「入場券10ドル」の大会から最高峰へ 世界ランク付与ポイントはもはや日本ツアーの倍/コーンフェリーツアーの景色
◇米国男子下部◇クラブカー選手権 最終日(29日)◇ランディングゴルフ&アスレチッククラブ (ジョージア州)◇7185yd(パー72)
土曜日の夜にはドライビングレンジでコンサートが開かれていた。日中はキッチンカーやグッズ販売の車両がコースに出入りし、ところどころにギャラリーが賑わうエリアもある。入場チケットは1日券で10ドル、1週間の通しチケットで25ドルと良心的。飲食サービスが付くプレミアムチケットも65ドルから各種用意されていた。最終日は最終組に数百人の来場者が帯同。大会が周辺地域の社交の場として、そして興業として歓迎されていることが充分に分かる。
PGAツアーと比べると、コーンフェリーツアー(KFT)の大会はどこか牧歌的な空気が流れているようで、ロープ内は同じくらい引き締まった雰囲気が漂う。自分のプレーにいら立つ選手の舌打ちや、“Fワード”がトップツアーの会場よりも多く耳に入ってくるのは、広大なゴルフ場のほとんどのホールが閑散としているからだろうか。
米男子の2部ツアーに相当し、誰もがレギュラーツアー昇格を目指してシーズンを戦う。場内の掲示物ひとつとっても、「THE PATH TO THE PGA TOUR」、「JOURNEY TO THE PGA TOUR」(PGAツアーへの道)、「Be more than」(今以上の自分に)といったフレーズが並ぶ。ツアー自体が「ここは最終目的地でない」と選手を大いに煽る。
2024年6月、大西魁斗は「UNCヘルス選手権」を制し、今田竜二に続く2人目のKFT日本人優勝者となった。ゴルフトーナメント表彰式後の大会関係者との会話は「また来年お会いしましょう」が定番のはずだが、下部ではそうはいかない。「『もう会わないことを祈っている。来年はここに来ないように頑張って』という感じで声をかけられました」。下部大会はあくまでステップアップの場という文脈を全員で共有している。
石川遼は昨年の予選会を通過して今季、本格参戦を開始した。来年10年ぶりとなる最高峰ツアー復帰への道はなかなか険しい。「PGA ツアーはこれからもっと競争が激しくなる一方だと思う。実際にコーンフェリーツアーのワールドランクポイントも前より高くなっていて、その通りの(厚い)選手層を感じる」と真っすぐな目で語った。
世界ランキングは2022年8月に改訂され、各大会のフィールドレベル(世界ランクに基づく選手層)の高さをより強く反映させるシステムになった。かつてKFTの優勝者が得るポイントは一律で14ptに設定され、日本ツアーは通常16pt、「日本オープン」は32ptに固定されていたが、現在は逆転。25年実績では日本ツアーの平均が約7.865ptだったのに対し、KFTは15.163ptと2倍近い差になった(PGAツアーは平均48.546pt)。
今後はさらに開く可能性がある。1月にバハマで行われたKFT開幕戦「バハマクラシック」は昨年14.030ptだったのが、14.611ptにアップ。米本土初開催となった今大会は15.720ptが17.162ptに上がり、同週開催の欧州ツアー「ヒーローインディアンオープン」(17.022pt)よりも高かった。
KFTの選手層の向上は、海外勢の挑戦、そしてトップツアーの出場枠の削減が影響している。PGAツアーは今季からいわゆる“フルシード枠”が前年ポイントランキングの125位から100位に削減され、各大会の出場人数も減少傾向にある。最高峰レベルでプレーしてきた選手たちの流入により、強度が増すばかり。登竜門としての価値は揺らがない。(ジョージア州サバンナ/桂川洋一)