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2018年 ウィンダム選手権
期間:08/16〜08/19 セッジフィールドCC(ノースカロライナ州)

佐藤信人の視点 勝者と敗者

不屈の男スネデカーここにあり

『最大の名誉とは決して倒れないことではなく、倒れても倒れてもすぐに起き上がることである――(孔子)』。

この名言がこれほどまでに当てはまる男はいないと思うのです。それは「ウィンダム選手権」で、ツアー通算9勝目を挙げたブラント・スネデカーのことです。

この大会は、彼が2007年のデビュー年にツアー初優勝を果たした記念すべき大会でした。当時もいまと同じように、小気味良い速めのテンポで、リズム良く放つショットは変わりませんが、今回の初日「59」という記録的スコアを出し、逃げきりで勝ついう形ではなく、5打差を逆転しての優勝という試合展開でした。

今大会では初日「59」というビッグスコアがクローズアップされますが、私はスネデカーの真の強さは、初日より2日目にあったように感じました。実力なくして大記録を残すことはできないのは確かですが、一回の好スコアは運も味方しての産物。4日間で結果を求められるプロの世界では、好結果をどれだけ維持できるか。好スコアを出した翌日、その翌々日のほうが、本当の勝者に求められる要素が大きいと思うからです。

特にスネデカーのように大記録を残した翌日は、周りからも大きな注目を受け、通常通りプレーすることが困難。前半は1オーバーと苦労した様子でしたが、後半4アンダーと巻き返し、「67」の通算14アンダーで首位を維持しました。この踏ん張りが完全優勝を導いた一番のプレーだったように感じます。

彼のような正確なショットとパットがありながら、なぜ、世界のトップクラスに君臨できていないの?と疑問に思う人は多いでしょう。彼が思い通りにいったのは、新人王を獲得したデビュー年と年間王者に輝いた2012年シーズンのみ。新人王を獲得した後、09年頃から胸痛を感じ始め、先天的に骨密度が極端に低い体質であることが判明。左右股関節の手術も経て、たびたび戦線離脱を余儀なくされました。

胸痛により昨季も「トラベラーズ選手権」(6月)の後、復帰を果たすまでに5カ月を要しました。その後も思うような成績は残せず、世界ランキングも徐々に降下。昨年末には、宮里優作選手がマスターズ出場を決めたアジアンツアー最終戦「インドネシアマスターズ」にも出場しています。世界ランキング50位以内というマスターズ出場の資格が目的でしたが、2ラウンド目で棄権という結果となり、宮里選手に出場権を譲る形で帰国。3月末の時点でも浮上することなく、結局マスターズの出場を逃してしまいました。

彼もことしで37という年齢。ゴルフ界では中堅より、やや上の世代。長年酷使した体の不調や怪我が多くなる時期でもあります。周囲は20代や30代前半の若い選手ばかり。フィジカル的に厳しく、これまで積み上げた経験と技術一本で勝負していかなければならない状況。しかも家族をもった選手にとっては、子供たちも大きくなり、生活面でもお金がかかる時期。結果を出さないと焦りにつながり、メンタル的にもやりにくさを感じる世代ではないかと思うのです。

この状況下ですばらしい勝利を飾った不屈の男・スネデカー。同じ境遇の同世代にも、きっと勇気づけられた選手は多かったことでしょう。今後も米ツアーから存在が消えかけたとしても、必ずや同じような復活劇を見せてくれる気がしています。彼の名誉は決して倒れないことではなく、倒れても倒れてもすぐに起き上がることだと思うからです。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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