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GDO記者が見る全英注目選手/ルーク・ドナルド ロイヤル・トゥルーンというキャンバスにボールの軌跡を描く!?

「ゴルフは芸術」。8年前、そう言い張る無名のゴルファーに出会った。当時彼はイギリスから「次のタイガー」を夢見て海を渡ってきていた18歳。僕は学校新聞のゴルフチーム担当記者としてネタを探していた18歳。

ある日彼の部屋に招待された。それが初対面だった。入ってみると狭い6畳一間の部屋に未完成の油絵が床一面散らばっていた。「すごいだろ」と、誇らし気な表情で僕を見る。「売れない画家の取材でもしているのか?」と、自分の目を疑った。172cm、70kgと体格的には決して恵まれてはいないなかったし、当時の彼は大学ゴルフ界で何一つ実績を残していなかった。ゴルフを芸術に例える彼の感性は同じ歳の人間には理解できなかったが、彼にはきっとゴルフ以外での才能があるのではないかと思いながらインタビューを始めた。

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今考えると、床に落ちていた油絵の1つでも貰っておけばよかったと思う。

彼の名はルーク・ドナルド。今年の「ビュイックインビテーショナル」では2位タイ、先々週の「Cialis ウェスタンオープン」の3位を含め、今季米国男子ツアー賞金ランキングは26位に入っている。ツアー参戦3年目で通算1勝しか挙げていないが、今週の「全英オープン」を前に密かにドナルドへの期待が膨らんでいる。地元出身の若手で、リンクスコースに必要とされる独特な「芸術的」なタッチを持つ選手・・・欧州勢が苦しむロイヤル・トゥルーンでの救世主として、ダークホース的存在にさえ挙げられている。

日本にいるとテレビ中継などでドナルドの名前を聞く機会は滅多にない。しかし、派手さの無い安定したプレーには定評がある。ドライバーの飛距離は良くて280ヤード。だがフェアウェイキープ率はツアー21位、パーオン率は10位。そのプレースタイルは大学時代から維持している。一年生時にタイガー・ウッズが持っていた平均スコアの大学記録を破り、翌年には全米大学選手権を制覇。

大学進学を前に、ドナルドは憧れでもあったスタンフォード大から熱烈なラブコールを受けていた。スタンフォードと言えば、タイガーの母校。タイガーのコーチでもあったウォーリー・グッドウィンはタイガーの後継をドナルドに託そうとしていたのだが、大学側の手続き上の不備で入学を拒否された。

それでもグッドウィンはドナルドの能力を最大限生かせる環境を第一に考え、全米中の監督に話を持っていくことを決意した。最初にあたったのがシカゴにあり、グッドウィンが前任していたノースウェスタン大のパット・ゴス監督だった。「君に紹介したいすごい選手がいるんだ」。そこから、「次のタイガー」へのアメリカンドリームが始まった。

それから早7年。ドナルドの名前を聞くたびに、彼との初対面の時の会話を思い出す。「毎回アドレスに入る前に自分でイマジネーションをするんだ。どこに、どのようなボールを落とすか。僕が絵を描くのはゴルフのトレーニングになってる。1ショットは1つの芸術品として考えているんだ」

ドナルドの「芸術」がロイヤル・トゥルーンで旋風を巻き起こすか・・・彼のイマジネーションの中で既に答えは出ているのかもしれない。(J.N.)

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