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2002年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/15〜08/18 場所:ヘイゼルティンナショナルGC(ミネソタ州)

風が吹き、コースの難度がアップ!

全米プロ本戦開幕を明日に控え、ヘイゼルティンナショナルに風が吹き始めた。ミネソタ州チェスカ一帯は晴天続きでフェアウェイもグリーンも干上がり始めている。昨日、タイガーは「前週に練習ラウンドしたときとは、まるでコースコンディションが違う」と語っていたが、今日は大勢の選手の口から「昨日と今日では、コースがまるで違う」というフレーズが聞かれた。

米ツアーにおけるメンタルトレーニングの第一人者、ボブ・ロッテラいわく、「今日はたくさんのプレーヤーがこの強い風を感じ、風を恐れ始めている者も多い。風の中でのプレーが楽しめるよう彼らの精神状態をもっていくため、今日は私も大忙しです」

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日本のゴルフファンの期待を集める丸山茂樹はバック9のみをプレーしたが、練習ラウンド終了後、開口一番、「今日は難しかった」との感想。

「グリーンがメチャメチャ固い。昨日はグリーンの堅さがマチマチだったけど、今日はグリーンが固くなってきたので、難しいグリーンとして一定してきた。グリーン周りのラフは芝が薄いところは下が固くてどうしようもない。グリーン周りが勝負ですね」

その丸山と一緒に練習ラウンドを行なった片山晋呉も、「風が吹くとグリーンがかなり変わるあたりが難しい」。ヘイゼルティンナショナルにおける風の影響は多大である。距離と方向性のコントロール、グリーンの狙い方はもちろんのこと、フェアウェイやグリーンを一層固くしていくと思われる。天気予報によれば、大会3日目には雷雨が襲うだろうとされているが、少なくとも初日は晴天。問題は風がどれぐらい吹くかということである。

この大会は日本人選手のニューウェポンが目につく。丸山の新たなる武器はマッスルバックのアイアンだ。「重心を下に抑えてある。打感は少し高い音。風がアゲンストのとき、抑えて打って(強めに入ったら)4ヤードから5ヤード飛ぶ気がする」と語る丸山。『ツアーステージMR-23 MARU』と刻印されたプロトタイプだが、「来年にはマルアイアンとして発売予定」だと付け加えていた。

谷口徹の新たなる武器は、キャロウェイのニュードライバーであるビッグバーサ。今日、水曜日の段階で初めて試した新品だが、明日はこのドライバーでティオフする。片山晋呉は、ニューモデルではないがゼクシオの新しい3Wをバッグに入れ、パターも袋から出した新品を眺めながら、「これでいく!」。メジャーでニュークラブを使うという作戦が、好結果につながるか、それとも裏目に出るか。

オルタネート(補欠)の3位にいる横尾要は、今日も丸山、片山と練習ラウンドを行ない、出場に備えているが、今のところ欠場者は1名も出ていない。「せっかく練習できるいい環境があるのだから‥‥」と前向きな姿勢で明るく練習に精を出す横尾だが、果たして欠場者は出るのか。初日の最終組がスタートするまでに欠場者が出なければ、横尾出場の望みは消える。残された待ち時間は、あとわずかだ。

全英オープン後、初めて試合出場の丸山茂樹。「3週間あいたけど、全力を尽くす」(8月14日)

今シーズン最後のメジャーである全米プロの会場、ヘイゼルティンナショナルGCには早朝から大勢のギャラリーが押し寄せた。地元のテレビ局が前夜のニュースで、「明日はタイガーが早朝6時ごろから練習ラウンドを行なう予定」と繰り返し報じたため、その時間を狙って人々が一気にやってきたのだ。

そのタイガーは、他のメジャーの練習日と同様、今日も仲良しのマーク・オメーラジョン・クックとともに練習ラウンドを行ない、練習場での打ち込みも欠かさなかった。その直後に開かれた共同インタビューでは、全英オープン3日目に大崩れしたことに対し、辛らつな質問も飛び交ったが、タイガーの対応はきわめてクール。

「全英オープンでは何だって起こりうる。天候も予測がつかない。どんなことが起こってもおかしくないんだ。あの日、僕はコンディションがタフな時間にプレーしていたし、おまけにショットもすごく良くはなかったってことが事態を悪化させた」
「このコースは先週月曜に練習ラウンドしたけど、そのときと今日とではコースがまるで変わっている。コースが乾ききって固くなっているし、グリーンも固く速くなっている。だから、今週は楽しくなりそうだ」。

気になるのはタイガーのゴルフそのものの調子だが、先週のビュイックオープンで優勝したばかりのタイガーは、「ティショットの方向性が安定しているし、クラブ選択に対する戦略もすでに出来上がっている。今日と明日の練習ではグリーンのスピードやグリーン周りのラフの影響を知ることが第一」と、余裕のコメント。

タイガーはこのヘイゼルティンナショナルのコースを、自らが99年に全米プロ初優勝を飾ったメダイナCCに似ていると語ったが、同じように「メダイナ」の名を口にしたのが日本のゴルフファンの期待を集める丸山茂樹だ。全英オープン5位の好調ぶりをそのままこの全米プロにつなげてほしいところだが、この2試合の間にまったく試合出場していない丸山は、「3週間あいたので不安はあるけど、がんばるとしか言いようがない。どうなるかわからないけど全力を尽くしてがんばりたい」と抱負を語っている。

その丸山は今日、伊沢利光、そしてオルタネート(補欠)リストの3位にいる横尾要とともに練習ラウンドを行ない、谷口徹手嶋多一片山晋呉はそれぞれ個別にラウンド。昨年大会4位の大活躍でアメリカゴルフ界にその名を知らしめた片山は、現在ワールドランキング58位につけているが、「この大会でがんばって、来週のWGC-NECになんとしても出たい。もう、飛行機のチケットも取ってあるんです」と、やる気満々だ。

面白いのは、大人気の丸山に対してギャラリーから「シゲーキ!」の声援が飛び交う中、他の日本人選手が丸山と混同され、「シゲーキ!」と声をかけられている現象だ。アメリカにおけるメジャー初出場の手嶋も、「アメリカのギャラリーの声援は全英の声援より1オクターブ高いですよね。でも、突然、シゲキとか言われちゃって‥‥」と苦笑する。片山は、「オレがシゲキって呼ばれているように、マルもシンゴって呼ばれてますかねえ」と首を捻る。いずれにしても、海外のメジャーで日本人選手の注目度と人気は確実に上がってきている。この全米プロでも日本人選手の大活躍に期待がかかる。

レポート&写真:BEYONDSHIP

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