今年は心配無用? D.ジョンソン、5年前の悲劇を振り返る
2015年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/13〜08/16 場所:ウィスリングストレイツ(ウィスコンシン州)
ウィスリングストレイツのパー3ホール
ミシガン湖沿いの岸辺2マイルにわたって削り取られたこのコースは、米国のコース設計者であるピート・ダイの手による最も記憶に残るレイアウトの一つとして知られている。アイルランドやスコットランドの古典的なリンクスに対する偉大なる敬意の対象として存在するこのウィスコンシンの至宝は、針金のように硬いフェスキューのラフ、唸りを上げる湖岸の風、砂丘、絶壁、そしてどこまでも列をなす砂のハザードを兼ね備えており、世界最高峰の選手たちを打ちのめすのを待っている。
湖沿いに2ホールが北を向き、もう2ホールが南を向いている4ホールを合計すると763ヤードに及ぶストレイツのパー3ホールは、美しく、そして残忍である。2015年シーズンのメジャー最終戦を前に、EuropeanTour.comでは、これらのパー3ホールについてさらに掘り下げてみようと思う。
<< 下に続く >>
3番ホール オーマン
長さ: 181ヤード
概要: 選手たちがウィスリングストレイツで最初に出くわすショートホールは、グリーンに乗せただけでは、試練のスタートラインに立ったに過ぎない。左側にミシガン湖とバンカー群が控えているため、このホールは湖岸に向かって大きく傾斜するグリーンの右側からプレーすることになる。ピンポジションの選択肢はかなり幅広いため、落ち着いた天候の下でも、クラブ選択にはばらつきが出る。
過去の大会フラッシュバック: アーニー・エルスは2004年の「全米プロゴルフ選手権」初日にパー3の4ホール中、3ホールでバーディを奪った。これにはピンそば1.5メートルにつけたオーマンでのバーディも含まれ、初日を「66」でラウンドした南アフリカ出身のエルスは、首位のダレン・クラークに次ぐ2位につけた。エルスは日曜日に72ホール目でボギーを叩き、すんでのところでプレーオフに加わるチャンスを逃した。
過去2大会のデータ:
2010年: ランク8位; 平均スコア-3.06; ホールインワン-0; バーディ-60; パー-313; ボギー-74; ダブルボギー以上-7
2004年: ランク14位; 平均スコア-2.94; ホールインワン-0; バーディ-96; パー-293; ボギー-63; ダブルボギー以上-3
選手の視点: 「これは興味深いパー3だね」と大会2勝を誇るパドレイグ・ハリントン。「グリーン前方のエッジまではピッチングウェッジで届くこともあるけれど、前回は4番アイアンで打つこともあったね。とにかく大きなグリーンで、多分50ヤードくらいの長さがあると思うけれど、右側には大きな段がある。ピンが左奥に切られた場合、左側の湖が目に入るけれど、大きなスロープがあるので、あまり右へも外せないんだ。だから払うような打ち方のショットでバーディを奪うシーンが見られるだろうね。そうなれば(着地した)ボールは(スロープを下って)ホールへ向けて転がるわけだから。でもまあ、ここは間違いなく順位を上げることのできるホールでもあるよ」。
7番ホール シップレック(難破船)
長さ: 221ヤード
概要: なんとも適切な命名である。これまで良いスタートを切った多くの選手たちがこの7番で座礁し、“難破船”となってきた。2004年と2010年の「全米プロゴルフ選手権」では、このホールでのボギー以上のスコアは他のどのパー3ホールよりも多い。この印象的な景観の美しいショートホールは、右側にミシガン湖をかかえ、選手たちはしばしば風下に立たされることになる。右前方には砂丘やマウンドやバンカー群が控えているため、選手たちはバンカーの点在する高い丘のある左側を狙う傾向にある。
過去の大会フラッシュバック: 2004年大会では、「全米オープン」2勝のヘイル・アーウィンが、ウィスリングストレイツにおける競技での初ホールインワンを運の助けもあって達成した。狙ってか、多少引っ掛けてか、アーウィンのティショットは前述した左側の丘に当たって大きく弾み、そのまま勢いをつけてホールへと吸い込まれたのである。
過去2大会のデータ:
2010年: ランク 6位; 平均スコア-3.19; ホールインワン-0; バーディ-49; パー-289; ボギー-99; ダブルボギー以上-17
2004年: ランク 7位; 平均スコア-3.16; ホールインワン-1(ヘイル・アーウィン); バーディ-50 ; パー-293; ボギー-98; ダブルボギー以上-13
選手の視点: 「これはとても難しいホールだ」とヨーロピアンツアー15勝のトーマス・ビヨーン。「グリーンは自分と相対する感じで広がっているんだ。右側のバンカー群を越え、湖も避けねばならず、距離も長いから、無風であっても4番から2番アイアンで打つことになる。だからとてもトリッキーなんだ。左側の丘には大勢のギャラリーが陣取るだろうね。3打で切り抜けたいという類いのホールだ。とにかく立ち向かって良いショットを打つしかない。あそこではそれほど選択肢はないのだよ」。
12番 ポップアップ
長さ: 143ヤード
概要: ウィスリングストレイツにある4つのパー3では最も距離が短いが、必ずしもこのダイのレイアウトで最も簡単なホールというわけではない。打ち下ろしのティからよく見渡せるように、左から右へ斜めに広がる起伏の激しい恐るべきグリーンは、明らかにコース全体で最もトリッキーなパッティングサーフェスであり、右奥はミシガン湖に突き出るようにして“ポップアップ”した小さな指状のグリーンが続いている。2004年と2010年大会では、それぞれ一日ずつこの場所にピンが切られていたので、2015年もこの余興に授かることができそうだ。グリーンを通過するのは簡単だが、手前にだけは打ってはいけない。安全策はグリーンの左半分を使うことだが、その場合、アパラチア山脈を横断するかのようなパットが必要とされるだけに、パターには自信があった方が良い。
過去の大会フラッシュバック: 5年前、マルティン・カイマーはこのホールで2度バーディを奪ってウィスリングストレイツでの勝利を挙げた。カイマーの寄与もあり、2004年と2010年大会を合計すると、ここでは162のバーディが生まれており、これはここのショートホールの中では最多である。
過去2大会のデータ:
2010年: ランク 10位; 平均スコア-2.99; ホールインワン-0; バーディ-77; パー-312; ボギー-58; ダブルボギー以上-7
2004年: ランク 12位; 平均スコア-2.98; ホールインワン-0; バーディ-85; パー-305; ボギー-57; ダブルボギー以上-9
選手の視点: 「今週は距離が短ければいいね。ウェッジか9番アイアンで打ちたいところだよ」とカイマー。彼は2010年大会ではパー3のスコアで他をリードしたことが奏功し、ワナメーカートロフィーを掲げている。「もしピンが左側だったら、普通のパー3なんだ。ただ、右奥のバンカーの後ろ、あるいはさらにその奥のセクションにピンが切られると、偉大なるパー3となるんだ。抜け道がなくなり、しっかりとコミットして良いショットを打たなければならなくなるからね。世界で最高のパー3ホールについて語り合うと、ほとんどの人は短いパー3を挙げるけれど、この12番も同じだよね。これはこのゴルフコースで最高のホールの一つだね」。
17番 ピンチドナーブ(神経痛)
長さ: 223ヤード
概要: 崇敬されるコースデザイナーであるダイの設計した最も恐ろしいショートホールの一つ。距離は220ヤード以上あり、左に広がる崖下のバンカー群までは6メートルの落差があり、さらにその先はミシガン湖まで落差12メートルの崖となっている。右側へのミスは少しだけましだ。深さ6メートルのポットバンカーが待ち構えており、ここに捕まると、幅が18ヤードあるかないかのグリーンを狙い、広がる青空へ向けてショットを打つことになる。2004年と2010年を合計しても、ここで生まれたバーディはわずか82個だが、2人の選手がこの小型の野獣をホールインワンで制している。
過去の大会フラッシュバック: 3ホールのストロークプレーで行われた2010年の「全米プロゴルフ選手権」のプレーオフでバッバ・ワトソンと対戦したカイマーは、このホールでティショットをピンそば4.5メートルにつけてバーディを奪い、その後、メジャー初勝利を手にした。
過去2大会のデータ:
2010年: ランク 4位; 平均スコア-3.20; ホールインワン-1 (トム・レーマン); バーディ-49; パー-287; ボギー-97; ダブルボギー以上-20
2004年: ランク 6位; 平均スコア-3.17; ホールインワン-1 (ロバート・ガメス); バーディ-33 ; パー-326; ボギー-77; ダブルボギー以上-17
選手の視点: 「17番はワオ、だね」と2010年の「全米オープン」王者であるグレーム・マクドウェル。「とても良いホールだ。左はノー・ブエノ(スペイン語で“良くない”の意)だね。今週あそこへ外すと、4打か5打以上は叩くだろう。あそこでは死が待っているんだ。クラブは手前であれば5番アイアンで、奥の場合は3番ハイブリッドになるけど、ピン次第だね。左奥の角にピンがある場合、右側に外してもチャンスはあるんだ。右側のマウンド後方にピンが切られるととても難しくなるし、もちろん左側はいいカモにされるピンポジションだから、タフなホールだね。毎日3打で上がれれば御の字だよ」。