112年ぶり金メダルは英国のローズ 池田21位、片山54位
2016年 ザ・バークレイズ
期間:08/25〜08/28 場所:ベスページ州立公園ブラックコース(ニューヨーク州)
112年ぶりの栄誉 ゴルフの五輪メダルは今週どこに?
米国男子ツアーのポストシーズン、4戦にわたるフェデックスカッププレーオフは「ザ・バークレイズ」で幕を開けた。「リオデジャネイロ五輪」男子競技の2週間後。ジャスティン・ローズ(イングランド)、ヘンリック・ステンソン(スウェーデン)、マット・クーチャーはメダリストとなってから最初の出場試合となった。
スタート前の選手紹介のアナウンス。いつもは出身地に続けて選手の名前がコールされるが、今週ばかりはちょっと違う。メダルを手にした3人には、それぞれ「オリンピックの金(銀・銅)メダリスト!」と付け加えられ、その度に観衆の大歓声を呼んでいる。
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3人は、獲得したメダルを今大会が行われているニューヨークに持参した。ローズは公式会見が行われた開幕2日前には、金メダルを宿泊しているホテルの部屋にしまっていたが、多くの人に「メダルを見せて」とせがまれることから「ロッカールームやキャディバッグに入れておくつもり」だとか。メダルのかかる五輪が、普段のトーナメント以上に、ゴルフに関心がない人々からの注目を集めることを改めて強調した。
「みんなが金メダルを見たがることがうれしい。たとえウサイン・ボルトの物でなくてもね」と、栄誉を改めて実感している。「優勝トロフィなんかに比べれば持ち運びやすい。みんなが『どのくらい重いの?』『結構重いねえ!』なんて言ってくれるのが楽しい。クラレットジャグ(全英オープンの優勝カップ)で注いだワインを飲めるように、金メダルは、カップを置くコースターにちょうどいいかもね」と笑顔で話した。
ローズのそのジョークを実現できるのが、五輪の1カ月前、全英でメジャー初制覇を遂げたステンソンだ。彼は今大会の会見に、銀メダルを持参。軟らかい布に包み、ズボンのポケットに入れていた。「スーパーマーケットなんかに行くときまでは持ち歩かないけどね」。そりゃそうだ。油断して車上荒らしや強盗にでも遭ったら大変だ。コースなどでは「せっかくの機会だから、見たい人には見せてあげるつもり」だという。
メダルの色では劣っても、今週最も多くの賛辞を浴びているのが五輪を3位で終えたクーチャーだろう。地元米国での試合とあって、行くところ「USA!USA!」と、こだまする。そしてクーチャーは、銅メダルをプレー中もキャディバッグの中に忍ばせていた。松山英樹の前の組でプレーした予選ラウンドでは、スコア提出を終えた後にバッグから取り出して、ボランティアスタッフとの記念撮影に応じる姿もあった。
112年ぶりにゴルファーの手に渡った五輪のメダル。その魅力にメダリストたちが普段とは違う感慨にふけり、ファンを喜ばせているのは事実だ。(ニューヨーク州ファミングデール/桂川洋一)
桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw