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2015年 ザ・バークレイズ
期間:08/27〜08/30 プレインフィールドCC(ニュージャージー州)

<選手名鑑170>ロバート・ストレブ

■ ランキング急上昇。狙え!12億円ボーナス

いよいよシーズン最終シリーズ、プレーオフ4試合が今週からスタートする。このシリーズでポイントランク1位の選手が年間王者となり、各大会の賞金以外に1000万ドル(約12億円)という巨額ボーナスを獲得する。フィールドはレギュラーシーズンでのポイントランク125位までの選手で、第1戦が今週の「ザ・バークレイズ」だ。シリーズ4試合は生き残り戦で、2戦に駒を進められるのは100人、3戦目は70人、最終の「ツアー選手権」は30人のみ。3戦までの各優勝者には、レギュラーシーズンに開催された試合の4倍のポイントが付与されるため、下位からの大逆転も可能で、大いにヒートアップする。

昨年のシリーズ優勝者ビリー・ホーシェルは、初戦の今大会で予選落ちしランク82位だったが、その後2位、優勝、優勝と、驚異の大逆転で年間王者に輝いた。ホーシェルが4試合で獲得した賞金とボーナスの合計は、現在のレートで約14億円(1144万ドル)だった。

今年からはポイントシステムが少し変更になり、優勝者に付与されるポイントが“2500”から“2000”に減らされることになった。昨季、メジャーに2勝していたロリー・マキロイ(26)が年間王者になれなかったのは、優勝ポイントが大きすぎたからではないか?という選手や関係者の意見が多かったため、マイナーチェンジが行われた。今季はレギュラーシーズンで獲得したポイントを尊重しつつ、逆転の可能性も残したシステムになった。

プレーオフシリーズはポイントと世界ランクで1位になったジョーダン・スピース(22)、足首の負傷から復帰したマキロイ、「全米プロ」でメジャー初優勝したばかりのジェイソン・デイ(27)による、20代の若き世界ランクトップ3が中心に動いていくだろう。だが、あまり目立たないものの、今季急上昇中のロバート・ストレブ(28)にも注目だ。

開幕3試合目(2014年10月末)の「マックグラッドリークラシック」でツアー初優勝を飾り、ポイントランク1位へ躍り出た。その後もトップ10に9回と、ハイレベルなプレーを続け、ポイントランク6位でプレーオフシリーズに突入する。世界ランクも今季序盤は300位以下だったが、7月には50位にランクイン。8月の「WGCブリヂストン招待」で5位タイ、「全米プロ」10位タイの好成績で、現在、世界ランクは33位まで浮上した。スピースやデイのメジャー優勝で、ストレブへの注目は少なかったが、今季もっとも躍進した選手といっていい。来季の「マスターズ」などメジャー出場も濃厚で、期待がふくらむが、年間王者の可能性も十分にある実力者。まずは今季を総括するプレーオフシリーズでも躍動してほしい。

■ 苦肉の策“ウェッジでパット作戦”が大成功!9ホールで怒涛の5バーディ

ストレブが話題をさらったのは、7月の「ザ・グリーンブライアークラシック」最終日だった。9番グリーンで、パターをキャディバッグ近くに軽く投げた時に、あたり所が悪くヘッドが折れてしまった。ゴルフ規則では、クラブの機能を変えたり壊したりした場合は18ホールを終えるまで取り替えることが出来ない。パターを使えなくなったストレブは苦肉の策で、56度のウェッジでパットすることにした。トーナメントでもっとも重要な最終日のバックナインで、スコアメイクに直結するパターを使えなくなるのは致命的・・・になるはずだった。ところが本人もビックリ!パターよりも良い感じで、パットが次々に決まり5バーディを奪取。ダニー・リー、ケビン・キスナー、デービッド・ハーンとのプレーオフに加わった。「リーディングエッジで出来るだけボールの真ん中を打つように心がけたことが良かったのかもしれない」と入った秘訣を分析した。

規則に則り、18ホール終了後でパターが使用可能になり、プレーオフは予備のパターを手にした。だが1ホール目(18番パー3)でグリーンをオーバーし脱落。この一部始終を目撃したクラブメーカーのツアーレップは、ストレブのウェッジでのスーパーテクニックに感激し、彼のウェッジのバックソールに、“グリーン上でも高性能のウェッジ”という意味を込めた“チャック・ノリス・スクリプト”を赤文字で刻印した。チャック・ノリス(75)は、ストレブと同じオクラホマ州出身の俳優、武術家で、米国の英雄的存在のひとり。彼の強さ、完璧さを称えるフレーズを作るのは米国では定番ジョークで、ストレブに思い出のクラブが1本加わった。

トム・ワトソンのスピリッツを継承

今季は好成績が続き、念願だった4大メジャーすべてに初出場を果たした。「マスターズ」は予選落ちを喫したが、「全米オープン」は42位タイ、「全英オープン」は18位タイ、「全米プロ」は10位タイと、右肩上がりの成績だった。7月の「全英-」でうれしい出来事があった。敬愛するトム・ワトソンと一緒に練習ラウンドする機会に恵まれたのだった。ワトソンはカンザス州の出身。ストレブの生まれはオクラホマ州だが、大学はカンザス大学出身でカンザス・コネクションなのだ。

それまでも折に触れ、ワトソンからアドバイスを受けていたが、一緒に練習ラウンドを行うのは初めてだった。ワトソンはメジャー8勝のうち5勝と、「全英-」にはめっぽう強い。さらに09年、ターンベリーで開催された大会では、最終日を首位で迎え、59歳での優勝も期待されたほどだった。プレーオフでスチュワート・シンクに敗れ2位に甘んじたものの、還暦目前の熱血プレーはずっと語り継がれていくだろう。

ワトソンは今年のセント・アンドリュース大会を、最後の「全英-」出場と発表した。別れを告げる舞台で、一緒に練習ラウンドを行うのは誰か?と注目を集めたが、ワトソンが選んだのは彼が大きな期待を寄せる初出場のストレブだった。ワトソンから多岐に渡る貴重な情報を得て、ストレブは初日「66」の素晴らしいデビューを飾った。その後も「71」、「70」と、アンダーでまわり順位を上げた。最終日は「73」としたものの18位タイで終了。最後の出場となったワトソンは、初出場のストレブに成功へのバトンを渡したかのように思えた。ワトソンの助言はその後の試合にも生かされ、今季最後のメジャー「全米プロ」では、メジャー初のトップ10入り。ワトソンのスピリッツを継承し、ステディなプレーという自身のエッセンスを加え、ビッグイベントでも好成績をあげ始めたストレブ。彼はさまざまな可能性の扉を開けようとしている。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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