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31歳のP.ミケルソンにとってのメジャーはこれからだ

フィル・ミケルソンはいったいどうしてしまったのかと、これまで何度、言われてきたことか。

2001年だけをみても、マスターズでは最終ホールにやってきたときにトップと1打差だったはずが、結果は70、3打差で負けてしまう。全米オープンでは最終日を2打差で迎えたのに、75を打って6打差で負けている。ミケルソンとメジャー・チャンピオンシップとの特別な関係。つねに優勝争いをしていながらの敗北。プロとして9年目。オーガスタではかぐわしい花々の香りに包まれていながら、それを見ることも手に入れることもできなかった。

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もう聞き飽きたし、彼もうんざりしていたはずなのに、馬鹿げた質問が繰り返されてきた。彼の弱点を突き、彼を暗くて不安な場所へと追い込むよう操作しようとしていたのは我々だ。「今日は最悪の日だった。僕は敗者だ。最後はいつも負けてしまうんだ」と彼に言わせたかったのではあるまいか。

しかし彼は耐えていた。自分のプレイの悪かった点をどのように変えないといけないかを分析し、臆せずしっかりとした言葉で、率直に答えていた。

我々は奥さんのエィミーにも訊いた。「フィルの何がいけないの?」彼女は、彼と同じく堂々とした口調で自分の考えを語っていた。答えが聞けるのなら、2歳の娘、アマンダにも我々はインタビューしていただろう。「お父さんは何も悪くないよ」と彼女は言うだろう。そうだ、彼女は正しい。フィルは何も悪くない。ただメジャーに勝っていないだけなのだ。

もう、彼をそっと一人にしておくべき時だ。彼と彼の家族はこれまで、我々のむなしい質問を一度も避けたことはなかったのだ。まるで従順な兵士のように立ちつくして、誰から問われても一つ一つきちんと答えようとしていた。

人生はゴルフよりはるかに重要とは言うが、彼はまさしくその理想的な姿を体現しているゴルファーだ。それなのに、我々は彼にどのように報いてきたのか。"メジャー・チャンピオンシップを一度も優勝できないベストプレイヤー"と書いたラベルを彼の額に貼り付けて、喜んでいたのではないのか。7月1日、ミケルソンは、グレーター・ハートフォード・オープンで優勝し、ツアー19勝目をあげた。もう、メジャーにも勝てるはずだ。そっと見守ろうじゃないか。

6月16日にミケルソンは31歳になった。サム・スニードだって31歳になるまでメジャーに勝てなかった。ベン・ホーガンのメジャー初勝利は34歳だ。ジャック・ニクラスセベ・バレステロス、そしてタイガー・ウッズは例外として、メジャー優勝というゴルファーとしての頂点に達する年齢は30歳代だという証拠が豊富にある。グレッグ・ノーマンの初制覇は31歳だった。ペイン・スチュアート、フレッド・カプルズ、スティーヴ・エルキントンは32歳、カーティス・ストレンジ、ポール・エージンガーとデーヴィス・ラブ3世は33歳。マーク・ブルックスは35歳、コリー・ペイヴィンも35歳、スティーヴ・ジョーンズとトム・レーマンは37歳での初勝利だ。 これは最近の新しいトレンドであるわけでもない。1941年にクレイグ・ウッドは39歳でマスターズに勝ち、その2ヶ月後に全米オープンにも優勝した。ボビー・ロックの全英オープン4勝のうちの初勝利は、彼が31歳だった1949年だ。1956年にジャキー・バークがマスターズとPGAチャンピオンシップの両方を優勝したときには33歳だった。

全米オープンにおいては、1950年から58年の間の優勝者で最年少はジューリアス・ボロスの32歳であった。二人の優勝者、ベン・ホーガンとトミー・ボルトは40代、それぞれ53年、58年の優勝である。2001年の覇者レティーフ・グーセンについても同じことがいえる。32歳での初優勝。

過去25回の全米オープン優勝者のうち30代は14人、5人は40代、20代は6人である。24歳で優勝したアーニー・エルズとタイガー・ウッズを除けば、過去25回の優勝者の平均年齢は33.56歳である。つまり、ミケルソンがまたとないチャンスを逃したと判断してはいけないのである。まだまだこれからだ。ニック・ファルドはメジャー6勝しているが、初優勝は30歳。ニック・プライスは3勝、35歳に到達するまでは勝てなかったのだ。

ミケルソンには負けた試合が多い。しかしそのときにも堂々としていたし、負けたおかげで学んでいる点は多いだろう。人が成熟する年齢は様々だ。ゴルファーも同様。

タイガー・ウッズと同じ尺度でミケルソンを評価してはいけない。それはアンフェアである。フィルはあくまでもフィルなのだ。
今年のはじめに彼の父、フィル・ミケルソン・シニアとゴルフをともにした。最初のホール、短めのパー5で、彼は第二打をグリーンの手前まで運んだ。次に彼がどんなショットをするのだろうと思ってワクワクしていた。一緒にプレイしていた、ゴルフスミスの社長のフランク・ポール、当初キャラウェイゴルフにいたチャック・ヤシュも同じく興味津津とした面もちで見守っていた。

フィル Sr. は、とてつもなく大きなスイングをした。ケープカナベラルで発射されるロケットを思い出させるほど、ボールは垂直に空に向かっていった。落ちてきたときにはボールには成層圏製の接着剤が付いていて、パッティンググリーンに張り付いた。そして、彼はタップインバーディを決めた。我々は笑いが止まらなかった。

フィルは、ウェッジのショットよりもはるかに多くのことをお父さんから学んできただろう。メジャーのチャンピオンたる資質を培ってきたのだと私は思う。
By James Achenbach(GW)

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