【WORLD】タイガー・ウッズが辿る道
Golf World(2013年1月14日号)texted by Jim Moriarty
2012年にウッズが残した戦績は1つの指標となる。トータルドライング6位で、150ヤードを超える距離からのショットの正確性ではトップ10に入った。シーズン終盤にスクランブリングもアップし、本人も「チップとパットが良くなっている」と、ザ・ツアー選手権の時にコメントしていたほど。「全英オープンからショートゲームも良くなったと思う」と続けた。しかし、見過ごすわけにはいかない記録もある。グリーンまで75~100ヤードの距離からのパーオン率では140位。100~125ヤードからのパーオン率では100位。125~150ヤードからでは111位となっている。フォーリーが言うところの“ショッカー”については置いておき、ウッズはウェッジショットでピンから10~20ヤードほどオーバーしている。マキロイと共に出場した中国でのエキシビジョンゲームでは、マイクを付けられた状態で「アイアンショットのオーバー癖が変わらない」と漏らしていたほど。これこそ2013年にウッズが復活を果たせるかを決める最大の要因となるだろう。ウッズとフォーリーも、ウッズのセットアップが話題になると信じているに違いない。
シャンブリーの意見と異なるのはブッチ・ハーモン。ウッズが狭い谷底深くに落ちたとは見ていない。「彼は長い道のりを歩んできた」と語るハーモンは、ウッズが1997年のマスターズを制してからのスイング改善を見てきた。「彼は未だに一本筋の通った選手。これまでのスイング改造が彼に自信を与えていると思うし、それが何よりも重要なのだと思う。復活はもうすぐだ。今の時点では、週末に本人が思うような結果は残せていないだろうが、優勝争いには加わっている。復活は間もなく。本当に良い状態に見える。これは本音」。
イーストレイクでの練習場でウォーミングアップしているウッズを見たNBCのジョニー・ミラーも、「今よりも成長出来るとすれば、間違いなくかつての彼に戻れるはず」と復活への手応えを口にする。
ウッズ本人も自分の現状をわかっていたからこそ、2010年にウィスリング・ストレイツでの練習グラウンドでフォーリーとタッグを組むことを決意したのだろうか。ウッズは言う。「違うよ。この3年と比較して、より健康な状態になりたいと思っていた。2010年当時は、その時の自分が抱えていたトラブルに苦しんでいるとも思っていなかった。僕らは最初の1年半何もしていないに等しい状態だった」。
栄光を手放すことになったゴルフ以外の事柄を除き、彼に対する批判の中で最も多いのは、自分のスイングを持っていないというもの。だが、3種類の素晴らしいスイングを都度レンタルしたとも言えるのではないだろうか。フォーリーを含め、過去タイガーの魔法を形成する手助けをしてきた指導者達へ敬意の念を欠くわけではないが、仮にルーブ・ゴールドバーグがウッズのスイングコーチを担当したとしても、どうにか上手くいく方法を見つけられたのではないだろうかとさえ思う。それほど彼自身の才能が図抜けているということだ。現在ウッズはメジャー通算14勝。その類い稀な才能を持つウッズをメジャー通算12勝目までの成功に導けなかったような指導者は、アメリカ国内にはいないだろう。