度だけ見た人、二度とも見た人も会場を訪れるでしょう。そのときのことを思い起こしながらね」とワイバー氏は目を細めた。

会場には昨年ロイヤルセントジョージズGCで行われた大会に続いて、セベの写真などをコースに展示するプランもあるという。時が流れ、戦いの場に変化が起こっても、今年も変わらない激闘をセベは天国から見守っている。（岡山県笠岡市／桂川洋一）