リッキー・ファウラーの戦績・プロフィールなど
待たれる新星誕生と、王者復活/2011年米国男子ツアープレビュー
アメリカPGAツアー2011年シーズンのスケジュールがリリースされた。賞金ランク対象トーナメントは45試合。厳しい経済状況が続く中、冠スポンサーを失うため複数試合がキャンセルになるかもしれないという噂もあったが、前年度比1試合減(ターニングストーン・リゾート選手権が消滅)だけに抑えることができている。
冠スポンサーが変わったのは2試合。ハワイ・マウイ島のカパルア、プランテーションコースでの開幕戦は韓国の自動車メーカーがスポンサーとなり、大会名称は「ヒュンダイトーナメント・オブ・チャンピオンズ」に変更。また、3月にフロリダ州ドラルで開催の世界ゴルフ選手権は、冠スポンサーにキャディラックを迎え「WGC キャディラック選手権」 という呼び名となる。「ボブホープクラシック」と「ザ・ヘリテージ」は、冠スポンサーが見つからないまま大会を決行。ボブ・ホープは1960年から、ヘリテージは1969年からと、長い間ツアーを支えてきた歴史の古い伝統の大会。
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開催時期が動いたのは「バレロテキサスオープン」と「バイキングクラシック」。テキサスは2008年にはフォールシリーズで秋に開催、2010年は5月開催だったが、2011年度は「マスターズ」の翌週となる4月の第3週に開催される。ミシシッピ州で行われる「バイキングクラシック」は、10月フォールシリーズの大会から、7月の「全英オープン」と同週開催と時期が早まる。賞金ランク対象外では、サンクション(認可)試合として秋にマレーシア(CIMB アジアパシフィック クラシック)と、中国(世界ゴルフ選手権WGC HSBCチャンピオンズ)が開催。11月には、アメリカ対世界選抜(欧州を除く)の「プレジデンツカップ」が、オーストラリアのメルボルンで行われる。
タイガー・ウッズは2010年、自らのスキャンダルでゴルフに集中することができずに苦戦する一年を過ごした。首の痛みやスイングコーチを替えるという出来事もある中、タイガーはプロ転向後初めてツアーで1勝もできず、5年間守り続けていた世界ランク1位をリー・ウェストウッドに明け渡してしまった。終盤になって復帰の兆しを見せたタイガーが、ツアー優勝、さらにはメジャー通算15勝目を飾ることができるかに注目が集まるところ。また、活躍が著しかった欧州選手たちが、2010年の勢いをそのまま持続できるか? 米ツアーを主戦場として戦い、優勝経験のあるルーク・ドナルド、ポール・ケーシー、ジャスティン・ローズ、イアン・ポールターらがメジャー競技でどんなサンデーバックナインの戦いをみせてくれるのか・・・。2011年は、前年度メジャー優勝者のグレーム・マクドウェル(北アイルランド)やルイス・ウーストハイゼン(南ア)に加え、過去の欧州賞金王のロバート・カールソン、南アで4回賞金王のチャール・シュワルツェル(南ア)も、正式にPGAツアーメンバーとして参戦することになる。2011年も、PGAツアーは毎週のように国際色豊かなリーダーボードになるはずだ。
若手の筆頭は、新人王に輝いたリッキー・ファウラー。22歳のファウラーが「2年目のジンクス」に陥る事なく、いつ初優勝を挙げることになるのか? 若手といえばオーストラリアの新鋭ジェイソン・デイもまだ23歳。デイは2010年の「HP バイロンネルソン選手権」で優勝、賞金ランクは21位と躍進の年だった。この2人の初出場となる「マスターズ」での活躍に期待したい。ツアー参戦となるニューカマーでは、過去に全米学生の個人優勝経験があり、下部ツアーから昇格してきたジェイミー・ラブマークや、ケビン・チャッペルが即戦力候補。2人はジュニア時代から、ファウラーと同じカリフォルニアで競い合っているライバル同士。飛距離や攻撃的なプレースタイルはPGAツアー向きで、すぐに通用するだけの実力を備えている。飛距離といえば、下部ツアー7位で昇格となったベネズエラ出身のジョナサン・ベガスに注目だ。190センチ、100キロという恵まれた体格から放たれるドライバーショットで、ツアー屈指のロングヒッターの1人になることは間違いない。
2010年度シーズン終盤に、2週連続で優勝争いを見せた今田竜二はツアー7年目を迎える。「いつまでもショートゲームに頼るゴルフではいけない」と自らが語るように「ボールストライキング」というデータの向上が必要だ。ドライバーの飛距離とフェアウエーキープ率に加え、パーオン率というショットの3部門のランクで表す「ボールストライキング」というPGAツアーのデータで、今田はここ4年間で180位から190位の間と苦しんでいる。アプローチとパッティングのデータは優れているだけに、ショットの精度が上がればもっと多くの試合で上位に絡むことになるだろう。
2011年度のメジャー競技開催コースは、「全米オープン」がメリーランド州のコングレッショナルCC、「全英オープン」はロイヤルセントジョージズ(イングランド)、「全米プロゴルフ選手権」がジョージア州のアトランタ アスレチック クラブというローテーション。新しいメジャーチャンピオンが誕生する年になるのか? それとも、これまでメジャー制覇している選手がその経験を生かし、再びビッグタイトルを手中に収めるのか? 日本ツアーを主戦場として戦う石川遼、池田勇太、そして藤田寛之もスポット参戦ながら、USPGAツアーで争うことになる。彼らが大舞台で力を発揮することに期待したい。