<選手名鑑179>ジョーダン・スピース
驚くべき欧州ツアー体験を振り返るパトリック・リード
パトリック・リードの欧州ツアーメンバーとしての1年目を1つのシーンで要約するとしたら、それは中国のホテルで何人かの南アフリカ人選手にスヌーカーの遊び方を教えられた場面になるかもしれない。
2015年はテキサス出身のリードにとって驚くべきシーズンだったと言っても過言ではないだろう。そして、欧州ツアーの多様性を経験する中で彼の地平も大きく開け、多くの新たな友人を得ると共に、間違いなく彼のゴルフは進化を遂げた。
<< 下に続く >>
実際、もし世界ランキングが過去3カ月の成績から算出されるとしたら、リードは世界2位になっている。そう、シーズン終盤に見事なプレーをしたリードを上回るのはジョーダン・スピースただ一人なのである。
彼はその3カ月間で12試合に出場し(この他に10月にはプレジデンツカップにも出場している)、平均13.9位と欧州ツアーで最高の平均順位を記録し、プレーオフの末スウェーデンのクリストファー・ブロバーグに敗れた「BMWマスターズ」ではすんでのところで欧州ツアー初優勝を逃している。
25歳のリードはその「BMWマスターズ」での2位のほか、同大会を含むシーズン最終盤のファイナルシリーズでは出場した全大会で10位以内に入り、グローバルな選手になりたいという彼の願望は多くの人々から称賛されることとなった。
「ここ欧州ツアーの選手たちはすばらしいね」とリード。「ここの選手たちは米国の選手たちとは随分違うんだ。というのも、向こうでは選手たちは家族と共にいるからね。こっちの選手たちは選手たち同士でつるんで、一緒に晩ご飯を食べに行ったりして、良い時間を共に過ごしているんだ。本当の意味での職場の友情と、素敵な雰囲気があるね」。
「中国では南アフリカの選手たちと一緒だったけど、彼らからはスヌーカーの遊び方を教わったんだ。とても楽しかったよ」。
「『ライダーカップ』ではチームスピリットがどこから来るものなのか、よく分かったよ」
「欧州の選手たちの仲間意識の高さが見られたからね」。
リードはグレンイーグルスで行われた「ライダーカップ」で米国代表ではトップの5ポイント中3.5ポイントを獲得し、日曜はとあるジェスチャーでギャラリーからブーイングを浴び、アウェイの地にて敵役を演じて一躍グローバルな選手としてその名を売ったのである。
ロングパットを決めてヘンリック・ステンソンを1アップで下した2014年「WGCキャデラック選手権」王者は、ギャラリーを黙らせるべく口に手をやる仕草をしたのであるが、そのことについてリードは、「どちらのチームのギャラリーにも火を着けることができたから、すごく楽しかったよ」と説明した。
「ギャラリーは気に入っていたよ。彼らは一日中僕のことを野次っていたけど、どちらの側にも敬意があったからね。あれはとても楽しかったね」。
リードは世界を股にかけた欧州ツアーのプレーヤーとしての経験を振り返るにつけ、楽しいという形容詞を多用したが、彼の話を聞いていると、彼が2016年シーズンも米国PGAツアーと欧州ツアーの両方の舞台でプレーする決断を下したことにも頷ける。
彼が慣れない国々で、別種のコースに適応して良いプレーを見せたことからも、それは大いに理解できる。
「これまで行ったことのなかった新しい国々へ行き、新しい場所を発見するのは、ものすごく楽しかったね」とリード。「本当に素敵だったね。楽しいこと尽くめだったよ」。
「香港はすばらしかった。なんて場所だと思ったよ」。
「僕らはスイスも気に入ったよ。あそこは信じられないくらい美しかった。今年は数多くのすばらしい経験をしたね」。
「訪れた場所の何カ所かは、1週間以上滞在したいと思ったくらいだよ。ゴルフで行っているので、休暇で行った時のように、多くを見て回り、その土地の良さを味わい、楽しむ余裕がなかったからね」。
彼にとって一番のお気に入りはどこだったのだろうか。
「間違いなくドバイだね」とリード。「あり得ない程すばらしい場所で、僕らはあそこで良いひと時を過ごしたんだ。妻や2人の義理の兄弟も一緒だったからね。僕らはとにかくすばらしい時間を過ごしたんだ」。
「あの場所が如何にクールで、どれくらいやることがあるかというのが信じられなかったね。もっと色々見られるよう、間違いなくあそこへは家族全員で再訪するよ」。