2012年 全英オープン特集
2012年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム(イングランド)
タイガー、3位浮上 最終18番でミラクルバーディ
英国ロイヤルリザム&セントアンズで4度目の「全英オープン」制覇を狙うタイガー・ウッズは大会2日目、最終ホールでグリーン右サイドにあるバンカーから見事なチップインバーディを見せて大観客を沸かせた。 第2ラウンドも初日と同じ4バーディ、1ボギーの3アンダー「67」。通算6アンダーはトーナメントリーダーのブラント・スネデカーと4打差の単独3位という好ポジションで残り36ホール、週末のプレーを迎えることになる。
2日目最初のバーディを奪ったのは4番。残り194ヤードの2打目を7番アイアンでピンそばにつけた。そして連日多くの選手を苦しめている難しい6番では、スライスラインを読み切って初日に続いてバーディを奪取。続く7番(パー5)では2打目を右のラフ、3打目をグリーンオーバーしてピンチを迎えるが、奥からの寄せワンでパーセーブに成功した。
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後半唯一のパー5、11番ではアイアンのティショットを右にプッシュアウト、2打目は左のラフに深く沈んでしまい、5オン1パットのボギーとしてトータル4アンダーに後退。しかし距離の短い16番では残り146ヤードを9番アイアンでグリーンに乗せ、6メートルのパットを上手くねじ込んで再び5アンダーへと戻す。
そして迎えた最終ホールにドラマがあった。左からの横風を読み違え、第2打はグリーン右のバンカーに捕まってしまう。雨の影響で水分を含んでいる砂からの3打目はグリーン面に乗ってから下り傾斜、ピンまでわずか4歩ほどしかない狭いスペースしかない。難度の高いショットだったが、なんとこれを沈めてバーディフィニッシュとし、3日目は最終組の一つ前の組でプレーすることになった。
■ プレー後のインタビュー
Q:最終ホールのチップインについて
「そんなに悪い状況ではありませんでした。見た目よりも難しいショットではなかったですよ。左足上がりのライだったので高いアゴをクリアしてボールを平らな場所に落とすことができました。カップの左を狙って打ちました。狙ったことろに落ちてボールは右に動いていきました。その前(第2打)も良いショットでした。でも、風は右から吹いていると思っていたのですが途中で左からの風に変わりました。少しプッシュしてしまい、1ヤード右で、バンカーに捕まってしまいました」
Q:2日目を振り返っていかがですか?
「総合的には現在の位置に満足しています。折り返し地点で優勝争いの位置ですからね。明日、そして最終日の天気予報を聞いていますがいい週末になると思います」
Q:狙い通りのプレーができていますか?
「そうですね。このゴルフコースに対して作戦、ゲームプランを立てて、ここまでは
まずまずその狙い通りにプレーができていると感じています
2日間で大会最多のバーディ12個を奪っているアダム・スコットは2つのパー5、7番と11番の両方で2オンに成功、しっかりとバーディを奪った。ドライバー計測ホールの1つである7番で、スコットは313ヤード飛ばした。一方、タイガーが選択したのは5番アイアンだった。左からの風が吹いていて、大きなスライスボールを狙うと左サイドにある観客席が邪魔になるという理由で、2オンルートを選ばなかった。
11番でもティショットは4番アイアン。これは右ラフにミスをしてボギーになってしまった。スネデカーとスコットは2日間合計パー5ホールで2人とも通算4アンダーと稼いでいるがタイガーは通算イーブンパー。週末はこの7番と11番のパー5で、タイガーがどのようにプレーしてくるかに注目したい。
タイガーは2日間でフェアウェイキープ率はフィールドトップの93%。パー3を除く28ホール中26ホールでフェアウェイをとらえた。2年前からスタンスを狭くし、左にしっかりと体重を乗せてインパクトを迎えるようになった。アイアンの飛距離も以前よりも伸びている。5番アイアンで220ヤード、7番アイアンで190ヤード強を狙えるということで、これはもちろんアドバンテージとなる。
それにしてもギャラリー4万3900人がコースを訪れた大会2日目。午後7時半過ぎまで18番ホールの観客席で、黄色いスコアーボードを見ながらタイガーの組で待っていた方々は期待していた以上、一生の思い出となるようなシーンを目撃することができたに違いない。「TWマジック」。それはTiger Woodsのチップインだけではなかった。タイガーの後ろの組には全英を5度制覇している62歳のTom Watsonがいた。17番でまさかの3パットで予選通過のラインから外れてしまったワトソンだったが、見事な最終ホールのバーディで予選通過を決めた。
タイガーのチップインというと今年は「ザ・メモリアルトーナメント」で見せた最終日16番でのアプローチ。同大会ホストのジャック・ニクラスは「状況を考えると史上最高のチップインだ」と話していた。タイガーはこのとき2005年の「マスターズ」最終日16番ホールと比べてどうだったか?という質問に対し「実をいうと一番難しい状況の中でチップインを決めたのは2001年のワールドカップでのショットなんだよ」と説明をしている。タイガー自身のこれまでのベストチップインはあの御殿場の18番パー5で見せた、右サイドからワンクッションを入れて見事沈めたイーグルチップだという。パートナーだったデビッド・デュバルが「信じられない」…といった表情で仰け反るシーンが皆さんの記憶にも蘇ってくるのではないでしょうか?(アンディー和田/ゴルフチャンネル解説者)
★ラウンド データ
67(3アンダー)=フロントナイン32(2アンダー)、バックナイン35(1アンダー)
・バーディ:4ホール、パー:13ホール、ボギー:1ホール
・パー3:イーブンパー、パー4: 4アンダー、パー5:1オーバー
・フェアウエーキープ率*92.86%(14ホール中13ホール)
・パーオン率:77.78%(18ホール中14ホール)
・合計パット数:28パット
・1パットホール数:6ホール
・ドライビングディスタンス:平均242ヤード(計測ホールは7番、14番でともにアイアンを使用)