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2003年 全米オープン
期間:06/12〜06/15 場所:オリンピアフィールズCC(米国イリノイ州)

首位にトム・ワトソン!日本人の期待は田中秀道に絞られた?!

全米オープン初日。最大の話題を集めたのは、終盤で首位に立ったトム・ワトソンだった。前半(バックナイン)で32の好ラウンドを見せたワトソンは、折り返し後、1番でバーディを取ったものの、その後はずっとパーの連続。しかし、7番パー3でカップの淵に止まったかに見えたバーディパットが8秒後にコロリとカップインすると、続く8番でもバーディ。5アンダー65で首位タイに立った。

「キャディのブルース・エドワーズはルーゲーリック病にかかっている。でも、彼は病気の体でバッグを担いでくれている。今週月曜、そのブルースがパターを変えるようアドバイスしてくれた。70年代後半から80年代にかけて使っていた古いピンパター。実際に使っていたもののバックアップだけど、本物そっくりなんだ。そのパターが今日はいい仕事をしてくれて、途中からブルースは泣き出したんだ。泣くなよって言いながら、2人で力を合わせて出した今日の成績に満足しています」

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もう1人の首位はブレット・クイグリー。父親がバッグを担ぎ、こちらは親子が力を合わせての好ラウンドとなった。クイグリーは2年前のPGAツアー平均飛距離部門で2位にランクされた飛ばし屋。「でも、去年と今年は、みんなが飛ばすようになったせいか、ランクが落ちちゃった」。しかし、「飛ぶけど曲がるのは自分のスタイル。今日もフェアウエイキープ率57%で65がマークできたんだから、満足だよ」

大会2連覇の期待が集まるタイガー・ウッズのプレーぶりは、あまりメリハリのない平凡なラウンドという感が強かった。ティショットは3Wで打っても曲がり、数回しか使わなかったドライバーもやっぱり曲がる。パットはぎりぎり入らないというフラストレーションのたまるゴルフが続き、前半(バック9)は1ボギー。折り返し後、6番パー5で2オンに成功し、イーグルを決めたのが今日の唯一の見どころだった。しかし、最終ホールの9番では再びボギー。イーブンパー70のラウンドで25位となったが、余裕たっぷりのコメントを残していった。

「現実的にバーディが取れるホールが2つあったのに、どちらもそのチャンスを逃した。今日はグリーンが少しソフトでボールが止まったけど、明日以降はどんどん固くなっていくだろう。どんなピン位置になるか、楽しみだね」

日本人選手の期待は、もはや田中秀道に絞られたと言えそうである。早朝7時、10番ティからトップスタートを切った田中は、前半(バック9)は安定したドライバーショットでフェアウエイをとらえ続けたが、グリーンを狙うアイアンショットに若干のズレが見られた。「風がない今日みたいな日にフェアウエイに打てなかったら、明日以降が思いやられる。普通にちゃんとスウィングしさえすればフェアウエイには行くんだって思ったことで、ゆったりしたリズムが保てたんです。でも、グリーンは固かったので、あそこに乗せたいという気持ちが入りすぎたのか、アイアンが思い切って振れなかった。でも、ドライバーに安定感があったので、後半はアイアンもだんだん良くなりました」。全米オープン以前から、田中は技術面と精神面、双方の安定性をキープしており、初日の今日もコースセッティングやムードに惑わされることなく、1アンダー69、10位タイの好位置につけた。「ただ4日間をプレーしたい(予選通過したい)じゃなくて、4日間をしっかりプレーして今後のPGAツアーの試合に生かしたい。そのためのステップにしたい」と語る田中は前向きな気持ちを胸に明日の第2ラウンドに臨む。

練習日には「調子が上がってきている」と語っていた丸山茂樹は、2バーディ7ボギーで75を叩き、108位という意外な結果になった。「仕方ないですね。認めざるを得ない。やっぱりメジャーの重圧は違うんです。パットの距離感に不安があって、途中から手が動かなくなった。焦って苦しい1日でした。明日は死ぬか生きるか、ですね」

丸山以上に残念な結果になったのが、79を叩いた谷口徹。練習ラウンドをしたときから、距離の長さとセッティングの厳しさを強調していた谷口は、胸の中に抱いていた不安や恐れを初日のラウンドで現実化してしまったようだ。「自分はパワーがないね。飛距離も足りないし、ラフからはかなりのパワーがないと出ないし。コントロールももっと必要。アメリカの厳しさは、かなりわかっていたつもりだったけど、ここに来て、ピンが厳しい位置に振られた中でやってみると、ホンマに厳しい。オーガスタより、はるかに難しい。明日はアンダーパーで回って、プライド見せます」

日本とアメリカの両国籍を持つ松尾浩は2オーバー72のラウンドで57位と、まずまずのスタートを切った。「今日のスコアに満足。初出場だし、こんなギャラリーの中でのプレーも初めてだし、すべてが初めての中で、よくプレッシャーをコントロールできた。全米オープンに出るのは夢だったので、明日もがんばりたい」

ロングヘアを後ろで束ねたスタイルは、2000年にネイションワイドツアー(旧バイコムツアー)のツアーカードを取得したときに切ろうとしたが、周囲から「切るな」と止められ、それ以来、キープしているのだと言う。ゴルフの安定度とヘアスタイル、どちらもキープするというおまじないなのだそうだ。

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