欧亜豪共催の新フォーマット 谷原秀人、川村昌弘が覇を競う
2017年 ISPS HANDA ワールドスーパー6パース
期間:02/16〜02/19 場所:レイクカリーニャップCC(オーストラリア)
「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」の大会アラカルト
再び革新の年を迎えているヨーロピアンツアーは、新たに始まる今週の「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」でその新機軸の速度を増すことになる。ここに、この大会の胸躍る新方式とその他の要点を紹介しよう。
大会方式
「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」は、始めの3日間を従来の54ホールにわたるストロークプレーで行い、最終日はノックアウト方式のマッチプレーを行って勝者を決定する。
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通常の予選カットは36ホール終了時点で行われ、その後、54ホール終了時点で最終日に進出する選手が更に24人に絞り込まれ、24位で複数の選手が並んだ場合はプレーオフで24人目を決定する。残った選手は、トーナメント形式で争われる6ホール方式のマッチプレーに臨むことになる。
6ホールで決着しなかったマッチに関しては、サドンデス方式のプレーオフが採用される。勝者は次なる6ホールのマッチプレーへと進み、決勝戦を制した者が「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」王者となる。
2016年大会を振り返る
今年より導入された革新的な大会方式により、「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」は公式には新規の大会ということになるわけだが、2012年から2014年、そして2016年には別の日程ながら同じコースで「ISPS HANDAパースインターナショナル」が開催されている。
今大会のフィールドには、かつて開催されていた大会の直近の2王者が含まれており、南アフリカのルイ・ウーストハイゼンは“事実上”のディフェンディングチャンピオンとして西オーストラリアに赴く。
3打差の首位で最終日を迎えた2010年の「全英オープン」王者は、2番でボギーを叩いて後続に付け入る隙を与えるも、7番からの6ホールで3つのバーディを奪って勝利を決定付け、最終ホールではボギーを叩きながらもヨーロピアンツアー8勝目を飾った。
2位には最終日に「66」をマークしたアレクサンダー・レビーが入り、3位には地元オーストラリアのジェイソン・スクリベナーが入った。
2017年大会のフィールド
今週のフィールドで最も世界ランキングが高いのはアレックス・ノレンであり、2017年シーズンもソリッドなスタートを切った世界11位のノレンは初めて西オーストラリアを訪れることになる。
2016年に一大旋風を巻き起こしたスウェーデンのノレンは、ヨーロピアンツアーでシーズン4勝を挙げ、公式世界ゴルフランキングでトップ10入りを果たした。今季に入り「アブダビHSBC選手権」でトップ15入りを果たした彼は、その後「コマーシャルバンクカタールマスターズ」で21位タイに入っており、確固たる自信と共にパースへやって来るのは間違いないだろう。
しかしながら、ノレンは強力なフィールドを相手にせねばならず、出場者リストにはかつてのメジャー王者であるウーストハイゼンに加え、同じくレイクカリーニャップで優勝経験のある2014年「ISPS HANDAパースインターナショナル」王者のトービヨーン・オルセンが顔を揃える。2016年にオーストラリアで開催された「ゴルフワールドカップ」をソレン・ケルドセンと組んで優勝した27歳のオルセンは、南半球での更なる成功を目指している。
デンマークのオルセンに加え、今大会のフィールドにはマーカス・フレイザー、呉阿順、ネイサン・ホルマン、SSPチョウラシア、そしてチャン・シチャンといった2016年に優勝を挙げた選手たちが含まれ、昨年12月に「UBS香港オープン」を制したサム・ブラゼルもその一人である。
その他にも、地元オーストラリアから、「マスターズ」出場へ向け準備を整える現「全米アマチュア選手権」王者であるカーティス・ラック、昨年レイクカリーニャップで3位に入ったジェイソン・スクリベナー、そして地元パース出身のブレット・ラムフォードら多くの選手が出場する。
コース
常にオーストラリア有数のゴルフコースとしてランク付けされるレイクカリーニャップCCは、パース近郊のノースビーチロードで最も標高の高い場所に位置し、磨かれた石灰石と硬材であるマルバユーカリノキの材木で組まれた壁が独特の風合いを醸し出すクラブハウスが一際目を引く。
コースはゴルフクラブの名称にもなっている湖沿いに広がっており、起伏のある地形と木立の並ぶフェアウェイは見る者を魅了する。運が良ければ、その景色のなかに1頭や2頭のカンガルーが入り込むこともある。
フェアウェイは全般的に広く寛容ではあるが、コースには海風が吹き付けるため、ヨーロピアンツアー、アジアンツアー、そしてオーストラレイジアPGAツアーのスター選手たちにとって、公園を散歩するようにプレーするわけにはいかないだろう。
カリーニャップの最も重要な特徴は、熱帯地方特有の茂みとこの地ならではの動植物であり、高くそびえ立つユーカリの木々がそれを雄弁に物語っている。周囲の環境に自然に溶け込んだこのコースは、1920年代にこのコースを設計したアレックス・ラッセルとこの地の生息環境の共同設計であるともいえ、10年前にマイク・クレイトンにより改修が施された。
トリビア
- 「ISPS HANDAワールドスーパー6パース」は、2017年ヨーロピアンツアー国際スケジュールに追加された2つの新規大会のうちの1つである。もう1つの新規大会はシチリアで開催される「ロッコフォルテオープン」である。
- ストロークプレーとマッチプレーの両方式混合で王者を決めるのは、ヨーロピアンツアー史上初めてのことである。始めの36ホールは156人の選手で競い、65位(タイを含む)までが1次予選通過となる。第3ラウンド終了後にも予選カットがあり、ここで最終日に進む選手が24人に絞られる(24位タイで複数の選手が並んだ場合がサドンデス方式のプレーオフが行われる)。最終日は6ホール方式のマッチプレーによるトーナメントで争われ、決勝戦を制した者が初代王者となる。
- レイクカリーニャップCCが初めてヨーロピアンツアーの大会を開催したのは、2002年の「ジョニー・ウォーカークラシック」でのことだった。同コースは、2003年も同大会の開催コースとなった。その後、同コースでは2012年から2014年、そして2016年に「ISPS HANDAパースインターナショナル」が開催されている。
- この大会は、オーストラリアで開催された8つ目のヨーロピアンツアーの大会となる。これまでオーストラリアでは同大会以外に、「ハイネケンクラシック(1996-2005)」、「ジョニー・ウォーカークラシック(1997、2002-03、06、09)」、「グレッグ・ノーマン・ホルデンインターナショナル(2000-01)」、「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権(2001)」、「ANZ選手権(2002-04)」、「オーストラリアンマスターズ(2007-09)」、そして「ISPS HANDAパースインターナショナル(2012-14、16)」が開催されてきた。
- 今大会は2017年シーズンにヨーロピアンツアー、オーストラレイジアPGAツアー、そしてアジアンツアーの3ツアー共催で開催される2大会のうちの1つであり、もう1つは「フィジーインターナショナル」である。
- レイクカリーニャップで開催された2014年「ISPS HANDAパースインターナショナル」を制したトービヨーン・オルセンは、2016年にメルボルンのキングストンヒースGCで開催された「ゴルフワールドカップ」でソレン・ケルドセンと組んでデンマークに大会初優勝をもたらしており、今大会では南半球での更なる成功を目指している。
- レイクカリーニャップで開催された2003年の「ジョニー・ウォーカークラシック」では、優勝したアーニー・エルスがトータル「259」の通算29アンダーをマークし、ヨーロピアンツアーの史上最多アンダーパー記録を達成した。メジャー4勝のエルスは、このとき、54ホールを「193」の通算23アンダーでラウンドし、54ホール終了時点の史上最多アンダーパー記録も作っている。なお、彼による72ホールのトータル「259」はヨーロピアンツアー史上最少ストロークにはわずか1打及ばなかった。
- エルスと同じく南アフリカ出身のメジャー王者であるレティーフ・グーセンは、レイクカリーニャップで開催された2002年の「ジョニー・ウォーカークラシック」でヨーロピアンツアー記録を樹立した。2002年大会を制した彼は、3日目終了時点で13打差の首位に立ち、54ホール終了時点での最大差を記録したのである。
- これまでヨーロピアンツアーの大会で母国制覇を遂げたオーストラリア人選手は次の5人である。ジャロッド・モーズリー(1999年「ハイネケンクラシック」)、ルーカス・パーソンズ(2000年「グレッグ・ノーマン・ホルデンインターナショナル」)、アーロン・バデリー(2001年「グレッグ・ノーマン・ホルデンインターナショナル」及び2008年「オーストラリアマスターズ」)、クレイグ・パリー(2005年「ハイネケンクラシック」)、そしてロッド・パンプリング(2008年11月に開催された2009年シーズンの「オーストラリアマスターズ」)。