タイガーを燃えさせたモンティの挑発

2日目を終えてウッズはスコットランドのコリン・モンゴメリーに3打差をつけて首位に立ち、エイジンガーにさよならを告げ、モンティに「よろしく」と言った。

ミセス・ダウト、あるいはビリー・バンターのニックネームで知られたモンゴメリーは、8度にわたり欧州ツアーの年間王者に輝き、当時まだ追われる立場として最前線でプレーしていた。リンゴのように赤い頬と、巻き毛が特徴の彼は、まるで成長したガーバーの赤ん坊（有名なベビーフードメーカーのトレードマーク）だった。ちなみに“ビリー・バンター”とは、小学生ながら、反抗的で、小太りで（特にシナモンロールの愛好家であり）、鈍感で、尊大にして、うぬぼれが強く、常に自分が正しいと思っている英国のアニメキャラクターである。

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金曜の夜、モンゴメリーは「（ウッズの）プレッシャーは増大しているし、私の方がはるかに多くのメジャーを経験している」と話していた。

「あれは確かに僕をやる気にさせたんだ」とウッズ。「確かに、彼の方が（メジャーでプレーした）多くの経験を持っていたのは疑いようがない（それを言ってしまえば、全員がそうだったと言える。何しろ、あれはタイガーにとってプロとしての初メジャーだったのだから）。でも、彼はメジャーで優勝したことはなかったし、それは僕も同じだった。もし、メジャーで勝ったことのある人が言ったのであれば、聞き流していたかもしれない。でも、彼はメジャーで1勝もしていなかったから、僕らはお互いに白紙の状態だと思ったんだ」

翌日、「65」をマークしたタイガーに対し、「74」だったモンゴメリーは、インタービュールームの裏口で、コメントを免除されたにもかかわらず、強く弁明した。あれは、メジャー未勝利に終わった彼のキャリアで、彼が最も魅力的に映った瞬間だったかもしれない。

彼はしおらしい笑みで、「今日言えるのは、短いコメントひとつだけ。もう誰にもチャンスはない。僕らは皆、人間なわけだけれど、人間的見地から、タイガーがこの大会で負けることはあり得ない。絶対にない」と言った。

恐らく、その12カ月前に、ファルドがグレッグ・ノーマンとの11打差を逆転したことを思い浮かべたであろう誰かが「なにを根拠に？」と問うた。すると、モンゴメリーは溜め息混じりに、「今、ここに入ってきたばかりなのか？」と答えた。「どこかへ行っていたのか？休暇でも取っていたのか？（ウッズのプレーを見ていなかったのか）」と。

モンティはウッズがボールを“真っ直ぐ飛ばす”ことは知っていた。タイガーのアイアンショットが“とても正確”なことも承知していた。しかし、パターの腕前に関してはわきまえていなかった。「それらすべてが合わさった上に、タイガーは（2位のコンスタンティノ・ロッカに）9打差をつけている。明日、その差がもっと開くのは間違いないと思う」とモンゴメリーは言った。

つまるところ、“ファルドは2位にいない”のだし、“グレッグ・ノーマンはタイガー・ウッズではない”のである。