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後世に残したいゴルフ記録

これぞゴルフの醍醐味! 大逆転劇の歴史/残したいゴルフ記録

国内男子ゴルフのツアー制度が始まった1973年より前の記録は、公式にほとんど残されていません。本連載では、ゴルフジャーナリストの武藤一彦氏が取材メモや文献により男子ツアーの前史をたどり、後世に残したい記録として紹介します。今回は、詳細が残されていない大会も多いツアー史に残る大逆転劇を振り返ります。

8打差逆転のジャンボ 松山英樹はまさかの…

男子ツアー2022年シーズンの国内初戦「東建ホームメイトカップ」最終日は、5打差4位から出た桂川有人(23)が単独首位でホールアウト。首位で出た最終組の香妻陣一朗(27)が18番で6mを決めるバーディで追いつくと、プレーオフ1ホール目で7mのバーディパットを沈めて見事な優勝を飾った。桂川が勝っていれば5打差の逆転劇。最終日のリードはあってないものと言われるが、二転三転するゴルフ競技の面白さと醍醐味を、久しぶりに堪能した好試合だった。

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逆転優勝と聞いて思い起こすのは、1974年の「全日空札幌オープン」(現ANAオープン・札幌GC輪厚コース)最終日だ。首位の青木功を8打差で追う尾崎将司がベストスコア「66」をマークすると、逃げる青木がたまらず「74」をたたきプレーオフへ。結果的に尾崎が優勝し、当時の記録となる8打差逆転を果たした。だが、記録は破られるためにある。いまに残る逆転優勝の最多スコア差は9打で、後援競技を含めると3大会ある。

1980年の「日本国土計画サマーズ」(後援競技/長野・ニュー蓼科CC)では、最終日に「68」をマークした船渡川育宏が、首位から「78」とした郭吉雄(台湾)との9打差をひっくり返した。1983年の「ゴールドウィン杯日米対抗」(兵庫・太平洋クラブ六甲コース)の個人戦では、9打差を追う中嶋常幸が首位のジョニー・ミラーを逆転して優勝。さらに2013年「日本プロ日清カップヌードル杯」(千葉・総武CC総武コース)では、首位から出たツアールーキーの松山英樹がパットに苦しみ「75」をたたくと、「65」をマークしたキム・ヒョンソン(韓国)が9打差を逆転して優勝を飾った。

東北福祉大4年の松山は、プロデビュー戦から10位、優勝、2位の成績を収め、この試合でツアー最速4戦目でのメジャー優勝がかかっていた。2日目には、アイアンでのアドレス時にボールがわずかに動いたことに気づかず、2打目を打ったことで2罰打が科されるなど、“ついてない”大会となったのは日本のゴルフファンにとってもショックだった。

だが、ここは、中嶋の日米対抗戦での逆転が、ツアー記録として明記されることへ疑義を呈したい。この大会は両国8人ずつが出場し、最初の2日間はダブルスのマッチプレー、残り2日間はシングルスのストロークプレーによる対抗戦。団体戦では米国が3日間で日本に10ポイントの大差をつけ、最終日を待たずに優勝を決めていた。

一方で、後半2日間は36ホールストロークプレーによる個人戦も平行して行われていた。首位に9打差の13位と出遅れていた中嶋は、最終日に1イーグル、6バーディ「65」の猛攻により、大逆転で個人戦のタイトルを手に。当時の米ツアーでは「マスターズ」が8打差、「全米オープン」は7打差の逆転が記録とあって、世界記録だ、快挙だと騒がれたが、米国にとっては対抗戦が本命。逆転を許したミラーにしても、最終日の個人戦は完全に力を抜いているように見えた。対象ホール数にも疑問だ。36ホールでは、参考記録が妥当ではないかと思うが、どうだろう。

ともあれ、記録的な大逆転劇はゴルフというスポーツの醍醐味であり、観戦するファンの心を熱くする。ツアーにおいても、勝負を決してあきらめないプロフェッショナルな一打の積み重ねは、次代のヒーロー誕生にもつながるはず。日本の若手たちには、ぜひ10打差逆転の記録更新を期待したいものだ。(武藤一彦)

武藤一彦(むとう・かずひこ)
1939年、東京都生まれ。ゴルフジャーナリスト。64年に報知新聞社に入社。日本ゴルフ協会広報委員会参与、日本プロゴルフ協会理事を経て、現在は日本エイジシュート・チャレンジ協会理事、夏泊ゴルフリンクス理事長を務める。ゴルフ評論家として活躍中。近著に「驚異のエージシューター田中菊雄の世界」(報知新聞社刊)など。

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