トップシードのステンソン、終盤に掴んだ勝利
ヘンリック・ステンソンがトップシードに科せられてきた「呪い」をなんとか解くことができた。WGCアクセンチュアマッチプレー初日、ステンソンは終盤で猛追を見せ、キラデク・アフィバーンラトを辛うじて下した。
アフィバーンラトの1アップで迎えた14番ホール。アフィバーンラトの3パットでオールスクエアに戻すと、欧州ツアーナンバー1のステンソンは続く3ホールで2アップを奪って2&1で勝利。リッツカールトンGCで開催されているこの大会の2回戦に進出した。過去5年でトップシードが2回戦まで進出できたのはステンソンが2人目だ。
また、ダブマウンテンを舞台とした当大会には5度出場しているステンソンだが、これまで一度も勝ったことはなかった。ステンソンはギャラリーGCで開催された2007年大会で王者に輝いている。
「まだショックを受けている。タフな試合だった。キラデックはグッドプレーヤーだ」とステンソンは話した。
「正直、自分はこのコースとの相性が悪い。視覚からイメージするものと合わない。ここでは多くの場合、バンカーを越そうとするとフェアウェイを突き抜けてしまうんだ。針に糸を通すような狙いが必要だね」
ステンソンは、ニック・ワトニーを1アップで下した南アフリカのルイ・ウーストハイゼンと2回戦で対戦する。
また、トーマス・ビヨーンは2012年に初戦敗退を喫した同じ相手、フランチェスコ・モリナリに2年越しのリベンジを果たした。
デンマーク出身のビヨーンは、2年前の大会でモリナリとの激戦の末、20ホール目で苦汁を飲まされていた。今年は2&1で勝利し、過去10年の出場で僅か2度目の2回戦進出を決めた。
「この試合で親友とは1回戦であまり対戦したくないものだけど、それも仕方ない。淡々とプレーして、試合に勝つことしか考えなかった」と話したビヨーン。レース・トゥ・ドバイ・ランキングで首位を走るビヨーンは2回戦で米国のジョーダン・スピースと対戦する。
「今日は良いプレーができた。何週間か風邪をこじらせていたから少し荒削りなゴルフだった。この試合に向けても満足いく準備はできていなかったから、序盤は少し身体がなまっていた」
「最後はバテ気味だったけど、なんとか堪えられた。中盤は良いゴルフができていたね」
「フランチェスコは絶対に諦めない選手だし、敗戦の中でもそれは称えられるべき。しぶといプレーヤーだ。自分が2アップになれば、次のホールでは素晴らしいショットですぐに1アップに戻してきた。拮抗していたし、勝敗はどちらに転んでもおかしくなかった。彼はパッティングの調子が少し悪かったのかもしれない」
歴代優勝者のイアン・ポールターは過去4年で3度目となる1回戦敗退となった。一方、グレーム・マクドウェルは稀に見る大逆転でゲーリー・ウッドランドを下し、ライダーカップのチームメイトでもあるロリー・マキロイ、セルヒオ・ガルシア、ジャスティン・ローズ、ピーター・ハンソンらと共にベスト32に残った。
マクドウェルはスタートからの7ホールで4ダウン、残り3ホールで3ダウンと絶体絶命な状況から、16番でパー、17番でバーディを奪うと、18番ホールではウッドランドがガードバンカーから別のバンカーへ入れてしまうミスを犯し、このホールをコンシード。
マクドウェルは続くエキストラホール1ホール目でもバーディを奪い、ショックを隠せないウッドランドを下した。マクドウェルとウッドランドは、フロリダからアリゾナまでの長旅を同じプライベートジェットで移動してきていた。
「15番で(ウッドランド)のバーディに続こうと思って短いのを外した時、彼は無敵に思えた。16番でも6番アイアンでベタピンのスーパーショット。その時点でマネージャーは俺の帰りの飛行機の手配を始めたかと思ったよ」
「このマッチを勝てたことは幸運だったと思う。死んだ、埋められたと思った瞬間に、神が救いの手を差し伸べてくれた。ゲーリーは良き親友でもあり、素晴らしいプレーヤーだ。今年注目すべき選手の一人だろう」
マクドウェルの劇的なカムバックの前に、ポールターは米国のリッキー・ファウラーから4ホール以降一度もリードを取ることができず2&1で敗退。ファウラーは2回戦で同郷のジミー・ウォーカーと対戦する。今季既に3勝を挙げているウォーカーは、南アフリカのブランデン・グレースを5&4の大差で下し、この日最初の白星で2回戦に駒を進めた。
「今日のプレーには落胆している。次に進む資格はなかった。リッキー・ファウラー、おめでとう」と2010年大会覇者のポールターはツイッターで呟いた。
昨年大会ではシェーン・ローリーに1回戦で敗れたマキロイだが、今年はブー・ウィークリーに3&2と余裕の勝利で2回戦進出を決めた。ベスト32の対戦では元世界ナンバー1のリー・ウェストウッドを5&3で破ったハリス・イングリッシュと激突する。もう一人の元世界ナンバー1のルーク・ドナルドもマッテオ・マナセロに5&4で負け、同じく早々と姿を消した。
「12番ホールまでは良いゴルフができた。最後の数ホールは少し油断をしてしまって、ブーに何打かあげてしまったかもしれないけど、次のラウンドに進むことができてよかった」とマキロイ。15番ホールではセカンドが大きく乱れ、ギャラリーはボールに当たらないよう避難するも、逃げる際に「ジャンピング・チョーヤ(茎の一部が簡単に外れて、近寄った人の衣服に付着する)」という種のサボテンに捕まってしまう不運な男性の姿も目撃されていた。
この日、エキストラホールを要したマッチは全部で5試合。ガルシアがマーク・リーシュマンを22ホール目で、ブラント・スネデカーがデビッド・リンを20ホール目、そしてジェイソン・ダフナーがスコット・ストーリングスを19ホール目で下した。
そして、この日最後のマッチとなったのがアーニー・エルス対スティーブン・ギャラハー。スコットランド出身で今年のオメガドバイデザートクラシックを制したギャラハーは、残り3ホールで2打リードするも、16番と17番を共にエルスのパーに屈し、続く18番ホールでもウィニングパットになっていた1.5メートルのバーディチャンスを逃し、19ホール目ではボギーとしてエルスが勝利を収めた。
フィンランドのミッコ・イロネンはあと一歩のところで番狂わせを演じるところだった。好調ババ・ワトソンと接戦を演じたイロネンは、残り6ホールで2アップとリードするも続く3ホールを落とした。先週の日曜日、ノーザントラストオープンで2012年マスターズ以来の優勝を飾ったワトソンが17番ホールで2&1と逃げ切った。
ディフェンディングチャンピオンのマット・クーチャーも2回戦に駒を進めたものの、クーチャーの1回戦は2度「勝利」するという珍しいハプニングがあった。
オーストリアのバーンド・ワイズバーガーを相手に優位に試合を進めたクーチャーは、14番ホールで5&4の勝利を収めたと思っていた。しかし、このホールでバーディパットを沈める前にボールマーカーを正しい位置に戻していなかったことが判明し、このホールを落とし試合も続行された。それでも世界ランク10位のクーチャーには3ホールのアドバンテージがあり、結果3&2で勝利した。
その他ではピーター・ハンソンがダスティン・ジョンソンを3&2で下し、ケビン・ストリールマンを破ったフランスのビクター・デュビッソンと2回戦で対決する。
また、スウェーデンのジョナス・ブリクストは2011年全米プロ覇者キーガン・ブラッドリーを2&1、南アフリカのジョージ・クッツェーはスティーブ・ストリッカーを3&1で下して勝利した。ストリッカーは肝臓移植が必要な兄スコット氏の様態が急変し、今週の出場が危ぶまれていた。しかし、前週末に無事に手術を終えたことで出場に踏み切っていた。
この日最も打差がついたマッチを演じたのは6&5でジェイミー・ドナルドソンを下したビリー・ホーシェル。また、ビル・ハースもミゲル・アンヘル・ヒメネスを5&4と大差をつけて勝利した。全米オープン覇者ジャスティン・ローズはスコット・ピアシーを破ったものの、18番ホールまでもつれる展開となった。
計15名の欧州ツアー選手が2回戦に進出した。南アフリカ出身の二人、チャール・シュワルツェルとリチャード・スターンも1回戦を突破し、それぞれジム・フューリック、ハンター・メイハンと2回戦で対決する。