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ゴルフ人生は開店前の「ニトリ」で始まった 19歳・米澤蓮はみちのくから世界へ

◇国内男子◇アジアパシフィックオープン選手権ダイヤモンドカップゴルフ 初日(9日)◇総武カントリークラブ 総武コース (千葉)◇7327yd(パー71)

アジア大会団体金メダル

“アジアの金メダリスト”のひとりがまた、潜在能力の高さをのぞかせた。アマチュアの米澤蓮(よねざわ・れん/東北福祉大2年)が並み居るプロを押しのけて好スタートを切った。昨年の「日本オープン」以来2回目のプロツアーで、2アンダーの4位タイ発進。みちのくから世界を目指す19歳だ。

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「69」のスコアは午後にプレーをした選手のうち、トップだった。狭いフェアウェイ、硬いグリーンに加えてこの日は強風が吹き荒れ、アンダーパーを記録したのは出場144人のうち12人。米澤はボギー先行から前半14番(パー5)でチップインイーグルを決めるなど、得意のショートゲームでがまん強くプレー。「全部の調子が良かった。予定よりもグリーンに乗ってくれてチャンスが多かったです」と謙虚に18ホールを振り返った。

すべては“開店時間”の勘違いから始まった

昨年8月、アジア大会団体戦で日本に20年ぶりの金メダルをもたらしたメンバーのひとり。当時チームメートで4月に「マスターズ」に出場した金谷拓実は、同じ東北福祉大の1学年先輩。目標とする選手のひとりに、大学OBで米ツアーで戦う松山英樹を挙げた。

岩手県出身。両親はゴルフをしないという。幼いころ、テレビ越しのタイガー・ウッズの姿にハートをつかまれたが、実際にクラブを握ったのはひょんなタイミングがきっかけだった。

9歳のある朝のこと。父に連れられて家具やインテリアを扱う小売店「ニトリ」に向かったが、車が店舗に到着したのは開店時刻よりも1時間ほど早かった。駐車場で時間を持て余し、辺りを見回すと、道路の向こうに打ちっぱなしの練習場があった。

「暇だから行ってみようか…という感じのノリで行ったら、ハマっちゃって」。親に手ほどきを受けるわけでも、上級者に習うでもなく、遊びのひとつとしてボールを打ち始めた。「ニトリが早く開いて(入店して)いたら、ゴルフをやっていなかったかもしれません。運命的な何かが…」と思い返す。

盛岡から仙台へ

盛岡中央高時代までに、東北地方の大会でぶつかる優秀な選手たちはほとんど“福祉大”の学生ゴルファーばかりだった。「隣の県なので…」と宮城・仙台に拠点を置く同大に進んだのは自然な流れだった。

多くのツアープレーヤーを輩出する名門ゴルフ部には現在、優秀なジュニアゴルファーが全国から集まる。仙台の冬は厳しく、他の地域から門をたたいてきた部員たちはまずその気候に面食らうケースも多い。ただし、彼のとらえ方はちょっと違う。「僕にしてみたら仙台の雪は大したことないんです。寒さだって、僕の実家に比べたら…」

小さいころから、知る限りでは雪はヒザの高さ以上に積もるモノだった。厳しい冬の長さはそのまま、ゴルフコースがクローズになる期間を示す。「(岩手では)12月…いや、ヘタしたら11月に入ってから、4月が終わるまでゴルフはできません。練習場に行っても、積もった雪に向かってぼんぼん打つから、どのくらい飛んだのか分からないんです。吹雪の日はボールが見えないから『外で打っている意味がない…』なんて思ったり(笑)」

名門ゴルフ部で過ごす寮生活。練習施設をはじめとした環境が生む恩恵の大きさは、ほかの多くの部員以上に感じていそうだ。(千葉県印西市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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