

2020年 マスターズ
期間:11/12〜11/15 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、男子メジャー「マスターズ」が11月への延期を決めました。本来なら世界中がゴルフの祭典に沸いていたはずの4月第2週。オーガスタの悲劇のヒーローたちにスポットを当てながら、7カ月後の大会に思いをはせます。
1968年、ゴルフ史に残る大事件が起きた。優勝争いのさなか、17番でバーディを奪ったロベルト・デ・ビゼンゾ(アルゼンチン)。マーカーのトミー・アーロンが「3」ではなく「4」と記入した間違いに気づかず、スコアカードにサインしてしまった。ボブ・ゴールビーと並んでプレーオフのはずが、1打及ばず2位。最終日の4月14日は、45歳の誕生日だった。
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ジャック・ニクラスが大会最年長46歳で制した1986年、ラリー・マイズ、セベ・バレステロス(スペイン)とのプレーオフに敗れた翌87年とマスターズで惜敗を繰り返してきたグレッグ・ノーマン(オーストラリア)。96年は2位に6打差をつけて迎えた最終日に「78」と大崩れ。メディアから辛らつな質問を浴びせられても、堂々たる姿を貫いた。
2011年大会の最終日、まだ21歳だったロリー・マキロイ(北アイルランド)は2位に4打差をつけて初のメジャータイトルに挑戦した。しかし、10番でティショットを左の林に打ち込み、痛恨のトリプルボギー。「80」をたたき、15位に沈んだ。キャリアグランドスラムへの最後の関門がマスターズとなっているのも、何かの因縁だろうか。
“ガラスのグリーン”と評されるオーガスタでは、微妙な傾斜が選手を惑わせる。2016年、マスターズで2度の2位に入っているメジャー通算4勝のアーニー・エルス(南アフリカ)が、まさかの事態に見舞われた。初日1番で3打目のアプローチを60㎝に寄せたものの、そこから6パット。「9」をたたき、1番ホールのワースト記録を更新してしまった。
2016年、大会連覇へ2位と5打差でサンデーバックナインに入ったジョーダン・スピースを悪夢が襲った。12番(パー3)でティショットをグリーン手前のクリークに落とし、ドロップ後の3打目も水の中へ。このホール「7」で首位陥落。ダニー・ウィレット(イングランド)にグリーンジャケットを着せるうつろな表情は、悲痛なコントラストだった。
初めて世界ランキング1位に上りつめた2017年2月の「ジェネシスオープン」から出場3試合連続優勝とこれ以上ない勢いでオーガスタに乗り込んだダスティン・ジョンソン。開幕前日、コース近くに借りていた家の階段から転落して腰を強打。初日も会場入りして最後まで出場の可能性を探ったが、無念の欠場を余儀なくされた。
開幕前日恒例のパー3コンテスト。2018年に念願のマスターズ初出場を果たしたトニー・フィナウは7番でホールインワンを決めると、大喜びした際に左足首をひねって脱臼してしまった。それでも患部をガチガチに固めて強行出場し、10位フィニッシュ。「100点満点」と無邪気にはしゃぐ大物ぶりを発揮した。