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半世紀前と変わらない「中日クラウンズ」の魅力

日本国内のスポンサー大会としては最古の「中日クラウンズ」は、1960年にここ名古屋ゴルフ倶楽部和合コース(当時は6,535ヤード/パー70)で第1回大会が開催され、中村寅吉が277ストローク(通算3アンダー)で優勝した。

2000~10年頃にかけて幾度かのコース改修が行われたが、昨年の第54回大会は第1回と比較して総ヤード数が10ヤード伸びただけ(6,545ヤード)でパー70は変わらず、優勝スコアも松村道央が記録した278ストローク(通算2アンダー)と、半世紀前とほぼ同じスコアでの決着となった。

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その間にゴルフクラブはパーシモンからメタル、そしてチタンへと変化し、ボールも大きく進化した。米国PGAツアーのデータを見ると、1980年の平均飛距離1位はダン・ポールの274.3ヤードだが、昨年1位のルーク・リストは306.3ヤード。ここ34年で30ヤード以上伸びている計算になる。

当然のことながら、新しく作られるコースは総ヤード数を長くする傾向にあり、和合コースは昨年の国内開催コース中では最短で、平均(7,155ヤード)よりも600ヤード以上短かった。それでも立派に、というよりも多くの選手やギャラリーからより一層愛されるコースとして、和合はツアースケジュールの中でその地位をさらに盤石なものにしようとしている。

昨年大会の4日間のギャラリー動員数は36,599人で国内23試合中の最多を記録した。今年もここ3日間で28,195人が訪れ、昨年を2,490人上回るペースで推移している。

リーダーボードを見てみると、石川遼、近藤共弘、I.J.ジャン今野康晴松村道央といった歴代チャンピオンが優勝争いに名を連ね、鈴木亨桑原克典といったベテラン勢も上位をうかがっている。飛距離だけではない、技術や経験が必要なコースだからこその顔ぶれと言えるだろう。

米国オーガスタで開催される「マスターズ」でも、毎年フレッド・カプルスベルンハルト・ランガーといったベテランが上位に浮上し、1打ごとにパトロンの喝采を浴びながらプレーしている。コースを知り、経験を積むことで飛距離全盛の時代に対抗する。そんなゴルフならではの面白さ、分厚い戦いを生みだしていくのが、歴史ある不動のトーナメントの魅力と言えるだろう。

かつては「東洋のマスターズ」と呼ばれていた今大会。さすがに、今の時代にその呼び名を持ち出すのは気恥ずかしさを覚える。だが、改めて55回目を迎えた「中日クラウンズ」の歴史と伝統に敬意を払い、遠い昔に思いを馳せてみるのもゴルフの楽しみ方の1つだと思う。(愛知県東郷町/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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2014年 中日クラウンズ

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