シャフトウォーズ初夏の陣 「FI」「ゴールド」「CORE」…ツアーで新モデルが続々とお披露目
◇国内メジャー第2戦◇BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 事前(3日)◇宍戸ヒルズCC西コース(茨城)◇予選ラウンド7397yd(パー70)、本戦7430yd(パー71)
ツアーでこの時期の定番となりつつあるのが新作シャフトのローンチだ。昨年、石川遼が本大会でグラファイトデザインの「ツアーAD GC」を即投入し、優勝争いしたのは記憶に新しい(プレーオフで敗れて2位)。先週の「ミズノオープン」では三菱ケミカル「TENSEI」の新モデルと思しきシャフトも確認された。そして今週もグラファイトデザイン、藤倉コンポジットの新シャフトのテストが始まっていた。
まずは新しいツアーADをチェック。すでに海外で松山英樹と竹田麗央がテストをしていて話題になっていたエメラルドグリーンのシャフト。モデル名などは明かされていなかったが、接近してラベルを見てみると「FI」の文字が刻まれていた。「FAT IMPACT」「FULL INTENSITY」「FAIRWAY INSIDE」などの言葉の略語としていろいろ想像できるが、正式名称は同社のツアーレップもまだ教えてくれなった。よく見ると「TOUR AD」のロゴも変っている。何か理由があるのだろうか。
性能面もまだ謎だが、これまでの同社のモデルの流れを踏まえると、今回は手元系のシャフト(グラファイトデザインは手元調子と先端調子を繰り返しており、今回は“手元年”)だと推測できる。テストを終えたばかりの山田大晟に話を聞くと、「DIより少し手元がしっかりしている感じがある。練習場で打ってすごく良かったので、練習ラウンドにもっていってさらに試します」と評価は上々。山田は長年の「DI」ユーザー(今は「PT」)。「DI」のヘビーユーザーである松山英樹も、同じく手元系「UB」を長らく使う竹田も、この「FI」に好印象を持っていたことから、進化バージョンと想像がつく。
もうひとつ特徴的なのはその太さ。前作「GC」は太い芯棒で作ったモデルで「シャフト自体が太くなっています」と山田が言及するように、今回の「FI」も同じとみられる。ちなみに、GCにハマっている石川も「FI」をテストした模様。「球がつかまる感じがあっていいですね」と好印象だったようで、昨年のゲンを担いで即投入もあるか!?
続けて、藤倉コンポジットのシャフトを観察。見た目は発色のいいゴールド。同社でゴールドというと、「ランバックス」を思い出してしまったが、それよりも高級感のあるいい色合い。こちらもその性能や名称などはメーカーから明かされていないが、ラベルのロゴから推察するに「スピーダーNX系」のシャフトの後継と思われる。
前々作の「グリーン」が中系、前作「バイオレット」が先中系だったことから、中系のシャフトで、かつグリーンの後継であろう。注目はラベルの中に入る「DHX」の文字。前作「バイオレット」から投入されたヘッドスピードが上がるという触れ込みのテクノロジー。それを「ゴールド(勝手にゴールドと呼ばせてもらう)」も踏襲している。まさにスピードが出て強い球が打てそうなゴールドシャフト。いまだにグリーンユーザーが多い女子ツアーで流行りそうな予感がする。
こちらは稲森佑貴と植竹勇太がテスト。元々グリーンユーザーの稲森は「スピードが上がって振り心地もいい」と好感触だったが、今週はメジャーのため投入を一旦控える様子。ブラックユーザーの植竹は「ブラックと(かつて使用していた)スピーダーTRの間ぐらいで振りやすい。試合で行ってみます」と実戦投入を予告した。
先週ツアーローンチされた三菱ケミカル「TENSEI PRO BLACK 1K CORE」というモデルは選手が続々とテストを開始。池村寛世のバッグにインしているほか、竹安俊也、杉原大河、谷原秀人らがテストをしていた。まさにバッチバチの三つ巴の戦い。覇権争いが、ことしも水面下で始まった。(茨城県笠間市/服部謙二郎)