2012年 全米オープン特集
2012年 全米オープン
期間:06/14〜06/17 場所:オリンピッククラブ(カリフォルニア州)
【WORLD】タイガーは今季2勝を引っさげ全米オープンへ
Golf World (2012年6月11日号) texted by Jim Moriarty
結局のところ、タイガー・ウッズにはまだ余力が残っていたようだ。今季2勝目を挙げた「ザ・メモリアルトーナメント」の最終日。ミュアフィールド・ビレッジの16番グリーン奥からのフロップショット、彼の膝の動き、そしてガッツポーズと雄叫びは、彼の限界のない才能を再び世界に示すことになった。
60度のウェッジで放ったあのアプローチは、誰もが考えることがなかった結果を生み、ウッズが再び伝説を生むためのパズルの一片を見つけることになった。
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上がり4ホールを3アンダーで回り、ロリー・サバティーニ、アンドレス・ロメロに2打差をつけて同大会通算5勝目を飾ったウッズ。そして彼は歴史的な快挙を成し遂げた。ツアーの通算勝利数でジャック・ニクラスの73勝に並び、そしてその勝利をニクラスのコースで挙げたのだ。ウッズは「とても誇りに思うよ。ジャックが見ている中、ここで勝てたんだからね。選手である僕らにとって、彼はとても大きな存在だ。彼こそ最高のチャンピオンだよ」。
そしてタイガーはこの勝利によって「全米オープン」を直前に控えたいま、危険な存在になった。混乱し、怒り、そしてフラストレーションを溜めた「マスターズ」の2週間前のアーノルド・パーマー招待(ベイヒル)で優勝した、あの時点での彼よりもはるかにだ。
メモリアルでウッズは素晴らしいプレーを見せた。最終日にフェアウェイを外したのは1回だけ。激しい暑さに悩まされた日が2日間もあったが、パーオン率ではトップだった。最終日に「68」をマークすると「最近の中では非常に調子が良かった。必要なときに必要なショットが打てるのは楽しい。今日はミスがなかったね。週を通じてそうだったと思う」と言った。
元コーチのハンク・ヘイニーの時とは違い、ショーン・フォーリーとウッズの取り組みはまだ発展途上のようだ。ウッズは「まだ僕たちは現在進行形だ。ハンクのスイング理論は複雑だった。手でする動きのいくつかを理解するにも少し時間がかかった。(今は)そこが違うね」と語る。
このトーナメントで話題となったのはウッズの巧みなボールストライキングだが、やはり記憶に残るのは50フィート(約16メートル)の距離を、沈めたフロップショットだろう。サバティーニが、バックナイン最初の4ホールで4オーバーとしたスペンサー・レビンを逆転し、ウッズが16番のティグラウンドに来たときは、まだウッズはサバティーニに1打差をつけられていた。ウッズが8番アイアンで放ったティショットはグリーンをオーバー。「ボールは芝が密集したライにあった。(奥には)池があったからね。大きくカット目に打った理由はそれ。ミスしてもショートするようにね。(意外にボールが)ソフトに落ちたのには驚いたよ。それからダウンヒルを転がってカップインしたんだ。“オーガスタの16番”のようだった」。2005年のマスターズ最終日に見せた伝説のチップイン。ウッズの抑えの効かない大きなリアクションは、それを連想させた。
メモリアルの大会ホスト、ニクラスは友人でありライバルでもあるトム・ワトソンに、心の底から湧き出る感情をまくしたてた。「これまで色々なショットを見てきたけれど、あのショットよりすごいものはない」。
サバティーニは、ウッズの劇的なチップインによる興奮が冷めやらぬコースで、16番のティショットをグリーン右サイドのバンカーへ。このホールをボギーとし、ウッズに逆転されると、最終ホールでバーディパットを決めたウッズに優勝をさらわれた。
今年4月、オーガスタナショナルで大きな挫折感を味わったウッズ。メモリアルの開幕前は、彼がフィル・ミケルソンよりも良いプレーを見せることに集中して試合に臨むことなど誰が想像しただろうか。一方のミケルソンはギャラリーが携帯電話で写真を撮る中を「さよなら」といいながら棄権していった。そして地元の通信サービスにケチをつけたという。ミケルソンは明らかに精神的に疲れていた。しばらく、ドル安を利用してヨーロッパでバケーションを過ごしていたが、もし世界を救いたいのなら(MLBの)サンディエゴ・パドレスを買うのではなく、ギリシャを買うべきだろう。
この大会のウッズは、序盤からショットが好調で、この時期のオハイオでは珍しい固く、速いコンディションの中、2アンダー「70」にまとめてトーナメントをスタート。これはミケルソンよりも9ストロークも良かった。ここで初日に「70」を出したことは、全米オープン会場のオリンピッククラブでも通用するはずだ。
ニクラスの通算勝利数に並ぶ前のウッズの偉業は、ベン・ホーガンの通算64勝に並び、それを超えたことだった。それは2008年のことで、彼が最後にメジャーを制したとき、全米オープンに勝利した年の出来事だった。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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