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2013年 全米オープン
期間:06/13〜06/16 場所:メリオンGC(ペンシルベニア州)

【WORLD】メリオンGCの幽霊の隠れ家

Golf World(2013年6月13日号)texted by Jeff Silverman

数ヶ月後、2001年に84歳で他界したジョージ・スクダーにちなんで名付けられた、ジョージ・スクダー・ルームがオープンした。「ジョージ・スクダーさんには一度もお会いしたことがなかったが、これが彼の人生そのものだったことは確かだ」と、アーカイブのコンサルタントを続けるマッチは言う。「整理整頓が出来るタイプではないが、歴史を愛したことは確かだ。彼の個人的な勉強でもあった。ジョン・ケイパーズが現れるまで、スクダーさんほど時間を費やした人物はいなかっただろう」。

もちろん、ケイパーズはその場にいたが、コレクションが新しい場所に移り、その保存を目的とした委員会が設立され、委員長に就任してから、アーカイブはケイパーズの助けを求めるようになった。

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もじゃもじゃの白髪頭で笑顔を浮かべるケイパーズは、ゴルフ界の自然児だ。70年間メリオンの会員であり続けるケイパーズは、子宮にいる頃からゴルフとのつながりを持っていた。母のメアリー・ケイパーズは、息子を産む前年に、後に10度優勝するクラブ・チャンピオンシップで初優勝を果たした。ケイパーズ自身も7度優勝している。そして、1966年には、ユニークな母と息子の記録を生んだ。全米アマチュアで、2人とも予選を突破したのだ。さらに、それから50年間にわたり、ケイパーズは毎年必ずメリオンにある2コースのどちらかで70を切り続けている。

それでも、ケイパーズは自分のゴルフに対する情熱が、いつプレーという枠を飛び越えたのか覚えていない。ゴルフの歴史は、ケイパーズにとって北極星であり、その珍しさが好奇心をそそる。ゴルフ・コレクターズ・ソサエティでは最長メンバーであり、2人の創設者に並ぶ勢いだ。

「私は生きる歴史なんだよ」と、ケイパーズは言う。そして、このアーカイブは生きている。現在は退職しているが、アーカイブ関連の活動には、かなり残業をする正社員並みの作業時間に匹敵する労力を注いでいる。集める。収める。ウェブを検索する。そして、メンバーやゲストに、アーカイブを披露することを楽しみにしている。

ケイパーズが案内するアーカイブ・ツアーを、毎年約400人が利用している。このツアーは、素速くザッと見回すものから、時間があれば、クラブハウス内の至るところに展示されるアーカイブまで巡る1時間以上のものまである。ケイパーズにとって、メリオンを楽しみたいなら、ファーストティやテラスバーはもちろんだが、この歴史も欠かせないものだ。「これは20番目のホールなんだ。最後の締めくくり。そして、何よりもみんなでシェアすることができる」。もしメリオンがオフィシャル親善大使を置くなら、ケイパーズこそ、その人だ。

オフィシャルでなくても、素晴らしい仕事を果たしている。「いつも家に帰る前に、誰かアーカイブを見たい人がいないか確かめるために、テラスまで出て見るんだ」。昨秋のある日、この誰かは、ブランドン・デューンズのマイク・カイザーだった。ツアーの最中、カイザーは、ホーガンが使ったマクレガーのアイアンセットをブランドンのショーケースに展示しないかと持ちかけられたが、メリオンの方が相応しい場所だと思ったと、ケイパーズに話している。

毎年寄贈されるアイテムの半分以上は、メンバー以外から贈られたものだ。昨夏にプレーし、アーカイブを訪れたあるゲストは、ボビー・ジョーンズの自伝「Golf Is My Game」のサイン入り本を寄贈した。1971年にメリオンで5位タイになりゴルフ界を驚かせた亡きジム・シモンズの家族は、参加者バッジを寄付した。グラハムは自分のパターを、トレビノは優勝後の写真が表紙を飾る雑誌をサインして贈った。昔のクラブロゴが入ったジッポ・ライター、元クラブ代表の手紙、1930年のイースト・コースの地図なども、アーカイブに寄贈された。今年の初めには、1907年に発行されたゴルフの借用証書が15ドルでeBayに出品されているのをケイパーズが見つけた。借用金額は、落札額とほぼ一緒だった。

「これはみんな重要なものだ。そして、すべてがメジャーに関するものではない。これはクラブに関するもの。今日集め始めなかったら、明日はない。多くのクラブが自分たちに関する情報をまったく持っていないが、本来は持っているべきなんだ」。これは、耳を傾ける人に聞かせるゴスペルでもある。

どうしてか? なぜなら、クラブとはゴルフ好きが集まるコミュニティの場であり、文化が集まる大きな器のようなものだ。そのクラブがケイパーズが愛するメリオンであっても、芝が伸びない地元の公営クラブであっても、ゴルフを楽しむ人々に意義と忠誠心を与えてくれる。過去はプロローグだが、それだけではない。ボロボロの青写真が思慮なく投げ捨てられる時、見当外れなことが重なったり、最古のメンバーが回想録をつけることなしにこの世を去る時、何かが失われていく。それらがなければ、ゴルフは本質を失っていく。それがなければ、ゴルフはただのスポーツだ。

「だからこそ、私は幽霊たちのために働いているんです」とマッチは言う。「彼らの代わりに起きた全てを記録しているか否かは、私たち次第だから」。

私たちの代わり、でもある。

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