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全英オープン観戦ガイド

全英オープンの歴史

<全英オープン発祥はナンバー1を決める内輪の大会>

全英オープンは4大メジャーの中で3番目に開催されるビッグトーナメント。米国外で行なわれるメジャーは全英オープンだけである。

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全英オープンが初めて開催されたのは1860年。スコットランドで唯一無二のプロゴルファーと呼ばれたアラン・ロバートソンが1859年に死去し、ロバートソンに代わるベストゴルファーは誰かを決めようと始まったのが、全英オープンの発祥だった。

わずか8名のプロゴルファーが12ホールしかなかったプレストウィックを1日に3回往復して競い合った第1回大会は、ウィリー・パークの優勝。

以後、オールド・トム・モリス、ヤング・トム・モリスらが優勝を飾っていったが、1864年までは賞金も支給されず、まさに栄誉を手に入れるための大会だった。

全英オープンの発展

<貧しかった大会を急成長させたのはアーノルド・パーマーだった>

第12回大会までプレストウィックで開催され続けた全英オープンは、やがてセント・アンドリュース、マッセルバラなどスコットランドが誇るリンクスコースをローテーションさせながらの開催となり、やがてイングランドのリンクスコースを加えた12~13コースを順次巡って開催する現在の形になった。だが、大会の開催費用や賞金を捻出するのは容易ではなく、第2次世界大戦後の近代に至るまで、関係者は寄付を求めて方々に頭を下げてきたという。

そんな状況に大きな変化をもたらしたのは、アーノルド・パーマーの出現だった。パーマーのみならず、ジャック・ニクラスゲーリー・プレーヤーらのビッグ3が全英オープンに出場し始めた1960年代、スコットランドやイングランドのゴルファーたちは彼らの姿を一目見ようとこぞって全英オープン会場に足を運ぶようになり、入場料収入はうなぎ昇り。

テレビ放映権料も徐々に増え、4大メジャーの1つとして世界が注目する現在の栄えある全英オープンへ成長していった。

過去の名勝負

<トゥルーンを制した人々。パーマー、ワトソン、カルク、レナード>

ウィリー・パークに始まる過去の全英オープンチャンピオンの顔ぶれは、そうそうたるものだ。ハリー・バードン、ウォルター・ヘーゲン、ボビー・ジョーンズ、ジーン・サラゼン、サム・スニード‥‥。

今年の開催地はロイヤル・トゥルーン。固いフェアウエイはラフと深いフェスキューに囲まれ、グリーンは小さく固く速い。終始吹き付ける風向きの一定しない海風が選手たちを悩ませる。まさに、リンクスならではの戦いである。この地で全英オープンが開催されるのは今回が8回目。1962年大会の優勝者はアーノルド・パーマー、1982年大会の優勝者はトム・ワトソンだった。

1989年大会は記憶に新しい。72ホールのストロークプレーで決着が付かず、グレッグ・ノーマン、ウエイン・グラディ、マーク・カルカベキアが首位タイ。全英オープンの歴史を塗り替え、初めて導入された4ホールのプレーオフを制したのは、カルカベキアだった。

トゥルーンでの前回大会(97年)で優勝したのはジャスティン・レナード。最終日、イエスパー・パーネビックとの5打差を縮め、最後には3打差を付けて優勝したレナードの大逆転勝利に、トゥルーンのギャラリーは沸いた。

今年の見どころ

<タイガー?丸山?勝利の行方は神のみぞ知る>

今年の全英オープンを制するのは誰か――まず名前が挙がるのは、やはりタイガー・ウッズだろう。2002年の全米オープン以後、すでにメジャー8戦で優勝から遠ざかっているタイガーが、今度こそ勝てるかどうか。タイガーのトゥルーンにおける全英オープン出場は今回が2回目になる。97年大会では、ポステージスタンプと呼ばれる8番パー3の小さなグリーンの罠にはまり、3日目にトリプルボギーを叩いて24位タイに終わった。しかし、タイガー自身は、フロントナインはむしろ易しく、バックナインこそが難しいと指摘している。

10番のティショットはブラインド、11番のグリーンに向かう右サイドには石の壁、12番は難しい二段グリーン‥‥最終ホールは4つのフェアウエイバンカーとグリーン奥のOBが脅威。確かに、バックナインには数々の難関が待ち受ける。

日本の期待を背負っているのは、何といっても丸山茂樹である。丸山は全米オープンで優勝争いの末、4位。リンクススタイルのシネコックヒルズであれだけの好プレーができたのだから、スコットランドのリンクスにも太刀打ちできるだろうとの期待がかかる。トゥルーンでの前回大会で10位に入っていることも、丸山への期待を膨らませるさらなる要素だ。

しかし、何が起こるかわからないのがゴルフ。とりわけ、フェアウエイでもグリーンでも、ボールが不思議な方向へ跳ね、風のいたずらも絶えないリンクスでは、何が勝敗を分けるか、まったくわからない。クラレットジャグの行方は神のみず知るところだ。

Text : BEYONDSHIP

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