名将サム・トーランス
第34回ライダーカップ総括
1日平均3万5000人のギャラリーが毎日詰め掛けた今年のライダーカップ。世界中でも中継され、このイベントがいかにゴルフ界で重要視されているかが再認識された。結果には様々な批評や、両キャプテンの采配に関しても賛否両論が出ているが、スポーツマンシップに則って素晴らしい戦いが繰り広げられたことへの評価は高かった。
勝利を決定するパットを沈めたポール・マギンリーが一躍、英雄として褒め称えられているが、真の英雄はやはりキャプテンのサム・トーランスだろう。2日目までのマッチを終えて同点だった状況で、チームの中でもっとも調子の良い選手たちから戦わせることで、早めのリードを獲得し波に乗る。この作戦が吉と出たのだ。
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サム・トーランス
「最高のチームだ。開幕前から欧州チームは準備万端でいようと団結力を固めていた。相手が強豪だと分かっていたから、真剣勝負に出たんだ。我々は素晴らしかった」
ベルンハルト・ランガー
「最高の気分だ。2年後も出られるように本気で頑張ろうと思う。それだけ最高の思い出を作れた」
ニクラス・ファスト
「始まる前はどういう展開になるか誰にも分からなかった。しかし我々は勝利を信じて疑わなかった。楽しかった」
セルヒオ・ガルシア
「僕はヨーロッパ代表で本当に良かったとしみじみ思った。これほど自分たちを誇りに思えることはない。世界中のゴルフファンも我々の雄姿に感動してくれたと思う」
ピエール・フルケ
「キャリアにおいて最高の一週間だった。個人で優勝できるほかのトーナメントとは比べ物にならないくらい嬉しい。もしかするとメジャー優勝よりも嬉しいことなのかもしれない」
一方、切り札に残しておいたタイガーが活躍することなく敗退が決まってしまったアメリカ采配。欧州に最終シングル戦で圧勝されたことをアメリカの面々はどう受け止めているのだろうか。
カーティス・ストレンジ
「ゴルフ界はトーランスのチームメンバーを軽視しすぎだ。彼のチームメンバーは全員一流だ。多くが米ツアーでも活躍している。中には欧州ツアーにしか参戦していない選手もいるが、別に格下というわけではない。ただ彼らは欧州本土を主戦場としているだけ。彼らは欧州のトッププロたちなんだ」
フィル・ミケルソン
「ベストのプレーをすれば、たとえ相手が世界ナンバー1でも勝てることもある。今回、マスコミは『アメリカが有利』だと評価していたが、そんなものは何の意味もない。欧州の選手たちは波に乗り、さらにギャラリーから大声援を受けベストを発揮した」
試合内容に関しては、これからも様々な批評がされるかもしれないが、前回大会までのような過激で殺伐とした雰囲気は完全に払拭された。これは両キャプテンが達成した最高の貢献だろう。例えば、シングルスのガルシアとトムズが、戦いの最中でも和やかな雰囲気で話していたり、タイガーが最終18番でのパーネビックのパーパットにOKを出し引き分けにしたり。
また今回最多得点となる4.5ポイントを獲得したコリン・モンゴメリーも、決して自分の活躍を誇張するわけでなく、チームメンバー全員を称え、いかにチームの団結が大事かを語った。ゴルフ界最大の祭典に相応しい精神がライダーカップに戻ってきた。