全英オープン フォトギャラリー
2012年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム(イングランド)
E.エルス、A.スコットに「彼はこれから、僕よりも勝つ」
英国ロイヤルリザム&セントアンズで行われた海外メジャー第3戦「全英オープン」で、アーニー・エルス(南アフリカ)が2002年大会以来の優勝を飾った。メジャー通算4勝目は最終日の残り9ホールで4バーディを奪う猛チャージを見せて「68」をマークし通算7アンダー。独走ムードの漂ったアダム・スコット(オーストラリア)が、まさかの上がり4連続ボギーを叩き、プレーオフにもつれることなく1打差でエルスの逆転勝利となった。
Q:今の気持ちは?
「素晴らしい気分。感無量だ。ここにいる(メジャーに勝った)のは10年ぶりのことだから、実感が湧くには何日かかかるだろう。ただ、ここにいるのは本当にクレージーだ。ただ、昨日のプレーが終わった後から良いフィーリングではあった。昨日まではそんなに自分のプレーができた感じはなくて、ただショットを修正しようと考えていたんだけれど。なんとも説明が難しいが、たとえ(今大会で)勝てなくても、これまでやってきたことが、実になってきている感覚があったんだ。戦えるところまで来ているってね。それが今年でなくても、来年には戦えると思っていた。けれど、仲間であるスコッティ(アダム・スコット)に同情せざるを得ない。ただ、僕にも以前あったこと。メジャー、ほかのトーナメントでもダメだったことがね。彼には今回のことを深刻にとらえないで欲しい」
Q:このような試合であなたは勝者と敗者、両方の経験があるが?
「もちろん勝ったことは嬉しい。けれど僕は勝った時の事よりも、そうでなかった幕切れのときの方が多い。だからいま、最高に良い気分だとは言えない。アダムをアテスト小屋で見かけたが、彼は大丈夫そうだった。こんなことになって、なんだか悪い、僕にも同じ立場の経験が何度もある、すぐに立ち直れる、引きずらないようにと伝えた。彼のことばかり考えてしまっている。ただ、ありがたいことに彼はまだ若い。32歳だ。次の10年間で、僕が勝った以上に勝てる。僕はメジャーで4回勝ったけれど、彼ならもっと勝てるはずだ」
Q:プレーオフを待つ間、パッティンググリーンにいた時の気持ちは?
「R&Aの人間が、僕が試合を見たいか、別のことをするか聞いてきたけれど、今まで何度もそうしてきたようにパッティンググリーンに向かったんだ。これまでもプレーオフを待ったことはあったから、またガッカリするんだろうな、なんて考えていた。今年もニューオーリンズであったしね(4月のチューリッヒクラシックでジェイソン・ダフナーに敗れた)。誰も相手がミスをすることなんか望んでいない。でもプレーオフにならずに勝つことも望んでいる。ただ、アダムのことを考えれば違った。プレーオフになっても良かった。彼はそう思わなかっただろうけどね。パッティンググリーンで一番に望んでいたのは、プレーオフに入ることだった」
Q:前日に感じた良いフィーリングとは?
「ポジティブな考えをしていると、良い結果が生まれたりするもの。しばらくはネガティブなモードに入っていたけれど、ポジティブに物事を考えるようにしたんだ。特にここまでうまくプレーできていなかったバックナインでね。全米オープンでもチャンスがあったけれど、そうはいかなかった。正直言うと、バックナインではミスすることなんか考えずにショットを打っていった。16番ではプッシュしてしまったけれど、アプローチが良かった。考えていた通りに本当に打てた。それにリザムでは快適だった。コースで心地よく感じられるときは、良いショットも打てる。たくさんのギャラリーにも助けられたと思う」
Q:優勝スピーチで(18日に94歳の誕生日を迎えた)ネルソン・マンデラ元大統領に感謝したのはなぜ?クラレットジャグで彼と祝杯を挙げたいと思いますか?
「ぜひそうしたいね。信じられるかどうか分からないが、今朝、横になってクリケットの試合(南アフリカ代表の試合)をぼんやりと見ていたら、突然そう思ったんだ。もしも今日勝てたら、マンデラ(元)大統領に感謝しなくちゃなぁって。僕はアパルトヘイト政策の時代から、民主化された時代を生きてきた。それもマンデラ大統領がいたからこそだった。政策が変わった直後、僕は初めてメジャーを勝ったんだ(94年の全米オープン)。マンデラ氏が大統領になってから、時代が変わり、たくさんのことが変わって、僕も試合に勝てるようになった。(94年の全米オープン)オークモントで勝ったときには電話もかけてくれたんだ。南アフリカの国民にとって、スポーツに携わる人間にとって、彼はやはり重要な人物なんだ」
Q:18番ではすさまじい歓声が響いた。ギャラリーの声援も素晴らしかったが?
「一週間を通してついてきてくれた。今週はチャンスがあると思えた。特にバックナインではどんどん声援が大きくなって、数も増えた。もちろん、後ろのタイガーにはたくさんの人がいたけれどね。でも最後の4ホールではすごかった。彼らは本当に僕を刺激してくれた」
Q:一時はあなたも6打差となり、誰もアダムにプレッシャーをかけられない展開になったが?
「9番でボギーを叩いたとき、自分に本当に腹がたってね。それで吹っ切れた。アグレッシブに行こうと。何度もドライバーを使ったし、バーディを狙っていった。先走ることもなく、焦ることも無い、良い感覚だった。その瞬間ごとに良いプレーをしようと集中していた。まだ十分ホールはあったし、様々なことが起こると見てきたはずだ。何が起こるか分からない。ここはものすごい数のバンカーがあって、トラブルもある。風もあった。まだチャンスはあるはずだと思っていた」
Q:家族との生活やチャリティにも熱心だが、それはゴルフに影響を与えるもの?
「2つのことは、今は分けてとらえている。何年か前に(息子の)ベンの自閉症のことを公にしてから、多くの人々と基金を設立したりと数々の仕事に携わってきた。だからクリアになっている。それらが目指すべきところもハッキリとしているし、基金が進むべき方向も明確だ。そして僕のゴルフの人生もね。だから2つの生活は平行に真っ直ぐ走っていて、多くの時間が経って以前よりも別物として考えられている」
Q:どんなことを期待しながらプレーを?
「今日は心の中でベンと一緒にパットを決めた。彼が見ていることを知っていたからね。ベンは僕の打球とその音が好きなんだ。彼をずっと楽しませたくて、今日はパットを打っていた。(勝ったことで)ベンにはもう何も言う必要すらないだろう。きっと喜んでくれる。もちろん(娘の)サマンサも(妻の)リーツルも隣にいるだろうしね。みんなに会うのが楽しみだ」
Q:来年、ディフェンティングチャンピオンとしてミュアフィールドに戻るが?(エルスが前回全英に勝った2002年大会はミュアフィールドで開催)
「本当に待ちきれない。ミュアフィールドは大好きな場所だから」