7度目の大勝利を飾ったウッズ
2013年 WGC キャデラック選手権
期間:03/07〜03/10 場所:TPCブルーモンスターatドラール(フロリダ州)
WGC キャデラック選手権 最終日 レビュー
タイガー・ウッズが本領発揮のラウンドを見せた。2013年シーズンはまだ始まったばかりだ。
大会最終日、ウッズは完全にゲームをコントロールしていた。他の誰をも3打差以内に寄せ付けないまま、自身17度目となる世界ゴルフ選手権のタイトルを手にした。安全策を取ったがために最終ホールはボギーとなったが、それは問題ではなかった。彼はトータル1アンダーの「71」で最終日を回り、「WGCキャデラック選手権」で優勝を果たした。
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今回の優勝で、ウッズは最新のフェデックスカップランキングで2位に浮上してきた。そして5年ぶりとなる、「マスターズ」前のシーズン2勝目を達成した。
昨年のドーラルでのことだった。ウッズは11番ホールを終えたところで、左アキレス腱の損傷を理由にゲームを途中棄権した。そのことが原因で、それからしばらくの間、彼はもう以前の強かった頃のようにプレーができないのではないか、という健康面の不安が語られるようになった。しかしその心配には及ばなかった。
ウッズはこの1年で5勝を記録した。その数は他のどの選手よりも多い。そして彼は2週間後の「アーノルド・パーマーインビテーショナル」で優勝すれば、再びフェデックスカップと世界ランキングの両方で1位に返り咲く位置に来た。
ウッズは2位のスティーブ・ストリッカーに2打差で優勝した。本来は悔しいはずのストリッカーも、この日のウッズの優勝は喜びを分かち合いたいはずだ。
ストリッカーは大会前日、練習グリーンでウッズのパッティングの姿勢をもう少しスクエアにするよう45分もの長きに渡ってアドバイスを送っていた。そしてウッズは今週、PGAツアーでの自己ベストにあと1つとなる27個のバーディを奪った。
「スティーブのパッティングのレッスンにはとても感謝しています」。ウッズは表彰式で改めて感謝の言葉を述べた。「今週はとてもパッティングのフィーリングが良かった。いくつかの(難しい)パットを決め、そこから良いフィーリングを継続できたんだ」。
今季のツアーはいまだ3戦しか戦っていないストリッカーだが、これで2度目の2位タイとなった。「68」で回った彼はウッズのパッティング教室に自らの時間を費やしたことを後悔してはいない。
「時々ぼくは、自分で自分をやっつけてしまうんだよ」と、ストリッカーは笑いながら言った。「彼(ウッズ)はとても良い友達だ。僕たちはいつもパッティングの話をするんだ。彼が調子良くプレーしている姿を見るのはとても気分いいことだよ」。
「マスターズ」は1カ月後に開幕を迎える。ウッズは間違いなく、今年の大本命だ。
世界ランク1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)は、調子の上がらない今季序盤の立ち上がりからの回復を見せつつある。彼は「65」で最終日をラウンドし、8位タイに食い込んだ。
ウッズは1月のトーレパインズを4打差で優勝した。彼はこのドーラルで4度目の優勝を果たしたこととなるが、今回の勝利で4勝以上を記録したコースは、7つ目となった。
「メジャー大会や世界ゴルフ選手権の大会は最高だよ。なぜなら世界中のベストプレーヤーと戦うことができるからね」と、ウッズは語った。「それらの状況が、今日のような優勝を特別なものにしてくれるんだ。だからこそ、僕は戦うのが好きなんだよ」。
首位と4打差の2位タイでスタートしたグレーム・マクドウェル(北アイルランド)は、1番でバーディを決めたが、それ以降、タイガーに近づくことはなかった。最終18番まで単独3位だったマクドウェルは、ボールを池に落とし最後の最後でダブルボギーとしてしまった。結局スコア「72」の3位タイで大会を終了したが、3位タイとなったことで獲得賞金を172,500ドルも減らしてしまった。
その他の3位タイ入賞者は、フィル・ミケルソン(最終日「71」)、セルヒオ・ガルシア(スペイン/同「69」)、アダム・スコット(オーストラリア/同「64」)だ。
ウッズはこれで、リードをして最終日を迎えた時の勝敗を41勝2敗とした。ここ2試合の優勝争いは共にマクドウェルと競い合った。ウッズがリードを保って逃げ切った優勝は、一年前のベイヒル以来だった。
「タイガーがプレースタイルを変えない限り、僕はいつまでも追いかけるモードだよ」と、マクドウェルは語った。「彼はいつの時でも追いつくことが難しい選手だ。堂々たる戦いぶりだったよ。彼はこの数日、とても素晴らしいゴルフをしたよ」。
19アンダー、トータルスコア「269」で優勝したウッズは今大会で1500万ドルを手にした。彼にとって7度目のWGC大会優勝となった。
マキロイは、とても良い形で今週を締めくくった。
彼は無事に大会を終えただけでなく、ノーボギーのスコア「65」で回った。長い不調の峠を越えたのかもしれない。良い兆しだ。マキロイはスタートホールの7番アイアンで18フィートにつけ、このホールでイーグルを奪った。このショットは彼自身、この日のベストショットだったと言っている。バックナインを32で回った彼は、自分自身でも驚いたそうだ。なぜなら彼がドーラルに到着した頃、彼はあまり調子が良くないと思っていたからだ。
「思ったほど調子は悪くなかったね」と、マキロイ。「これは僕の悪い癖なんだ。僕は調子が悪いと感じると、自分で必要以上に調子が悪いと思ってしまうんだよ。本当はそこで堪えなくてはならないんだけどね。一生懸命やれば、成果は必ず実るものなんだ。それがいつ来るか。早いか遅いかは大きな問題じゃないんだ」。
マキロイは2週間後の「シェル・ヒューストンオープン」までトーナメントには出場しない。そして「シェル・ヒューストンオープン」が「マスターズ」前の最後のラウンドとなる。そんな彼は、元NBAのスター選手マイケル・ジョーダンのゲストとして、来週の月曜のメダリストクラブには参加する。
「ジョーダンから招待されたんだ。スケジュール次第で僕がどこにいるかわからないから、どうなるだろうね・・・」と、彼は言葉を濁した。
8つのバーディを奪ったスコットは、今大会最少の「64」で回った。
マクドウェル、ミケルソン、そして2位のストリッカーがウッズを捕えるためには、スコットのような猛チャージが必要だった。まさに3日目に、マクドウェルがベストラウンドをして、それに応えるようにタイガーもスコアを伸ばしたように。
マクドウェルは1番(パー5)で2パットのバーディを奪った。対するウッズはグリーン後ろの埋もれたライからのショットを寄せて、パーをセーブした。マクドウェルは続く2番でもピンそば7フィートに寄せる見事なアプローチを見せ、再びバーディチャンスを作った。
ウッズが沈めた18フィートのバーディは、今大会での彼のパットの好調ぶりを示した。
彼の好調ぶりは、今大会中ずっと続いた。ウッズは他の誰にも逆転勝利の希望すら与えることを許さなかった。彼は再びリードを4打差とし、4番(パー3)では8番アイアンからのティショットをピタリと4フィートにつけた。その後、彼に太刀打ちできるゴルファーは現れなかった。
ミケルソンは8番(パー5)で風の中、池越えの200ヤードのショットをピンそば1フットにつけ、バーディを決めた。10ホールを残し、トップのタイガーまで4打差まで迫ったのだ。しかし彼は9番、11番で短いパットを外してボギーとし、トップとの差を自ら広げてしまったのだった。
このことはウッズに優勝を、7ケタの額の賞金を、そして再びゴルフ界のトップに返り咲くチャンスを易々と与えてしまったことになる。
WGCシリーズが1999年にスタートして以来、ウッズはWGC大会だけで240万ドルもの賞金を獲得している。彼のWGCの勝率は43%だ。今大会の優勝で、ウッズはツアー通算76勝目をあげた。これでサム・スニードが持つ82勝という記録まであと6勝に迫ったこととなる。