松山英樹が19年初戦へ アマチュア・金谷拓実は米ツアーデビュー
松山英樹、苦しみぬいた末に手にした米国初優勝
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
PGAツアー初優勝は松山英樹の手から滑り落ちるかに見えた。だが22歳の新星は、最終18番ホールで4日連続のバーディを決め、「69」の3アンダーでホールアウト。最後は、ケビン・ナとのプレーオフを制し、「ザ・メモリアルトーナメント」優勝を手にした。この優勝により、松山はフェデックスカップランキング14位まで浮上している。
松山より2時間ほど前に「64」でホールアウトしていたナは、プレーオフ第1ホール目のティショットを左に曲げ、クリーク(小川)に打ち込んだ。松山は、18番ホールでのティショット後、ドライバーで地面を叩いた際の衝撃でシャフトが折れたため、ドライバー抜きの状態でプレーを続行(スペアを持っていなかったため)。3番ウッドでのティショットをバンカーに打ち込み、第2打もグリーン左に外したものの、第3打をピン約3メートルのところまで寄せ、パーパットを沈めて初優勝を手繰り寄せた。
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松山は通訳を介し、「本当に、本当に嬉しい。ミスター・ニクラスが設計したコースで勝つという夢が叶った」と、喜びを語った。
松山は、1976年にスタートした「ザ・メモリアルトーナメント」の大会史上初めて、初出場で優勝するという快挙を達成。今大会の出場は今回が初めてだったが、日本が誇る超新星は、以前ミュアフィールドでプレーした経験があった。
昨年秋のプレジデンツカップに出場した松山は、アダム・スコットとペアを組み、同コースでプレーしていた。スコットとプレーした経験について、「今週のプレーに大きな影響があった。彼には大きな借りがある」と語った。
そのスコットは思いがけない形で再び松山を”アシスト”した。世界ランキング1位のスコットは、パー3の12番でティショットを池に打ち込みダブルボギーとして優勝争いから脱落すると、その後14番から3連続ボギーと大崩れし、「71」でホールアウト。4位タイで大会を終えたのだ。
松山本人が希望すれば、プレーオフでドライバーの交換が認められたが、スペアを持っていなかった。
「そんなに強く地面を叩いたわけではないのに折れたので、ショックだった。3番ウッドでも何とか対応出来たから良かったけれど」とその時の心境を振り返っていた。
<ナにとっての慰め>
優勝を逃したケビン・ナにとって、唯一の慰めは、世界ランキングの順位を上げられた点だろう。ナはあす2日(月)に36ホールの予選会に出場する予定だったが、このランキング上昇により「全米オープン」の予選が免除された。
ナは、「間違いなく大きなステップだと思う。今は調子も良いし、今シーズンは良いプレーができているからね。近いうちに優勝できればと思うよ」とコメント。
パインハーストについてはどう考えているのだろう?
「自分にとって相性の良いコースだと思う。ショートゲームの精度が求められるし、グリーン周辺では精度の高いチッピングも必要になる。難しいライからのチッピングは好きだから、楽しみにしているよ」。
<ワトソンが優勝争いから脱落した瞬間>
最終日を2位と1打差の首位でスタートしたバッバ・ワトソンは、14番にボギーを叩いたが、ティショットをOBとしてダブルボギーを記録した15番まで、優勝の可能性を残していた。
「判断を誤った」と、15番でのティショットを振り返ったワトソンは、「パー5でのティショットをドライバーではなく4番ウッドで打っていたら、おそらくパーで終われただろうし、そうなっていたら2位と1打差で優勝していたはず。ダブルボギーを叩いたせいで1打差で負けた」と話し、悔しさを滲ませた。
今大会で優勝していたら、今シーズン3勝目となっていた(ワトソンにとってはPGAツアーでの年間最多勝利数)。
3位でフィニッシュしたワトソンは、今大会では初めてのトップ20フィニッシュだった。
「自分のゴルフが上達しているということ。シーズン序盤は良いプレーができなかった。僕はロサンゼルスが好きだけれど、これまでは良いプレーができなかった。それが今年は(ノーザントラストオープンで)優勝できた。以前までならミュアフィールドでも苦戦していたけれど、今週は優勝争いができたからね。自分のレベルが全体的に上がっている証明になったと思うし、以前より安定感もある」。
<ミケルソンは復調の手応えを掴めるか?>
今大会は4日続けて「70」の壁を破れなかった。そればかりか、FBIからインサイダー取引の疑いもかけられた。そんなフィル・ミケルソンが安息できる場所は、パインハーストなのかもしれない。
ミケルソンは2週間後に迫った「全米オープン」に向け、月曜日と火曜日にパインハーストで練習を行い、週末は「フェデックス セントジュードクラシック」に出場する。
「ゴルフ自体だけを見れば、決して悪い状態ではなかった。上手くボールを打てていたしね」。
49位タイで「ザ・メモリアルトーナメント」を終えたミケルソンは、今シーズン未だにトップ10フィニッシュがない。「来週の大会ではプレーをまとめないといけない。優勝争いに絡めれば、全米オープンに向けて勢いがつく。それが自分にとって必要なこと」と話した。
キャリアグランドスラム達成に向け「全米オープン」に挑むミケルソンは、このメジャーで過去に6度、2位に敗れている。最初に2位で涙をのんだコースこそ、パインハーストだった。
<選手ひとこと集>
「ヒーローになろうと思って、判断を誤った。ティショットの感覚が良くなかったと思う。ショートカットしようと思って、林を超えようとしたけれど、引っかけてしまった」
― バッバ・ワトソン(15番のティショットについて)
「ただただ悪いショットを打ってしまったということ。準備する時間は十分にあったわけだから、言い訳はできない」
― ケビン・ナ(プレーオフ第1ホールでのティショットについて)
「今は良い状態。答えを探すようなことは何もない」
― アダム・スコット(バック9で首位グループから後退し4位タイで終えたことについて)