ジャック・ニクラス インタビュー オークモントよもやま話(下)
2016年 全米オープン
期間:06/16〜06/19 場所:オークモントCC(ペンシルベニア州)
霧の向こうの巨人 オークモントは世界中のゴルフクラブのリーダー
継続可能性のお手本
クーンズは1999年末に今年の「全米プロゴルフ選手権」の開催地であるバルタスロールへと移籍し、ジマーズがその後任となった。彼は、支出の多くをクラブの中心的プロジェクトに結びつけることでコストをカバーし、木々の伐採を押し進めた。
2002年にはあまりにドラマチックな効果を上げたこのプロジェクトに対し、USゴルフダイジェストは追いかけ記事(2002年10月号“Mission: Unpopular(不人気のミッション)”)でこれを正当化している。この記事には、当時USGAのルールと競技のシニアディレクターだったトム・ミークスのこんなコメントが掲載された。「もし、何本か木を切り倒すことで自分たちが損なわれると感じているクラブがあるのだったら、オークモントへ行って彼らが行ったことを見るといい。彼らはクラブハウスのリーダーなのだ」
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今年の「全米オープン」では、USGAはオークモントの木々伐採プログラムを、持続可能性の成功例として大々的に前面に出そうと計画している。結局、木々を他の木々と入れ替えるのではなく、余分に水や肥料を必要とする芝生にしたことで、かつて森だった広大な土地も今は背の高いフェスキューで覆われ、晩夏には金色に波打つようになったのである。
(ここでトリビアをひとつ:オークモントのバンカーは全て境界にブルーグラスとライグラスのミックスが敷かれて管理されているが、3番と4番ホールの間にある広大なチャーチピューズバンカーは手つかずのフェスキューに囲まれており、その限りではない。これは、クラブが「高名なハザードにはそれに見合った特徴のあるルックスが与えられるべきだ」と信じていることに由来する)
この15年ほどの間に他の威厳ある米国のコースも、意味のない木々の除去を行っており、中にはオークモントの皆伐が公に知らされる前に伐採に着手した所もある。しかし、オークモントがその視覚的にドラマチックな改修に成功し、彼らの努力がクラブのメンバーや、ゴルフコースの設計を学ぶ人々、あるいは促進する人々に歓迎されていなければ(メンバーも最終的にはこれを歓迎した)、オリンピックやオークヒルといった名門クラブで似たようなプログラムは恐らく始まらなかっただろう。
ほとんどの木々がなくなったオークモントは究極のお手本であり、木々はゴルフコースに属するという情趣の完全なるアンチテーゼである。
なぜならば、そこで受け継がれてきた遺産は空中のハザードなどには依存していないのだから。他のクラブは、安全上、あるいは美的な理由から木々を残すことに満足しており、それはそれで構わない。しかし、オークモントのレッスンは、すべてのクラブに対して景観の見直しの必要性を明らかにした。本当なら、大多数のコースでは、多くの木々が不必要であると判明するであろうし、オークモント同様、木々がなくなることによりレイアウト自体の特性は向上するはずなのだ。