松山英樹の2016年総括 「もっとワガママに」芽生えた自信
欧州ツアー 2016年シーズンのベストパフォーマーは?
2016年シーズンも「レース・トゥ・ドバイ」が幕を閉じた。昨季は47大会が行われ、39人の優勝者が誕生、訪れた国の数は29カ国にも上ったわけだが、どの大会で誰が見せたパフォーマンスが最高だったのだろうか。
「2位との差」という意味では、「フィジーインターナショナル」を制したブラント・スネデカーの9打差の優勝が最大だった。「優勝スコア」で言えば、「261」で「ポルトガルマスターズ」を制したパドレイグ・ハリントンが一番ということになるのだが、別の観点から言えば、この両者のパフォーマンスがベストであるとは言い難い。
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今回は、15th Clubというゴルフリサーチにより、優勝者とフィールドの平均スコアとの比較を47大会全てで実施。単一の大会におけるベストパフォーマンスを数値化した。
算出結果によると、2016年シーズンの年間王者であるヘンリック・ステンソンによる7月の「全英オープン」制覇が今季のベストパフォーマンスということになった。ステンソンは4日間を「68」、「65」、「68」、そして「63」と驚異的なスコアでラウンドし、フィル・ミケルソンを3打差で退けてクラレットジャグを手にしてメジャー初制覇を遂げた。
彼のマークした「264」は「全英オープン」の最少スコア記録を塗り替えるとともに、通算20アンダーというスコアも歴代最多アンダーパー記録という記録ずくめの優勝となった。この時のフィールドの平均スコアと比べると、ロイヤルトゥルーンで驚異的なパフォーマンスを発揮したステンソンのスコアは、なんと28.6ストロークも良かったのである。
言い換えれば、ステンソンは毎ラウンド、平均スコアよりも7打以上良いスコアで回っていたということになる。「あれはフィルとのすばらしい勝負だった」と、試合後、ステンソンはメジャー初勝利について振り返った。「完全に一騎打ちになるような感じだったし、実際、最後までそうなったね。彼が後退しないのは分かっていたから、逆にそれが自分にとって物事を簡単にしたという見方もできるね」。
「攻め続けて、バーディチャンスを作り続けなければならないのは分かっていた。彼がチャンスをくれるわけじゃないから、僕の方から引き離しにかからなければならなかった。終盤、ここぞと言う場面でいくつかバーディを奪ってそれを実現することができたので嬉しいね」。
更に、ミケルソンによるトゥルーンの「267」が昨季2番目に良かったパフォーマンスであるという事実が、ステンソンによる偉業をより輝かしいものにしている。レフティはフィールドの平均スコアを25.6ストローク上回りながらも、メジャーで11度目の2位に甘んじたのである。
「あれほどフィールドを引き離して2人だけで勝負をした記憶はないね」とミケルソンは試合後に語った。「自分が覚えている限り、こういう勝負はこれまでなかったと思う」。「おそらく勝たなかった試合では、これまでで最高のプレーだった」。「なにが残念かというと、振り返ってみて、あそこをもっとこうしておけばとか、あそこをもっと上手くやっておけばというポイントが一切ないところなんだ。僕はメジャーの最終日をノーボギーの『65』で回ったんだよ。いつもだったらそれで十分勝てるはずなのに、負かされてしまったんだ」。
見事にも、ステンソンは2016年シーズンのベストパフォーマンス10傑に2度もランクインしている。以下、フィールドの平均スコアと比較した昨季のトップ10スコアである
28.6 ヘンリック・ステンソン(全英オープン)
25.6 フィル・ミケルソン(全英オープン)※
22.6 松山英樹(WGC HSBCチャンピオンズ)
22.2 シャール・シュワルツェル(ツワネオープン)
22.1 マット・フィッツパトリック(ノルデアマスターズ)
20.4 ティレル・ハットン(アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権)
19.3 トーマス・ピータース(メイド・イン・デンマーク)
19.2 トンチャイ・ジェイディー(第100回フランスオープン)
19.1 ラッセ・イェンセン(ノルデアマスターズ)※
18.7 ヘンリック・ステンソン(BMWインターナショナル)
※は2位フィニッシュ