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ツアー新記録達成の舞台裏<倉本昌弘>

先週のアコムインターナショナル初日に、日本ツアー新記録また世界タイ記録となる「59」をたたき出して、各メディアを大いににぎわせた倉本昌弘

ゴルフ界に、また新たな伝説を作り上げたことには「もうすぐ50歳、消えゆく人間がこうして足跡を残せたことは貴重。1打1打がほんとうに良い思い出です」と感慨深げに話す半面、自ら達成した歴史的快挙をいたって冷静に受け止める、クールな一面をのぞかせていた。

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“59打目”として9番ホール(この日インスタート)のカップに沈んだボール。
数年後には大変なプレミアがつくのは必至の記念品だ。さぞ大事に自宅に持ち帰るのかと思いきや、倉本は、ホールアウトするなりこれをスコアラーを務めたボランティアの男性にあっさりとプレゼントしてしまった。

この大胆行動には、受け取ったほうもびっくり仰天。「えぇ!?ほんとにもらってしまっていいんですか?!」と、恐縮しきりだったという。

そんな彼に「いいの、いいの!!もらってやってよ」とサバサバと笑ってみせた倉本。「僕が持ってても仕方ない。だってそのボールがメシを食わせてくれるわけじゃないもの!」

なんでも倉本は、「そういった“記念品”のたぐいにはまったく興味がない」のだという。だから、それまでのツアー28勝のウィニングボールはおろか、「優勝カップも全部人にあげてしまって今では家にひとつも残っていない」と、こともなげに打ち明けた。

「・・・え?それじゃ将来、記念館を建てるときに困るって? 冗談いわないでよ。そんなもの建てるつもりもない(笑)。だいいち、記念館なんてすぐにつぶれちゃうのがオチじゃない?」

アマ時代には日本アマ3勝など数々のタイトルほか、プロの試合でも優勝を果たすなど鳴り物入りでツアーデビュー。ルーキーイヤーの81年には、いきなり6勝(後援競技を含む)して賞金ランク2位につけた型破りな男だ。

これまでもゴルフ界に数々の記録を打ち立ててきた選手だが、しかし、そういう過去の栄光への“執着”のなさこそが、今回48歳での新記録樹立へとつながったのではと思わずにはいられない、エピソードだった。

※先週掲載の<ツアーミニニュース「とうとう途絶えた・・・!!平塚哲二の“アイアンマン”記録」>の記述の中で、誤った記載がありました。年末のジャパンゴルフツアー表彰式で表彰される『アイアンマン賞』は、「年間を通して全試合出場を果たした選手」がその対象でした。お詫びして訂正いたします。

※日本ゴルフツアー機構が発刊しているメールマガジン(プレーヤーズラウンジ)より転載しています。

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