A.スコットがメジャー初制覇に王手!タイガー5打差4位で最終日へ
2012年 全英オープン
期間:07/19〜07/22 場所:ロイヤルリザム(イングランド)
5打差を追うタイガー、作戦変更はあるか?
大会3日目、タイガー・ウッズは首位とは4打差という位置からスタート。西からの風が吹くコンディションの中、最初の3ホールで2つスコアを落としてしまう。1番と3番で短いパットを外してしまいボギー。その後6番、7番、9番と3つのバーディを奪いトータル7アンダーまで巻き返した。しかしバックナインではアイアンの距離感が合わずバーディを獲る事ができない。15番で3つめのボギーを喫してしまい結局3バーディ、3ボギーのイーブンパー「70」で通算6アンダー。単独トップは通算11アンダーのアダム・スコットとは5打差という位置で最終18ホールを迎える。
1番のパー3はティショットでグリーンオーバーしてしまい、奥からのアプローチをショートしたタイガー。2メートルのパーパットは左から右に切れるスライスラインと読んで狙ったがボールは逆に左に動いていき、カップをそれた。3番は4番アイアンで狙ったセカンドショットがグリーンに届かなかった。パターで寄せるも3メートルオーバー。パーパットは狙いよりも左に引っかけてしまいボギーを叩いてしまった。
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それでも連日バーディを奪っている6番では右手前から左奥のピンに対し約18メートルのフックラインが見事に入り、またもバーディ。続く7番ではドライバーで327ヤードを飛ばし、フェアウェイをしっかりととらえた。左足下がりのライからの2打目は4番アイアンで低く飛び出し、グリーンをオーバーしてしまったが、奥からの寄せはもう少しでチップインという見事なタッチで連続バーディ。さらに9番(パー3)、ピンが右手前、149ヤードという設定の中、ピッチングウエッジでピン左にナイスオン。スライスラインをしっかりと読み切り3つ目のバーディとした。
ところが後半に入るとアイアンの距離感がずれてしまいなかなかチャンスを掴むことができなかった。14番では5メートルの下りのバーディパットを打ち切れずにミス。続く距離の長い15番ではティショットを左のセミラフ、残り236ヤードのセカンドショットはダフリ気味で左手前にショート。グリーン外から27メートルほどの3打目は2メートル届かずに厄介なパーパットを残してしまう。ここをスライスと読んだパーパットは右に切れずにカップの左を抜けていきスタート時点の6アンダーに後退。前日見事なバンカーチップインでバーディを獲った最終18番ではピン左5メートルのチャンスを迎えたが、バーディフィニッシュはならなかった。
■ プレー後のインタビュー
Q:今日のラウンドについて
「スタートが良くなかったですね。その後しっかりとスコアを戻すことに成功しましたが、バッグナインではうまくいきませんでした。数回チャンスがありましたがパットを沈める事ができませんでした。15番ではラインの読み違いでした。まあイーブンパーぐらいという内容でしたね」
Q:今日のようなコンディションだったら、もう少しいいスコアを狙っていましたか?
「悪いスタートだったので前半は1オーバーかイーブンでターンできれば、後半に向けていい流れになるかなと思っていました。実際には1アンダーになったので予想外でした。先ほど話したようにバックナインではチャンスがあったのですが、バーディを決め切れませんでした」
Q:明日はどんなスコアが必要になると思いますか?
「分かりません。すべては明日の天気、コンディションで変わります。どんな状況になっても自分の作戦を成功させないといけません」
Q:パー5でバーディが少ないのが残念
「そうですね、うまくいっていませんね。(3日間で)2バーディを取り、1度ミスをしてしまいました。パー5以外にもチャンスホールはありました。9番アイアンでピンを狙えるホールが他にもありました。これらのホールでバーディを獲らないといけません」
Q:現在の位置について
「なるようにしかなりません。私は5打差ですよね。 アダム(スコット)は良いポジションにつけています。彼は(2位に)4打差のリードで、調子も良さそうです。初のメジャータイトルを狙うということになりますが、いい位置でしょう」
この3日目、タイガーは左サイドにあるピンに対して全く寄せることができずに苦しんだ。最初の7ホールで左サイドにあるピンポジションは5ホール。タイガーの持ち球は左から右に曲げてくるフェードというよりはスライスボール。昨日までは左サイドのピンもグリーン左から右に曲げてくる球で狙っていた。しかし3ラウンド目は1番、2番、4番、6番と左サイドのピンに対して攻めていくことができない。ウエッジでグリーンを狙った10番、13番でも左サイドのピンに寄せることはできなかった。
アイアンの距離が合わずにパーオン率は55%(18ホール中10回のみ)とバーディチャンスが少なかった。また相変わらずパー5ではトップを走るアダム・スコットのような、攻めるという気持ちが感じられず、パールートを探しているようにさえ思えてくる。大会が始まる前から「作戦」、「ゲームプラン」という言葉を使っているタイガーだが、3日間6回のパー5で奪ったバーディは2個、そしてボギーが1個。対照的にアダム・スコットは全部バーディとしており、パー5だけで差がついている。
11番ホールでタイガーはティショット、セカンドショットと2回アイアンを使い、3打目は163ヤードという距離が残った。そしてグリーンオーバー。パーを拾うのがやっとだった。一方のスコットは11番で4打のリードがありながら、ドライバーで320ヤードをかっ飛ばした。2打目は3番ウッドで284ヤード先のピン傍に止めるというパワフルなショットを披露して2オンに成功。イーグルはならなかったが、きっちりとバーディを決め、スコットのリードは5つとなった。また340ヤードと1オンの可能性もある設定だった13番で、タイガーがティショットに選んだのは5番アイアン。結局バックナインではバーディを獲る事ができずにスコットとの差を縮めることができなかった。
最終日は南西からの強い風が午後に吹くという予報が出ている。実際のところ、この天気予報は水曜日の練習ラウンドから外れているケースが多いので、あまり頼りにはならないという意見もある。しかし、もし強い風が吹くとなると本来のロイヤルリザムが選手を苦しめるだろう。そんな中、タイガー・ウッズは初日から貫いている、どちらかというとティショットでリスクを負わない、守る「作戦」を続けるのか?それとも11番のパー5や距
離の短い13番や16番のパー4でイーグル狙いに変えてくるのか?
勝負が決まるのはもちろん最終日のバックナインの戦いとなるが、まずはそこにたどり着く前の9ホールで現時点での5打差を縮めなければならない。明日はパー5、そして左サイドのピンをどのように攻略してくるかが、
4度目の全英制覇の鍵になるだろう。(アンディー和田/ゴルフチャンネル解説者)
★ラウンド データ
70(イーブンパー)=フロントナイン33(1アンダー)、バックナイン 37(1オーバー)
・バーディ:3ホール、パー:12ホール、ボギー:3ホール
・パー3:イーブンパー、パー4:1オーバー、パー5:1アンダー
・フェアウエーキープ率:78.57%(14ホール中11ホール)
・パーオン率:55.55%(18ホール中10ホール)
・合計パット数:28パット
・1パットホール数:8ホール
・ドライビングディスタンス:平均298.5ヤード(計測ホールの7番はドライバーで321ヤード、14番はアイアンで276ヤード)