アンカーリング禁止も、長尺パターは生存へ
【WORLD】中長尺パター狂騒おさらい アンカーパターの行方
Golf World(2012年12月10日)texted by E Michel Johnson
初期反応から判断すると、ルール改定の提起からルール化までには多くの論戦があることがうかがわれる。アンカーリング禁止の可能性に対するリアクションはすぐに巻き起こり、24時間いつでもニュースがあり、ソーシャルメディアを使って誰でもPCか携帯から自分の意見を簡単に投げかけられることから、それは想像できたことだ。
12月の「ワールド・チャレンジ」の会場でグレーム・マクドウェル(北アイルランド)は「ルール上の“言い回し”がカギになると思っていたよ。そして、それは熟考され賢明な決定のはず。答えは一つしかなかったんだろうね」と語る。
<< 下に続く >>
ブラント・スネデカーは、さらに一歩踏み込み、提案されたルールを支持するだけでなく、USGAとR&Aこそがゴルフの規則を作る組織であると語っている。「いつも言っていることだが、ツアープロとして僕たちは非常にスマートだと思っているけど、ゴルフというゲームを統治するということになると、どうしていいか見当がつかないんだ。それを行うのがUSGAとR&A。ピーター・ドーソンとマイク・デービスは非常に知的な人たち。素晴らしい仕事をしてくれるはずだよ」。
一方、反対意見を持つ人たちも同じように感情的になっていた。PGAオブ・アメリカのテッド・ビショップ代表は、同団体のネット調査で回答者の63%がアンカールールに反対していると主張。ゴルフチャンネルに出演した際には、ルール規制はゴルフの発展を妨げ、既にアンカーパターでプレーしているゴルファーの楽しみに打撃を与えるとした。
同氏は「考えてみてください。良いプレーをする人たちは、数多くゴルフをプレーする人々なのです。我が団体への根本的、そして哲学的なこととして、ラウンド数や楽しみに対するネガティブなインパクトが、ゴルフというスポーツに起こるということは失望に値します」と訴えた。
また(米国)LPGAと欧州ツアーが改定に同調する中で、PGAツアーの態度は「USGAとR&Aは、ルール改定について我々に情報をアップデートしてくれているが、我々はその最終文言を確認するに止まっているし、政策委員会とメンバーと情報共有したばかり」と曖昧だ。PGAツアーによれば、この改定について討論されるのは1月のサンディエゴで開催される次回のプレーヤー・ミーティングなのだとか。議論も、2015年秋にスタートする2016年シーズンから、今回のルール改定を早期に遂行するかということになるらしい。
一方、チャンピオンズツアーで活躍するトム・レーマンは、はっきりと今回の改定案を批判した。「若い連中の中には、ベリーパターで育ち、トラディショナルなパターを使ったことがないものだっているんだ。彼らに、(アンカークラブの使用が)規則違反だとか、ゴルフのスピリットに反していると言ったって手遅れなんだよ。これは不公平だし、僕の見解では道義に反することだ」と一刀両断した。
ところで、アンカークラブ使用者の代表格と言える2人は、今のところ彼らの懸念を抑えているようだ。「僕にとっては、今回の改定案を100%理解することは難しい」と話すのは2011年の全米プロをベリーパターを使って勝利したブラッドリー。この優勝がアンカークラブ使用の是非を問う転換点と見られている。「USGAがゴルフという競技を守ろうとしていることは分かっているよ…僕が個人的にできることはあまりないんだ。はっきりさせたいことは、僕がUSGAのしていることをリスペクトしているということ。誤解を招くようなことは言いたくないんだ」。
シンプソンも、規制に向けて提案については冷静に語っている。「僕の想定内。彼らの方針は分かっていたから驚いてなんかいないよ。3年半あるからショートパターにアジャストできているといいね」としている。