ジャック・ニクラス インタビュー オークモントよもやま話(下)
2016年 全米オープン
期間:06/16〜06/19 場所:オークモントCC(ペンシルベニア州)
霧の向こうの巨人 オークモントは世界中のゴルフクラブのリーダー
米国Golf Digest誌6月号 2016 全米オープン特集 text by Ron Witten
あれは何ということわざだったか。そう「木を見て森を見ず」だったはずだ。何はともあれ、6月16日から19日にかけて史上最多となる9回目の「全米オープン」を開催するオークモントCCについて言えば、当地は「木が足りないので森は見えない」ということになる。
前回「全米オープン」がオークモントで開催された2007年は、タイガー・ウッズが最終ホールで8メートル弱のバーディパットを外し、ジム・フューリックが果敢にドライバーで攻めた短いパー4の17番でボギーを叩いたことにより、アンヘル・カブレラが1打差で優勝を飾ったわけだが、このときこのコースは、我々に、偉大なるオークモントはルーツに帰ったと言わしめた。我々は「目覚ましいばかりの木々の伐採により、その個性的なキャラクターが取り戻され、復活し、新たな姿を現した」と書いたのだ。
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「コースは1927年に初めて『全米オープン』を開催した際の荒涼さとプレーし辛い特性を取り戻したのである」。当時、我々はオークモントのフェアウェイから5000本を超える木々が伐採されたことで、パノラマが広がり、残忍なバンカリングや、それまで群葉の下に隠れていた深い排水溝が強調されるようになったとレポートした。オークモントのコース管理を統括するジョン・ジマーズJr.は、2007年大会の前に7000本が伐採されたことを認めた。しかし、これには驚きくべき続きがある。2007年以降、ジマーズと彼のチームはさらに7500本もの木々を伐採してきたのである。
今日では、オークモントのクラブハウスのベランダに立つと、全てのホールを部分的に見ることができ、北西にある丘の上の3番ホールのフラッグまで見渡すことができる。その上、2番から8番ホールをコースの他の部分から分離していたペンシルベニア高速道路の存在など、今日の景観からは想像することもできない。というのも、高速道路は工事で低い位置に下がり、ほとんど見えなくなったのである。ありし日は、道路の両側に鬱蒼と茂った木々がその存在を強調していたのだが…。
60年にわたる木々の成長をチェーンソーで切り払う中で、オークモントのドラマチックな地勢は完全にその姿を取り戻した。木々の背景がなくなったことで、1番、6番、そして10番グリーンの前から後ろへの傾斜は一目瞭然となった(今大会へ向け、6番グリーンは奥が拡張されたことで新たなピンポジションを提供することとなり、12番ホールでは2つのバンカーが取り除かれ、1つが拡張された。大きなコース改修はこの2つのみで、コースは2007年からは11yd短くなり、全長7219ydのパー70でプレーされることになる)。
コースのどこにいても、傾斜はきつく見えるようになり、距離感は幻惑される。今ではパー5の12番ホールも、667ydながら2オン可能に見えるほどだ。とは言え、このホールは「全米オープン」史上最長ホールといわけではなく、サンフランシスコにあるオリンピッククラブの16番ホールはこれを3yd上回っている。