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【WORLD】エビアンマスターズのメジャー昇格の是非

Golf World(2012年9月10日号)voices texted by Ron Sirak

LPGAは大きな問題を抱えている。いくつかあるが、今回はメジャー大会の問題についてだ。「全英リコー女子オープン」がメジャー最終戦として開催されるのは今年が最後。来年からは「エビアンマスターズ」が第5のメジャーに“昇格”するのだ。これは良いことなのか、否か?

良い点は、325万ドルというツアー最高賞金額と同額の大会が継続するということ。エビアンマスターズは欧州女子ツアー(LET)でも最高峰のイベントだが、もし昇格せずにLPGAから離脱し、LETだけの大会となっていればビッグネームの参戦も危ぶまれるところだったのだ。大会を主催するエビアンは、メジャーとなるためにコース設計家のスティーブ・スマイヤーズに依頼しコースをメジャーの水準にし、開催日時を「全英オープン」と「全英リコー女子オープン」の間となる7月から9月に移動することに合意した。

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では否定的な点はどうだろう。まずメジャーが5つになることで、レコードブックが厄介になる。5つのLPGAメジャーを唯一制し、スーパーキャリアグランドスラマーとなっているカリー・ウェブだけに6つのメジャー制覇のチャンスが生まれる。彼女がエビアンに勝ったら、どんな称号になるのだろうか?“超スーパーになったグランドスラム”? ともかく今年の全英リコー女子オープン終了をもって、グランドスラムからゴールデンペンタゴン(金の5角形)となるわけだ。

また、女子ゴルフとメジャーの全ての歴史がとても面倒なことになる。LPGAが公式にメジャー大会を設定したのは1979年のこと。そこから創設された1950年まで遡る。1930年の女子「ウェスタンオープン」が最初のメジャーで、その年開催された唯一のメジャー。「エビアンマスターズ」は5番目のメジャーとなるだけではなく、メジャー競技と指定された8個目の大会となるのだ。

史上最多となるメジャー15勝を挙げているのはパティ・バーグで、「全米女子オープン」1回、「タイトルホルダーズ」7回、「ウェスタンオープン」7回、残りの2回は現在は消滅した大会となっている。そして「タイトルホルダーズ」は現在、シーズン最終戦として復活しているが、メジャーではない。

LPGAのメジャーが4大会になったのは1983年からで「クラフトナビスコ選手権」が既存の「全米女子プロゴルフ選手権」、「全米女子オープン」、そして「ピーター・ジャクソン(後のデュ・モーリエ)クラシック」に加わった時だった。そして2001年からは「全英女子オープン」が「デュ・モーリエ」に代わりメジャーに昇格。1979年から82年までメジャーは3大会で、1973年から78年までは全米女子と全米女子プロの2大会だけだった。

また、1972年に「タイトルホルダーズ」が1年だけメジャーとして復活しシーズン3大会となったが、1968年から71年までは「全米女子」と「全米女子プロ」の2大会。また「タイトルホルダーズ」が誕生したのは1937年で、「全米女子オープン」がスタートしたのが1946年と、LPGAには“メジャー”設定前に3つのメジャーが存在していたことになる。そして、1955年に「LPGAチャンピオンシップ」が加わりメジャーが4大会に。1966年までこの4大会がメジャーとして存在し、1年後に「ウェスタンオープン」がなくなっている。

あなたも混乱しただろう?そう、これが私の言わんとするところなのだ。男子ゴルフは50年以上に渡り、「マスターズ」、「全米オープン」、「全英オープン」、「全米プロ」がメジャーとなっている。記録的にもこれなら簡単だ。タイガー・ウッズジャック・ニクラスのメジャー18勝に挑む中、ツアーが突然、5つ目のメジャーを設定したらどうなるだろうか?(実際のところ、タイガー自身は4年間メジャーVが無いのでこの考えをサポートするかも知れないが)

一方、5つ目のメジャーが誕生することで23歳にしてメジャー5勝を記録しているヤニ・ツェンなど近年のプレーヤーにとっては、メジャー10勝のアニカ・ソレンスタムがプレーしていたころよりも、毎年25%もメジャーVのチャンスがひろがることになる。

ゴルフには不公平なことが多くあるが、男子メジャーの現在の形(以前は「全米アマ」もメジャーだったが)は全体的にみれば幸運なこと。LPGAメジャーに続いている混乱を考え、これが大きな問題となっている事実を踏まえると、平穏なものではあるようだ。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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