【WORLD】エビアンマスターズのメジャー昇格の是非
1998年 マスターズ
期間:04/09〜04/12 場所:オーガスタナショナルGC(米国ジョージア州)
復活カプルス、二度目の勝利なるか?ミケルソン、エイジンガーらがぴったり追随!
まるで今までは予行練習、本当のお祭りは土曜日から始まる、そんなスケジュールだったかのように映る。寒さと風はおさまり、うららかな春の日差しと小鳥の鳴き声がオーガスタに戻ってきた。予選ラウンドだけでオーガスタを去る羽目になったジャンボや丸山は、ひどく損をしてしまったような気がしたに違いない。
風が微風になり、選手たちにアイアンの距離カンがよみがえった。ようやく、ボールを自在にあやつってピンを攻めたり、コントロールしたりというテクニックが通用するようになった。だからオーガスタが易しくなったというわけではないが、「これがマスターズだ」という安心できる内容になった。
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フレッド・カプルスが自信をもってプレーしている。ようやく故障も治り、100パーセントの力でプレーできるようになった。柔らかい球筋もよみがえった。3日目も1アンダー。首位の座をきっちり守った。
好調カプルスの圧巻は13番のミラクルなセカンドショット。クリークぎりぎりの位置からピン50センチにつけてのイージーイーグル。一時は7アンダーまで伸ばした。最後の18番でティショットを林に入れ、痛いボギー。このボギーが最終日に尾を引くかどうか。
もちろん、このまま安全プレーをして勝てるような試合ではない。「明日も今日と同じようなプレーをしないと勝てないだろう」と言っている。オーガスタは守りの姿勢に入った選手を許してはくれないのだ。
内容的にはフィル・ミケルソンが輝いていた。結果としては69だったが、雰囲気は66か67くらいの内容。マスターズではバーディを取るのがとてつもなく難しく、ボギーなんて本当に簡単に出てしまう。本当に素晴らしいプレーを18ホール続けた結果が2アンダーとか3アンダーという結果となって報いてくれる。
上位に人気の選手がそろった。デビッド・デュバルは昨年終盤から一気に開花した哲人だし、マーク・オメーラはもちろん、病苦から再生したポール・エイジンガーもパトロンたちに愛されている選手だ。
タイガー・ウッズももちろんまだ諦めていない。アイアンがあまりにもひどすぎたが、しかし例によって「まだチャンスは十分ある」とコメントしている。トップとは5打差なのだがら、展開しだいでは本当に可能性が残っている。
しかしパトロンが最高に沸いたのは、ジャック・ニクラスだろう。マスターズに40回も出場し、6回優勝。58歳の帝王がまだ健在であることを示してくれた。終盤は長いパットを次々と決めて、なんと1アンダー。タイガーと同じスコアだ。18番のスタンディングオベーションは熱狂的だった。何歳になってもニクラスはスーパースターなのだ。
最終日、タイガー・ウッズはデービス・ラブIIIと組んでスタートする。ミケルソンはエージンガー。そしてカプルスはオメーラ。どう考えてもカプルスが簡単に逃げきれるような試合にはならないだろう。誰が崩れるか。誰が下から上がってくるか。見応えのある最終日になった。
(オーガスタ 久保田千春)