“グースウェッジ”が米ツアーでじわり流行 「RTZ」のオフセットモデルを発見
◇米国男子◇チャールズ・シュワブチャレンジ◇コロニアルCC(テキサス州)◇7289yd(パー70)
練習日にスリクソンのツアーバンを訪れると、ロジャー・クリーブランド氏の姿を見つけた。ウェッジの巨匠が何気なくツアーバンにいることに思わず二度見してしまったが、挨拶を済ませてその手に持っていたウェッジを見せてもらうと、今度はクラブのほうに目が釘付けになった。
バックフェースには「RTZ」の文字。構えるとリーディングエッジが引っ込み、強烈にグースが利いていた。クリーブランド氏によれば、最近は米ツアーでもグースネックの需要が増えてきているという。日本の高麗芝や野芝などの立った芝に対してボールを拾いやすいグースネックが合うと言われてきたが、ボールが沈みやすい米国の芝にも適しているのだろうか。
「こういう形は昔からあって、私が最初に作ったウェッジもオフセットが大きいモデルでした」と、懐かしそうに語るクリーブランド氏。「確かに日本は芝が立っているからオフセットのほうが打ちやすいのかもしれません。一方で米国は芝が低く、オフセットは少なめが好まれる傾向にあります。リーディングエッジがストレートに見えるほうが良いという人も多いですからね。ただ、私たちはどんなプレーヤーにも合うウェッジを作りたいと思っているんです」
そのクリーブランド氏によれば、ゲーリー・ウッドランドが7年ぶりの勝利(テキサスチルドレンズヒューストンオープン)を挙げた際に使用していたのもこのグースウェッジだったという。
「彼のコーチであるランディ・スミスが昔からオフセットを好んでいて、そのつながりでウェッジを試してもらうことになりました。ゲーリーは、見た目を気に入ってくれて、とにかくフェースを開きやすいと言っています。この形だとフェースを開いたときに、地面にペタッと収まって見えます。また、ウェッジでは手の位置を上下に動かしてロフトを調整しますよね。手元を低くすればロフトが増えますが、オフセットだとその操作がとてもしやすいんです」と説明する。
ツアーバンを後にして練習場に向かうと、ちょうどウッドランド本人が球を打っていた。早速話を聞くと、ロブウェッジの60度をみせてくれた。歯が大きく引っ込み、強いグース形状だった。
「オフセットだとインパクトでボールコンタクトが良くなる感覚があります。ストレートネックやオンセット気味だと、ハンドファーストが強くなってリーディングエッジが出やすく、どうしても刺さる動きになりやすい」と手元の動きを交えながら説明する。
「自分の場合は、オフセットのおかげでリーディングエッジを浅く入れやすくなります。最初から地面に当たる形にならず、しっかりバウンスを使えるんです」とウッドランド。実は優勝のだいぶ前から、こうしたグースの強いモデルを使っていたという。
「オフセットって少し古臭いイメージがあって、一時は敬遠された時期もありましたよね。でも自分はこれが好きなんです」と照れ笑いを見せた。
ウッドランドの話は止まらない。「アイアンでも、もう少しオフセットのあるものを使おうと思っています。大学時代はタイトリストの『680』を使っていましたが、あれもそれなりにオフセットがありました。オフセットがあるクラブのほうが体の動きに合うし、クラブも良い軌道で下ろせると感じています」
ほかにもリッキー・ファウラーが同じRTZのオフセットモデルを使用している。ジワリと広がりを見せるグースウェッジ。日本での発売はあるのか。他社も追随するのか。その動向を今後も追っていきたい。(テキサス州フォートワース/服部謙二郎)