シャフトウォーズin女子ツアー 「FI」「ゴールド」に「VANQUISH」&「ULTRA」が加わりバッチバチ
◇国内女子◇宮里藍 サントリーレディスオープン 事前(11日)◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫)◇6558yd(パー72)
先週は男子ツアー「日本ゴルフツアー選手権」での、グラファイトデザイン「ツアーAD FI」と藤倉コンポジット「スピーダー NXゴールド」のバッチバチの戦況をお届けした。今週はその2機種に、三菱ケミカルの新シャフト「VANQUISH VV」とUSTマミヤ「ATTAS ULTRA」が加わり、4社ががっぷり四つの戦いを見せていた。
小祝さくらは「FI」にスイッチ
小祝さくらが先週「ヨネックスレディス」から「FI」にスイッチしていた。「発端はユーティリティのシャフト探しからだったんですよね。なんか良いのないかなと」。その中で試したFIの感触が思いのほか良かった。「自分に合いそうだって担当の方が持ってきてくれて、打ってみたら良かったんです。けっこうしっかりした感じがあるので、なんかブレない。左にいく感じが少ない」と投入の決め手を話した。
小祝の他に、山路晶(6S)、内田ことこ(5S)、泉田琴菜(6S)がすでに投入済みで、スイッチは早い。全美貞(韓国)、宮田成華らもテストして好感触と聞くから、やはり手元系を好むユーザーが切り替える傾向だ。
稲垣那奈子は「NXゴールド」がお気に入り
続いて「NXゴールド」。こちらは今週からツアー投入が始まり、いきなり替えそうなのが「リゾートトラストレディス」で優勝した稲垣那奈子だ。トラックマンで数値を測りながらテストをし、「適性のスピン量で飛距離も出ています」と何度も球を打って振り心地を確かめていた。その後、「今週、替えます」といきなりの投入を示唆。
また元々「NXグリーン」や「NXバイオレット」を使ってきた阿部未悠も、ブリヂストンの新ヘッド「BX2 HT」に新しいゴールドシャフトを挿してバッグイン(5S)。「(前作と目される)グリーンに比べてしなりがあって、打ち出しが上がります。私は間を取って振るほうだから、このしなる感じが好きですね。初速が速くなった一方で前よりスピンが減った」と替えない手はなかった。
同じく桑木志帆も、ブリヂストンの新ヘッド「BX1 LS」にゴールドを挿した。前週の海外メジャー「全米女子オープン」で飛距離差を感じた矢先でのスイッチ。「45.5インチに長さを伸ばしたのに、スピンが減ってくれたんです。元々3000~3200(rpm)近くスピンがあったんですが、2500回転ぐらいで落ち着きました。初速も1m/s近く上がった」と、飛距離アップの武器を見つけた様子。開幕前日のプロアマ戦では、出だしの3ホール以外は、全て『新ヘッド×新シャフト』でラウンドしていた。
ツアー投入初週で、切り替えが早いゴールド。女子ツアーで使用者の多いグリーンの後継と目されるシャフトだけに、やはりこの戦いの中心になりそう。
柏原明日架は2代目「ヴァンキッシュ」を投入へ
三菱ケミカルは「VANQUISH VV(ヴァンキッシュ ヴィヴィ)」と「TENSEI PRO BLACK 1K CORE」の2機種を男女ツアーで投入している。女子ツアーでは前者のヴァンキッシュ2代目を試す選手がチラホラ。いわゆる軽量級シャフトで、メーカーの担当者によれば、「中調子で癖がないモデル。方向性が安定しやすい」とのことだ。
いきなり投入を決めたのが、もともと「TENSEI PRO BLUE 1K」を使っている柏原明日架。「40グラム台と聞いて物足りないかなと思いましたが、意外としっかりしていてびっくり。球が上がって初速も出る。それでいてスピンが入りすぎないんですよね」と言い、一発打ってはGC4の数値を見ながら喜びの声を上げていた。「インパクトゾーンが長く感じられるシャフト。そう感じるモデルは左に行きそうな怖さもあるけど、それもない」と高評価。
一方で先週からテスト(5SR)しているという小滝水音はもともとヴァンキッシュユーザー。「前作より少し、しっかりしていますね。しなり戻りの良さは変わらずに、振っても暴れなくなった。気持ちよく振れます」と好感触。「筋トレしてパワーアップしたので、前のヴァンキッシュだと少し暴れるようになっていました。あとはタイミングの慣れで、それをつかんでいけたらすごくいいかな」と投入も間近か。他にも葭葉ルミ、臼井麗香、吉本ここねらがテストを重ねていた。
USTマミヤの「ATTAS ULTRA」に関しては既報の通りだが、小林夢果、木戸愛、稲見萌寧ら、もともと同社のシャフトを好んで使っている選手を中心にテストしていた。
シャフトウォーズのその後の展開、ツアーの戦況は定期的にお伝えしたい。(神戸市北区/服部謙二郎)