永峰咲希の優勝をアシストした練習器具 「スライダー」 右ひじに着けるのは何のため?
永峰咲希がことし取り組んでいる練習法をご存じだろうか。お腹の辺りに黒いベルトのような物を巻き、そのベルトに付いた紫色の輪っかを右腕にはめて練習をしている。一見すると矯正ギプスのようで、まさか星飛雄馬のような筋力アップを狙っているのだろうか(例えが古い?)。
ベルトに目を凝らすと「TRS SLIDER」という商品名が見える。調べてみると、欧州ツアーで2勝を挙げているロバート・ロック(イングランド)が開発した「スライダー」という練習器具だった。ベルトと輪っかが連動し、右腕に着けた輪っかがその名の通りスイング中に“スライドする”仕組みだ。腕と体の一体感を出すには、タオルやグローブを脇に挟んだり、ボールを胸の間に挟んだりする古典的な方法もあるが、それらと比べると脇が空くため腕の自由度が高く、より実際のスイングに近い動きを体感できる。バックスイングで腕が体から離れるのを矯正できる一方で、インに上げ過ぎる動きも防いでくれるという。
「昨年もこの器具を持っていたんです。でも、結構クラブを外に上げてフェースもシャットに使っていたので、この器具だとやりにくくて…。面倒になってやらなくなっちゃったんです。でもことしからは目澤(秀憲)コーチとオープンフェースに取り組んでいて、この練習器具がテークバックの矯正にちょうどいい。練習時はいつも着けるようにしています」と永峰は説明する。開幕から4戦目の「アクサレディス」での優勝は、まさにことしから取り組んできたそのオープンフェースが実を結んだ結果だった。
実際に永峰の練習を見ていると、打つ前に輪っかを右ひじの辺りに着け、ワッグルで腰の高さまでクラブを上げてテークバックの軌道を確認してから球を打っていた。「右ひじが後ろに行き過ぎないように矯正してくれるんですよね。肩甲骨が入った状態でクラブを上げ過ぎないように我慢できる。いい意味で制限が掛かるので、トップでは肩が回っていいポジションに入った状態で腕は遠いところに上げられます」。取り組んでいるオープンフェースの“やり過ぎ”を防いでくれているわけだ。
目澤コーチがさらなる利点を付け加えた。「この器具が優れているのは、フォロースルーでも胸と腕が連動するところです。体のターンが止まって手だけで動かすことができないので、フォローで腕が体から離れることがなく、自然と最後まで胸が回って腕がついてくるのを実感できると思います」
山内日菜子や桂川有人、テレサ・ルー(台湾)も今季、このスライダーを着けて練習している。お値段は2万円もしないというから、これを高いと取るか安いと取るかはあなた次第だ。(編集部・服部謙二郎)